寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大阪市近郊の暁町。
閉店近い創業60年を超えるあかつきマーケット。
人気のゆるキャラ“あかつきん”が突然失踪のあと、町のあちこちに出没。なんだか人助けをしているようだが。
マーケットを中心に その町に住む母親・父親・娘に息子。13の連作ショートで多くの物語を連ねていきます。
「ただの朝と夜」を過ごしている住人達の 心がざわつく悩みや葛藤。一つの町を俯瞰しているようです。
奇跡は起きないけれど、それでも明日のために。
優しすぎない、踏み込みすぎない、そんな住民達の現実的な距離感。
みーんな何かしら心配事があるんだなって、なんだか安心したりした。 -
Posted by ブクログ
「あかつきマーケット」という市場が閉店することをきっかけに、マスコットキャラのあかつきんが町の各所に現れるようになる。そんな町で暮らす人々、その家族等の老若男女の悩みや変化を描いた短編が15篇ほど収録されている。
タイトルがとても素敵だと思った。第一章のタイトルが「朝が明るいとはかぎらない」でプロローグでもそれに触れており、個人にとって明るくない朝もあるし暗くない夜もあるよ、という優しいメッセージを感じた。
各短編からも様々な感情や人生を肯定してくれるような優しさを感じられ、好みの短編もたくさんあった。
しかし各短編が20ページ程で、もう少し読みたかったという気持ちに度々なった。
物語の中で登場人物の繋がりが多数あり、人物名が前に出ていたかを確認したくなることも多かった。それ自体は元々好きなのだけれど、今作では素敵な一つ一つの短い物語に入り込みきれないまま終わってしまうもどかしさがあったように思う。 -
Posted by ブクログ
主人公の女性2人、39歳と41歳。
年齢ほどには、達観した大人でもない、だがしかし、高校生や20歳そこそこの頃のような考え方ももう出来ない。しないんじゃなくて、できなくなるんだよな。
主人公の弓子が幼い尚太君に言った、大人はいつも正しい事を言うわけじゃない、大人になったって何にでもなれるわけじゃないし、何でもできる様になれるわけじゃない。
だけど、少なくとも、自分の食べる物を自分で用意できる。
自分で、ひとりでだって、生きていける、歩いて行ける。
依存体質の人や搾取しようと近寄ってくる人や、色んな人がいますが、取り込まれない様自分の足で立って歩いて、生きていきましょう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレワイン好きなので、ワイナリーが舞台というだけでとても楽しく、興味深く読んだ。葡萄の棚が続く丘を思い浮かべるとそれだけで気持ちが清々する。
親子や兄弟間の思いやり合い・葛藤などは、どこの家庭でもあるような問題ではあるけれど、家族経営の会社などはそういう問題がより濃く出るのかもしれない。
とにかく、できることや、やらなければならないことをひたすら続けること。進むこと。そういうことが大切なのかなと思う。
「嫌なことからも面倒なことからも、逃げ続けることはできません。受け止めるしかない。怖がって目逸らしたらあかん。逸らしてたら身体のどこにぶつかってくるかわからん。大怪我するからな。しっかり目開けてみろ。よう見て、しっかり受けとめて、いろんな角度から観察してみなさい。正体がわかったら、あとは叩き潰すなり、よそに放り投げるなり、煮て食うなり焼いて食うなり、好きにしなさい。
(略)
ふたりでも受け止められへん場合は、今日のことを思い出しなさい。そこにいる人たちのことを。お前たちのためにどれだけの人が集まってくれたか。どれだけの人が力を貸してくれたか。ひとりっきりでもないし、ふたりっきりでもありません。お前たちは。」333〜334頁
それともう2つ…共感したり、心に残ったりしたところ:
1.歩くんが日野さんに果敢に交渉にいくところ(217頁辺り)。日本は仕事の仕方が属人的すぎると私もよく感じる。「他の人が真似できない至高の技を持つ職人」が尊敬されるのはわかるけれど… 特に企業は組織で動いている以上属人的すぎるのは良くないと思うのだけれど、意外とまだそういう仕組みで動いている会社が多いように思う。
2.あずみちゃんと彼女の母親との関係についての歩くんの考え方「自分の母親にこういう問題点がある、と把握することは、自分の母親を否定することとはちがう。それは、わけて考えた方がいい。」(265頁)
上から目線の言い方になってしまうかもしれないけれど、日本人って「こうと決めた以上は全てを呑み込んで突き進むべき」みたいな潔癖な考え方をする人が多いような気がする。もう少し割り切って柔軟に考えてもいいんじゃないかと思う。
寺地さんとは同年代。田辺聖子さんが好きなのも同じ。読んでいて違和感やストレスを感じないので、たいへん読みやすい。