小野寺史宜のレビュー一覧
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妻絵美が友人と遊びに行く途中の山中でタクシーごと事故に合い亡くなった。残された俊英は、妻の持ち物の携帯電話のロックを解除する日々。周りからは付き合いが悪く、集中力もないと思われる毎日。そんな中、弟の結婚話が持ち上がる。
無気力な主人公と、その無気力の原因から始まり、結構長い間説明で終始する前半。携帯電話のロック解除のトライが続き、特に話が進まないのが難。しかし、携帯電話のロック解除がある程度目処が付き始めた頃から話の展開が始まる。
妻の大学でのエピソードや、やや特殊な家庭事情でまあボリュームはあるものの、ちょっと無駄なエピソードで無理やり膨らませた感のあるストーリー。確かに展開し始めてから -
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小野寺さんは本当に日常を切り取るのが上手いなぁ。
端から見たら何の変哲もない日常なのに、小野寺さんの手にかかれば、たちまち味わいのある誰かの日常へと変化する。
そんな風に思わせてくれる短編集でした。
お気に入りは、
*冬の女子部長
*君を待つ
*ハグは十五秒
*カートおじさん
小さなものから大きなものまで、日常的に幾度となく迫られる選択の数々。その大小に関わらず感情は揺れ動くもの。
そんな登場人物たちの様子が描かれていました。
転校生に翻弄される小学生から妻の浮気を疑う夫…と、世代もシチュエーションも様々でそっと見守るような気持ちで読み終えました。
軽い読み心地で隙間時間にもピッタリ!
ち -
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小野寺さん5冊目だが、今までの本と違い、暗い内容で読むペースが一気に落ちて、何冊も時代小説を間に読んでしまった。本の帯に「その夜、四人の男女は、闇に侵された」とあった。四人を別々に主人公とした短編だが、個々に何らかの関連を持つ。
人気のある対戦相手を倒して頂点を感じたボクサー、そのボクサーの支払いを間違えて多く受け取った女性タクシー運転手、そのタクシーで大酒を飲んで帰宅した警察官、その警察官に自宅で殴られた教師の妻。酔った警察官に殴られても抵抗せず重傷を負ったボクサー。
暗い、暗すぎる。夜の闇に飲み込まれたようで苦しい。最後の数ページでやっとの夜明け。微かな光明を見る。
今までの作者の主人公像 -
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主人公は高校生の頃から、いわゆる「普通の人」なのだが、高校時代のバンド仲間は、主人公以外は皆、キラキラしたスター的な存在。時の流れの中で、高校時代のスター達も「普通の人」になって社会に溶け込んでゆく…。
時の移り変わりと共に、表面的なことで言えば、それぞれの生活や関係性も変化してゆくのだが、内面的なものは、実はそれほど大きくは変わらない…さらに言えば、全然変わらないままだったりする。それが主人公やその仲間達との関係性に大きなうねりをもたらし、この小説の最終章に繋がってゆく。
淡々とした「普通の人」の人生なのだけれど、なぜか一気に読めてしまう…そんな小説でした。 -
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小説家の著者が、家賃5万円で住める風呂付きワンルームを東京23区の1区ごとに検索し、その周辺を歩き回って紹介するエッセイ。少し歩いてはその地のお店でお昼ご飯を食べ、最後はカフェで珈琲を飲んで終わるのが定番。東京に住んだこともない人間にとっては、こんな本読めるか!と最初は思ったけど、著者の小気味よい筆致がそれなりに心地良いので自然と読み進められた。エッセイ自身には脱線も多くそんなに写真も無いので紹介されている地域のことがそんなに分かるわけでもないのだが、Google Mapで確認しながら読んでいると東京の地理に詳しくなった気がしてきた。もし東京に住むことになったら、この本を参考にしてみるのも良さ