寺地はるなのレビュー一覧
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星母島で民宿を開く千尋は、「モライゴ」として育てられた。
子どもについての願い事を叶えてくれる「母子岩」というスポットが近年有名になり、そこに訪れた人々と千尋とのショートストーリーが5話収まっている。
親子と言っても実に様々だ。
親に捨てられた子供、自分の望みを子供で果たそうとする親、若くして母親になった子供など。
人の事情はそれぞれだ。
明るく朗らか、来てくれた人々に何かを導いて、少しその人たちが前向きなる、という話ではない。
千尋自体が淡々と、どこか世間から一歩引いて見ているような女性で、同調するよりは自分が相手を縛りつけたくないような思いがあちらこちらで見て取れる。
嫌なことは嫌だと言うし、自分の考えることを相手に押し付けるわけでもない。
それは彼女の生い立ちにも関係がありそうだけれど、自分自身の考えのもとで自分の足で歩かなければ、という意識が実にさっぱりした印象だ。
幸せな姿は一人一人違ってそれでいいし、その姿は自分にしか見えないもんだな。 -
Posted by ブクログ
読んでいる時の私の中の環境も関係してくるかもしれませんが、今回は残念ながら入り込めませんでした
登場人物の相関図を書きながら読んでいたのですが、なんとまあ多い、40人くらいはいました
町の住人が少しずつ繋がっていて、人が多くてあまり集中して読めませんでした
結局繋がりが把握できていなくても、読めてしまう話だったのですが。。。
物語としては、各々が人生色々ありという感じで、大きな変化はありませんでしたが、最後の『夜が暗いとはかぎらない』で母と息子の関係が少し進展したのは、なかなか感慨深いものがありました
少し間をおいて読んだら、また違った感想が出てくるかもしれませんね -
Posted by ブクログ
しっかり者だが頑なでいろんなものを1人で
抱え込んでしまう姉の光実
小さい頃からできの良い姉と比べられて
逃げてばかりの人生を送ってき た弟の歩
ワイン造りって結局はぶどうをどれだけうまく
育てられるかにかかっているようなところがあって
本当に手間のかかる作業。
日野さんはそのぶどう作りのリーダー的な存在で
母がなくなったあとはすべてのことをこの日野さんに
教えてもらいながら進めている状況
職人あるあるなんだろうけど
なんていうかこういう人たちって教えたり
育てるのが下手ですよね。(私の偏見)
見て覚えろ、
やり方を盗んで覚えろ的な
もちろん意味がある場合もあるので
全否定はしないけど
丁寧に教えたほうが
早く育ってくれるし自分も楽やんって
思うのだけどね。
光実のほうは小さい頃からよくできる姉
それはそれでなかなか窮屈
意地張って突っ張り続けたら
いつかはポキっとおれてしまう。
人に平気で弱みを見せてしまう歩の方が
案外強いのかもしれない。
そんな2人の成長物語みたいな話でした。 -
Posted by ブクログ
九州北部の星母島に「母子岩」がある
子供に関するご利益があって有名
「千尋」には両親がいない
島の子として「政子」はじめ島民に大切にされる
一度本土に行って「麦生」と託児所兼民宿を営む
訪れる宿泊客と千尋達の物語
一癖あり、悩ましい登場人物達
読んでいて心の傷に苦しくなる
『はじめの一歩を踏み出せた人は
次の一歩を踏み出せるよ』
他、胸にしみたり、はっとさせられる言葉がたくさんある
当たり前のこと
本当に当たり前なのか
大切にするってどういうことなのか
たくさん問われて
私も少し母として今ある状況を客観的にみれた
子供も母も天使にならなくていい
悩みながらもがきながら
少しずつ歩けばいい
笑われても後ろ指さされても
自分が信じる方向へ進めばいい
(罪を犯さない、自分を傷つけない前提で) -
Posted by ブクログ
ー私の道を、ひとりで歩く。
〈あらすじ〉
夫と別居中の弓子は、アパートの隣人楓と時折食事をする仲だ。失踪した夫が地元の島にいるかもしれないという情報を知り、ふたりは休息と気分転換を兼ねて島へ旅行に出かけることにした。
〈感想〉
「みちづれはいても、ひとり」という言葉が、等身大にストンと自分の胸の中に落ちてくる感じがしました。価値観が違う2人の旅行は散々なこともありつつ、少しずつ自分を見つめ、取り戻していきます。
でもこの2人と私もまた価値観が違うなあ、と思うのは、私にとっては「ひとりでも、みちづれがいる」という考えになることです。これってすごく大きな違いなんだろうなあと、読んでて弓子と楓のことを不思議に思う気持ちもありました。
爽快感もありつつ、私には不思議な感覚でもありつつ、また歳を重ねたらきっと読み方が違うのだろうなと思いました。
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Posted by ブクログ
少し前に、m.cafeさんのレビューを見て「読みたい」に入れていた。
大阪でワイナリーを営んできた家族のお話。中心となって切り盛りしていた母親が突然帰らぬ人となり、双子の姉弟が中心となって遺された家業を継いでいく。
大阪でブドウづくり?と思ったので調べてみたが、府のホームページには『栽培面積全国第9位、収穫量全国第8位を誇るぶどう産地』と書いてあるのを見て、認識を新たにした。
物語の中では『先のとがったブーツのような大阪府の地形の、ちょうどかかとのあたり』とあり、それだと河内長野市や千早赤阪村あたりになるが、実際には柏原市、交野市、枚方市で栽培が盛んらしい。意外と近くでやっていてちょっと驚く。
とても佳い話だったが、優等生でも頑なな姉・光実がほどけていくのも、出来の悪いほうの弟・歩がしっかりしていくのも、周りの人たちのありようも、ブドウから作り始めるワインづくりの過程が丁寧に描かれるのも、概ね定石通りに話が運び、あまり面白みはなかった。
その中では、歩とあずみの恋とも言いにくい関係の切なさと、現場から軽く見られている経理屋の父親がしっかりものが見えててけっこう腹も据わっているところが良かった。 -
Posted by ブクログ
明日町のこんぺいとう商店街を舞台にした群像劇の体裁で、商店街の7つの店舗の人々を7人の作家が描くアソート短編集。シリーズ4作目。
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寺地はるなさんと山本幸久さんが決め手となって読むことにしました。
自分のペースで楽しく読めたのは前川ほまれさんの「インドカレーママレード」です。タイトルの伏線回収も含めて好きな作りでした。
大島真寿美さんの「カフェスルス」もいつもの (?) にぎやかな関西弁によく合った世界でおもしろかった。
そして山本幸久さんの「おもちゃ屋『うさぎや』」。本巻の7店舗の人たちを見事に巻き込み、ほっこりするハーモニーを聴いているようなまとめ方。こういうゆるやかな連帯を描かせたら右に出る人はいないのではと思う出来栄えでした。
寺地さんの「サクマ手芸店」は終盤こそ読ませるものの、それまでがダイジェストのような端折り方で、いつもの心にじわじわと浸透する感じがしませんでした。超短編は寺地さんには合わないのでしょうか。少し残念でした。