小野寺史宜のレビュー一覧
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主人公は高校生の頃から、いわゆる「普通の人」なのだが、高校時代のバンド仲間は、主人公以外は皆、キラキラしたスター的な存在。時の流れの中で、高校時代のスター達も「普通の人」になって社会に溶け込んでゆく…。
時の移り変わりと共に、表面的なことで言えば、それぞれの生活や関係性も変化してゆくのだが、内面的なものは、実はそれほど大きくは変わらない…さらに言えば、全然変わらないままだったりする。それが主人公やその仲間達との関係性に大きなうねりをもたらし、この小説の最終章に繋がってゆく。
淡々とした「普通の人」の人生なのだけれど、なぜか一気に読めてしまう…そんな小説でした。 -
Posted by ブクログ
小説家の著者が、家賃5万円で住める風呂付きワンルームを東京23区の1区ごとに検索し、その周辺を歩き回って紹介するエッセイ。少し歩いてはその地のお店でお昼ご飯を食べ、最後はカフェで珈琲を飲んで終わるのが定番。東京に住んだこともない人間にとっては、こんな本読めるか!と最初は思ったけど、著者の小気味よい筆致がそれなりに心地良いので自然と読み進められた。エッセイ自身には脱線も多くそんなに写真も無いので紹介されている地域のことがそんなに分かるわけでもないのだが、Google Mapで確認しながら読んでいると東京の地理に詳しくなった気がしてきた。もし東京に住むことになったら、この本を参考にしてみるのも良さ
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Posted by ブクログ
主人公の男性は悪い人ではないんだけど女性からするともう少し決断力と言葉で伝える表現力がほしいところ。
スカしてないのにスカして見られるタイプなんだろうけど、だからこそ密に自分の気持ちを伝えたり相手の気持ちを聞いたりしてほしい。と自分も同じタイプだから自戒を込めて思ってしまう。
みっともなくても理解が及ばなくてもいいから、とにかく言葉で伝え合ってさえいれば、彼は自然と違う道を歩んでいたのではと。
対極にいるかのような後輩くんの思考・選択は全くもって理解できなかったがどこか憎めない。彼を好きになった主人公やくるみの気持ちがよく分かる。
この作品は他の小野寺作品とは少し毛色が違って、動くより考え -
Posted by ブクログ
”たくさんの街の顔”
街を描いたらピカイチな好きな作家の街にまつわる作品。
「SUUMOタウン」に掲載されていた東京二十三区を全てを巡るエッセイ。
著者も結びで書いているように、深い感動や刺激をもらう内容ではない。純粋に楽しみながら街を歩く様子が淡々と記されている。自分が住んでいる街や馴染みのある場所を訪れていたらより味わい深さが増すんじゃないかな。
当たり前だけど、その場所によって変化する街に対する感覚や考え方、その描写の多彩さが印象的だった。
”(空がちゃんと見えるのだ)これはかなり重要。こんな町でも、屋外にいれば空は見える。でもそれらはたいてい、高い建物でジグザグに縁どられた狭い空だ