小野寺史宜のレビュー一覧
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タイトル通り、同じ電車の同じ車両に、たまたま乗り合わせた見知らぬ男女たちが織りなす奇跡を書いた7つの短編。しかし奇跡とも言い難い話もあったかなあ。それぞれがそれぞれの短編の主役。
最初の話では『僕』は電車内で腹が痛くなり、我慢ができずにしゃがみ込んでしまう。たまたま隣にいた女性も体調が悪くなりしゃがみ込む。
この光景がいずれの話にも登場する。読書していたOLの話にも、事件の容疑者を尾行している刑事の話にも、カップ麺の商品開発のサラリーマンにも…
ちょうどこの小説を比較的混んでいる埼京線の中で座って読んだ。
電車の中で誰かが何かをするような大きなトピックは無かったものの、僕の隣に座っていたOL -
Posted by ブクログ
週末恒例の私的行事「お仕事帰り本屋さん散策」で出遭いました。
第1話「青戸条哉の奇跡 竜を放つ」の冒頭です。
暴れ竜がいる。どこにって、腹に。
ヤバい。相当ヤバい。ぼく史上最悪レベル。過去最凶の竜だ。
電車に乗っている。
あららら、この人だいじょうぶなのかしら?
短い文が、畳みかけるように切迫感を伝えます。
文を追いながら惹き寄せられて指が本に吸い付いていくのが分かります。これは、買うしかないわ。
面白いです♡ オススメです!
電車に乗って揺れと走行音の中で読むのにピッタリかも。(突発的笑い・にやけ顔の制御は必要です)
全部で7話。同じ車内に居合わせて起こる奇跡が描かれて -
Posted by ブクログ
片岡泉、という女性のことを、こどもから大人になるまでに出会った友だちやいとこ、元カレ、職場の人の視点で描き、最後は本人が登場するという構成
始めは両親の不仲でおばあちゃんに預けられた、少しかわいそうな「泉ちゃん」かと思ったら、全然そんなことはなく、好きなもの、好きな人を好きと言える、真っ直ぐな子。
中学生、高校生、大人になると、その真っ直ぐさと本人なりの主義主張で、周りを驚かせたり、振り回したりすることもあるけど、不快にはさせず、何か惹きつける、不思議な泉。
うらやましいとは少し違うけど、人に媚びない、自分なりの主義主張を曲げない真っ直ぐな泉さんが面白かった。