あらすじ
今なお 城をさ迷う幽霊たちの物語の中に、
英国の歴史を読み解く鍵がある
英国においては、言ってみれば先住者である幽霊たちを追い出すという発想は一般的ではないようだ。日本のように、視たら祟られる、呪われる、というような話はほとんどなく、英国の幽霊はほとんどの場合、ただそこにいるだけだ。悪さをするわけでもないなら共存しよう、というのが英国人の考えらしい。むしろ、歴史を体現する存在である幽霊に親しみを感じ、価値を見出す向きすらある。(中略)
幽霊を恐れながらも尊重しようという英国人の姿勢からは、幽霊は歴史的事実に基づく存在であり、民衆の共感、同情、尊敬の念によってこの世にとどめられているものであるとする、彼らの幽霊に対する意識が見てとれる。
――「CASE1 ウィンザー城と25人の幽霊」より抜粋
幽霊は英国の歴史を背負って現れる。
ハットフィールド・ハウスではエリザベス1世が少女の姿で現れる。
彼女が25歳で英国女王に即位する前の日々を過ごした、穏やかな記憶が残る場所だからだ。
エリザベス1世の母アン・ブーリンは、ロンドン塔を首のない姿で徘徊する。
ヘンリー8世がアンと離婚したいがために、彼女に姦淫罪を着せてロンドン塔で斬首したのだ。
男児欲しさに六回結婚し、妻を二度処刑したヘンリー8世は、埋葬されたウィンザー城内で足を引きずりながら歩き回っている。
晩年の彼は足の腫瘍に苦しみ、肥満した身体を引きずって移動したのだ。
幽霊を恐れず、追い出さず、寄り添う民衆の意識が彼らを城にとどめている。
幽霊を幽霊たらしめている背景をひも解くことで、英国の歴史が見えてくる。
ロンドン生まれの小説家・織守きょうや氏が英国の幽霊と城にまつわる歴史と、そこに隠された秘密を紐解いていく。
数多の英国の住宅を訪問し、その魅力を描いてきた山田佳世子氏がイラストで幽霊城を物語る。
英国の歴史の扉を開ける鍵となる一冊。
建築史家の中島智章氏による幽霊城の解説つき。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
面白かったー!
まるで英国でミステリーツアーに参加してきたような一冊。
歴史と謎と恐怖でドキドキしっぱなしでした。
日本では幽霊=怖い、拒絶って感じだけど
英国では幽霊=尊重、共存しているのに驚いた
何だったら幽霊が出てきて欲しいと願っている傾向さえあって、英国の愛国心や歴史の深さにも衝撃を受けました。
お城の外観や間取りがカラーで紹介されているのも良き。ちょっとお高い単行本でしたが、充分元が取れてる満足さです。
実際、英国ではお城の中に入れたり泊まれたり出来るらしく、幽霊に逢える方も多いらしい。
いつかは行ってみたいなーとも思うけど、実際に逢いたいかと言われると…うーん…、やっぱり怖いが勝ってしまうかなぁ。
沢山紹介されているお城の中で、グラームス城だけは本当に行きたくないと思いました。
事件、事故?、恐ろしい伝説がありすぎてマジで怖すぎる!!これから行く方は気をつけて!!
Posted by ブクログ
日本のおどろおどろした恐ろしい感じとちょっと違うのかな、ハリー・ポッターとか、ホーンテッドマンションでイメージが変わったお城の幽霊たち、イギリスの歴史と幽霊を一緒に知ることができます。首なしも出てきていました。
Posted by ブクログ
本文と系図、地図を見ながら読みました。ものすごく面白かったです。ゴースト的な怖さよりも、一人ひとりのエピソードが心に残ります。脳内でごちゃごちゃだった王朝が整理されました。
Posted by ブクログ
幽霊城ミステリー、というと血塗られた謎に迫る、という内容を想像する時点で当方の脳みその中身がわかってしまう。そういった内容もあるのだが、本書は実在する幽霊城にどのような歴史があり、幽霊がどんな風に出るのか、が書かれてある。
山田佳世子というイラストレーターは知らなかったが大変素晴らしい絵で「ああ、こういうところなのか」「こういう幽霊が出るのか」とわかりやすい。歴史の勉強にもなった。
Posted by ブクログ
イギリスの長い歴史の中で様々な幽霊譚や城にまつわるエピソードを学べる本。
王朝の家系図が大変便利だった。
ウィンザー城の狩人ハーンの話やグラームス城のビアーディ伯の悪魔の賭け事の話、グラームスの怪物や頭蓋骨の部屋の伝説など、興味深い話が多かった。
Posted by ブクログ
建築物にそこまで深い関心は無かったのだが、幽霊にとことん惹かれるたちなので一目見てすぐに購入。
小説家の方が書かれているだけあって、とても読みやすく歴史に詳しくなくても相関図や説明を交えて解説されているので楽しく最後まで読むことが出来た。
行ってみたい場所がまた増えた。
Posted by ブクログ
ロンドン生まれの小説家・織守きょうや氏が英国の幽霊と城にまつわる歴史と、そこに隠された秘密を紐解いていく。英国の歴史の扉を開ける鍵となる一冊。日本では部屋に幽霊が出る!となるとお祓いをしたり避けられたりするけれど、英国は意外と一緒に暮らせるんだ、とちょっとびっくり。英国は幽霊にも寛容なのかなぁ。
Posted by ブクログ
いまも王室メンバーが住んでいるところに幽霊がいたりと文化の違いが垣間見えた
幽霊にも◯◯レディって名前をつけているのがイギリスらしくて好き
グレイレディがたくさんいて見分けるの大変そうだなぁって
英語もっと勉強して実際に見に行ってみたい
Posted by ブクログ
英国の幽霊と建築物、姫路城のお菊怪談とは段違い、皇室の歴史と醜聞と英国人の皇室愛を知る事が出来た。イラストも素敵だけど、地図と写真も付いてるとよかった。Googleマップ片手に読むのは面倒
Posted by ブクログ
英国の城は見た目が格好良くて好き。そんな理由で手に取った本。
この本を読むまでほとんど知識がなかったけど、歴史的事実を知ると幽霊となるのも解る気がする。
宗教的に離婚が難しい時代だったかもしれないけど、ヘンリー8世がちょっと…。
写真じゃなくてイラストだったところが、苦手な幽霊ものでも、怖くなく読めた理由かもしれない。
それに未練はあっても怨念って感じがしなかったのも、その理由かも。
Posted by ブクログ
イラストが綺麗で一つ一つのエピソードがそれほど長くなく読みやすい。
英国の城とそれにまつわる幽霊の資料集のような感じ。
もとが建築雑誌で連載されていたコラムなので、建築関係の専門用語が沢山出てくる。その点は建築関係に馴染みがないと分かりずらく感じる。
ただ、「この城にはこんな幽霊がいるって言われてるよ」「こんな逸話があるよ」といった話がメインなためそこまで気にならないかもしれない。
また、歴代のイギリス王室がばんばん出てくるので歴史の勉強になりそう。
英国と日本の幽霊に対する感じ方の違いみたいなのも表現されていて面白かった。