櫛木理宇のレビュー一覧
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主人公の従兄弟が酷いイジメを受けたことに対する復讐をすべく、予行演習として過去に犯罪を犯すも少年法に守られている加害者たちに、制裁を加えていく報復と復讐の物語。
主人公2人が因果応報とばかりに盛大に裁いていく展開を肯定する私と、被害者から加害者へ変わっていく2人を否定する私が、途中から対峙する始末。
前読の作品のテーマが刑法39条。
今回のテーマは少年法。
どちらも加害者だけが守られている印象が否めないのは、被害者の事情までフォーカスされた事件や作品を目にしているからであろうか。
初著者だったが、非常に読みやすく、文体も言葉選びも好みな作家。別の作品も読みたくなった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりにこのシリーズを読んだのだが、森司とこよみちゃんは付き合っているのか、いないのか。どうなんだっけ?と混乱した(*_*)
キャラクター紹介の森司のとこに「こよみに片思い中」とあるので付き合ってない。と判明!
いやいや、付き合ってるよね!当事者だけがまだ交際してないと思ってる状態なんだよね。じれったい~。でもそこが面白いのだよね(*^^*)
今回三編収録されてるけど全部怖かった!
ご飯を食べられることのありがたさも身に染みた。破棄される食料がある一方、お腹を透かせている人もいる。どうにかうまくいかないものなのだろうか。
お気に入りシーン。p168「馬鹿を言うな」森司は吠えかえした。「おま -
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家族が他人によって、マインドコントロールされ結果、家族崩壊をする話。
お互い憎しみ合い、自分たちで考えることをやめ、主犯格の命令に従うだけの奴隷と化していく姿は恐怖。オバケや幽霊よりも生きている人間が怖いと感じた。
理性を保ち、正常な判断をするには
適切な食事と睡眠が必要不可欠であると知った。
あとは自分の悩みを話せる信頼できる人を周りに置くことも大切。
被害者と加害者は表裏一体の時もあることを知った。たしかに世間のニュースでも「恨んで人を殺した」などあるし、自分が常に安全圏にいるのではなく、被害者にも加害者にもなりうる存在だと気付かされた。
自分は他人に支配される訳ないと思っていたが
案 -
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解りたくないのに…
善人だけでなく悪人にまで、天使だけでなく悪魔にまでも、共感してしまう自分がいることをここに告白する。
もちろんそれは本の中に生きる人々限定の話だが。
それを顕著に感じるのが櫛木理宇さんの作品。
登場人物の哀しみや苦しみ、怒りがおぞましい事件の網目からこぼれ落ちてくるものだから否も応もなく「ああ」と納得せざるを得ない。
恐ろしい作家さんを知ってしまったものだ。 -
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登場人物がなんだか厄介で嫌な人ばかり! 読めば読むほど嫌な気分になってくる、だけれど読む手を止められないミステリ短編集。毒がたっぷりなのだけれど、なんだか読後感はすっきりするような気がしなくもありません。
お気に入りは「その一言を」。一番嫌な話だと思うのですが、一番結末が収まるべきところに収まったように感じました。傍目には恐ろしい惨劇であり悲劇としかいいようのない事件なのですが。普通ならば到底理解できないであろうと思えた最後の一文がすとんと腑に落ちてしまったところが凄いです。
「ママがこわい」も本当に怖い。ここまで極端でないにしろ、こういう人っていそうだもの。そしてその裏に隠された作為と、それ -
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代償
「瑕疵物件」…不動産売買ではこのような表記になるそうだが、本作は『瑕死物件』。
この題名の本当の意味に気付いたのは本作の終盤であった。
一見すると短編集のような様相の本作。
だが、一遍一遍読み進める毎に、毎回のように登場する人物の人となりや、その章での主人公らしき人物達が、それぞれどのような立ち位置であるのかが次第に明らかになってくる。
推理小説を読んでも推理は名探偵にお任せ。
「ほーほーなるほど!」とまるで我が推理が真実に到達したかのような陶酔感を味わうのが常なのだが、本作に限っては先の見えないモヤモヤ感が随分読み進めるまで私の頭を覆っていた。
なかなか明らかにならない真相は、