小野寺史宜のレビュー一覧
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人には光があり、陰がある。どちらも同じ人のなかにある。それは変えられない。
人とはそういうものだ。出会うタイミングが大事。それですべてが決まってしまうこともある。
大変な分楽しい、と言えるかもしれない。
笑顔にうそがないのは本当にいい。
どうやっても大変は大変。ならせめて、大変だけど楽しい、をずっと感じていたい。楽しいけど大変、よりは、大変だけど楽しい、のほうがいい。
正解なんてないよ。結局、自分の言葉で言わないと何も伝わらないから。
理解してくれたうえで無干渉。それが理想。
どうしても自分の意図が伝わらないなんてことにもなる。そうなったときに一つ一つ片づけていくしかないでしょ。
無理に続けよ -
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小野寺さん8冊目。
自動車の運転教習所教官の仕事小説かと思ったが、離婚して妻と一緒にいた高校生の娘の妊娠騒動がメイン。10年以上会えなかった娘に親バカが炸裂。元妻に同行を頼まれ、相手の親や高校に同行し、言わなくて良いこともつい言ってしまう。纏わりついたと勘違いして、娘の友達を捕まえたり、娘の妊娠させた相手を恫喝したりということも。
それでいて教官としては交通法規を厳守し、生徒に誠実に対処する。ギャップがありすぎなような気がする。
小説に多数出て来る古いロックの曲が、聴けば分かるかも知れないが、タイトルだけでは思い出せない。主人公の心象風景を強く表しているのだろうが、浮かばず残念。 -
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映画館に入る前と
映画館を出たあとでは
何かが変わっている
だから映画は好き
(冒頭のことばより)
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人生には良いことも悪いこともあり、それを天使と悪魔の仕業と考えることもできます。
本書は生と死にスポットライトをあてた10編の物語がみられる映画館、という設定です。
装丁も凝っていて、扉がそれぞれレイトショーで映画を観ている風のイラストになっています。
(ただ、p.147の扉は、観客の人がこちらを振り返るイラストになっており、一瞬、自分が見られているかも…とドキッとします)
読み終えると真っ黒でノイジーなページが続き、まるでエンドロールのようでした。
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今回のおすすめ『おれ、降臨』
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作者名で読んでいるが、今回の作品は主人公側に多分に問題が多く、内容も暗く辛い場面が続くが、淡々として書かれているので何とか読み終えられた。
結婚して4年目なのに奥さんが交通事故で亡くなってしまう。毎晩、ビールを飲みながら残された携帯のパスワードを打つ毎日。どんどん酒量が増え、止瀉剤も飲むほどで仕事にも影響が出始める。
解除された奥さんの携帯に残された不倫の形跡。
奥さんの秘密が次々と明かされて行くが、その原因の一つに主人公の問題も。主人公の高校時代の恋愛観、奥さんが流産してから関係など。
重い、重すぎる。多少の未来への明るさが仄みえて、何とか締めて貰った。 -
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ネタバレ益子豊士
四葉自動車教習所の教官。四十五歳。
岡美鈴
豊士の元妻。アパレルメーカー勤め。
美月
豊士の娘。十七歳で妊娠。
高梨
美鈴が付き合ってる会社員。
万由
豊士が付き合ってる。期限付きで大阪に異動。繊維メーカー勤め。
林田佳世
教習生。三十五歳。AT限定。
小西日南子
教習所のカウンター担当。
臼井しの
六十九歳の教習生。
加島
教習所教官。
津村良太
教習所教官。
吉野草安
ロックバー『ソーアン』のマスター。五十五歳。
森田冬香
『ソーアン』のアルバイト。三十八歳。十七歳の息子、幹矢がいる。
維安
草安の子ども。スカイマップ・アソシエイツというプロのミュージシャ -
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ネタバレ下田保幸
クラリネット奏者。解散した『井村勝とロンサム・ハーツ』の元メンバー。四十六歳。
草木精二
カフェ『ジャンブル』のマスター。
佐久間音矢
警察に捕まり、身元引受人に下田を指名。二十二歳。ギタリスト。
佐久間留美
二十五年前に下田が大学生の頃に付き合ってた。十二年前に脳腫瘍で死んでいる。
野沢
男性警官。
小川栄
ロンサム・ハーツで下田の前にクラリネットを吹いていた。いわば下田の師匠。
鈴森朋子
下田の高校の同級生。ブラスバンド部。
薮内
下田の生徒。四十歳独身男性。
高倉乃々
フリーライター。下田が通う朝食バイキングの常連。
岸忠義
弁護士。
松江省吾
スカイマップ -
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『ひと』を読んでから気になった作家さん。
今回は「近いはずの人』ということで、夫婦のお話。
亡くなった奥さんの携帯から、別の男性とのメールのやり取りを見つけてしまう。それを知った男の葛藤。
0000から暗証番号を打ち続けてロックを解除してするとか、どんな根気…。
真相は何とも言えないけれど、近くにいる人の事なんて、分かっているようで分かっていない。
知らない事なんて多いし、知らない方がいい事もあるかもしれない。
「313ページのたったひと言にあなたはきっと涙する」って帯に書いてあったけど、それはあまりよくわからなかったなぁ。
結婚してると違うのかなぁ。 -
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妻絵美が友人と遊びに行く途中の山中でタクシーごと事故に合い亡くなった。残された俊英は、妻の持ち物の携帯電話のロックを解除する日々。周りからは付き合いが悪く、集中力もないと思われる毎日。そんな中、弟の結婚話が持ち上がる。
無気力な主人公と、その無気力の原因から始まり、結構長い間説明で終始する前半。携帯電話のロック解除のトライが続き、特に話が進まないのが難。しかし、携帯電話のロック解除がある程度目処が付き始めた頃から話の展開が始まる。
妻の大学でのエピソードや、やや特殊な家庭事情でまあボリュームはあるものの、ちょっと無駄なエピソードで無理やり膨らませた感のあるストーリー。確かに展開し始めてから -
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小野寺さんは本当に日常を切り取るのが上手いなぁ。
端から見たら何の変哲もない日常なのに、小野寺さんの手にかかれば、たちまち味わいのある誰かの日常へと変化する。
そんな風に思わせてくれる短編集でした。
お気に入りは、
*冬の女子部長
*君を待つ
*ハグは十五秒
*カートおじさん
小さなものから大きなものまで、日常的に幾度となく迫られる選択の数々。その大小に関わらず感情は揺れ動くもの。
そんな登場人物たちの様子が描かれていました。
転校生に翻弄される小学生から妻の浮気を疑う夫…と、世代もシチュエーションも様々でそっと見守るような気持ちで読み終えました。
軽い読み心地で隙間時間にもピッタリ!
ち