小野寺史宜のレビュー一覧
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私は両親との関係は良くも悪くもない。ちょっぴり悪いよりの。
今思うと自分の軽率な行動から亀裂が入ったということも、考えるようになった。
そんな想いがあったからこそ、この本のタイトルやカバーを見た時に、自然に手に取っていた。
自分は両親に似ていないと思っていたけど、少しずつ2人の要素をもらっている。
多少なりとも外交的なのは母似だし、本を読んだり、インドアっぽさが多少なりともあるのは父親から来ていると思う。
それを踏まえて、まだまだ自分は両親のことを知らない。
自分がどんな思いで産んだのか。
どんな思いで名前をつけたのか。
高齢出産に不安がなかったのか。
両親達の関係が崩れるようなこ -
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ネタバレ刑事である律を中心に、彼女でシングルマザーの澄音やその娘の海音との日常が描かれる。
刑事が主人公だけど事件の話はまったく出てこず、淡々と、本当に淡々と話が進む。
刑事も一人の人間だし、それぞれに人生がある。
そして、事件の犯人にも人生があり、その家族にも人生がある。
律たちの生活や人生が描かれる中で、ふんわりとそんなことが伝わってくる小説だった。
唯一話が大きく動いたと感じたシーンは、澄音の父親と海音との3人のシーンと、律が事件の被疑者を捕えようと対峙するシーン。(別に作者はここを見どころとして書いたわけではないと思うが。)
基本的に受容タイプの律が、明確に意志を現した場面だと思うし、だか -
Posted by ブクログ
東京の堀切二丁目にある日比野豆腐店。日々の豆腐とも読めるのが、親近感がわきました。こういうお店で売られているおとうふは、とてもおいしいんだろうな。お値段は高いけれど。木綿と絹の作り方の違いなど、ちょっとした知識も書かれていました。
亡くした家族の思い出、コロナ禍での出来事、日々の豆腐店の様子などをそれぞれの家族が語りつつ、物語は進んでいきました。あいだにある、ねこの福の断章が、見守っているひとの様子を伝えてくれ、暖かい気持ちになれました。
近くに日比野豆腐店のようなお店があれば、楽しみがひとつ増えそうな気がしました。家族がつないでいくものがあるのは、いいなと思いました。こんなふうに生きてい -
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タイトルの『モノ』とは『モノレール』であり『モノローグ』でもあり、モノクロでもモノラルの意味もあるそうだ。
羽田空港~浜松町間の単線だけを運行する「東京モノレール」。そこで働く社員達4名の日々を描いた小説。そしてその4名の日常がドラマ化されるのだ。(もちろんフィクションだが)
東京モノレールは羽田空港に行く時しか乗ることは無かったが、当然ながら途中の駅で働いている人もいれば、住んでいる人もいる。
最後に『おまけ』としての1ページがあり、『お〜!』っとなる。
東京モノレールで通勤している知人がいるが、読んでみたら新たな発見があるかもしれないから勧めてみようかな。