小野寺史宜のレビュー一覧
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小野寺さんのこういう作風も嫌いではない。特別な主人公ではない岐路に立つ男女4人の迷いが夜の闇に現れる。試合に負けたボクサー、借金を背負った女性タクシードライバーに続き、仕事も夫婦関係もうまくいかない警察官と妻の高校国語教師ら。まるで彼らは私たちの日々の暮らしを代弁してくれているようだ。夜が来て、深夜の闇に紛れ、善と悪の狭間に身を置き、悩みすれ違う。自身に年齢が近かったせか、最後に登場した警官の夫婦間に交わされる会話は身につまされた。夫は交番勤務の坪田澄哉で、転勤先の上司とうまくいかずに、早番の日は家に帰らず梯子酒で憂さを晴らしていた。妻の荒木奈苗は、結婚後も勤務先の高校で独身時代から名乗ってい
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Posted by ブクログ
今回のお仕事はアルバイト。大卒で2つの会社を退職し、只今、コンビニのバイト中。これだけだと生活が厳しいので結婚式等への代理出席のアルバイトをする。その結婚式場へ高校時代の同級生が現れ、恋の予感。
小野寺さんの小説に出て来る主人公は淡々とした平凡な人間が多い。今住んでいるのは学生時代から八年も住み続けるアパート。上の階にガサツな男性が引越して騒音に悩まされるが、注意に行けない。偶然、この男性家族との接点ができたことから、次々と他の住人達との交流が出来る。
親の離婚問題・母の再婚、隣人の不慮の死など、それなりに大きな出来事があるのだが、淡々と進んで行くのでスルスルと読み進められる。
このまま先の希 -
Posted by ブクログ
短編集。
これまでに読んだ「ひと」「まち」の主人公とは違い、情けなさやトゲや引け目を持った登場人物が多い。
「針」の主人公なんかはまさに関わりたくないタイプ。
ちょっと面食らった部分もあるけれど、リズムのある文体と軽妙なユーモアを感じる。
登場人物の視点が変わると同じセリフでも背景が分かってくる部分、こちらのとらえ方も変わってくる。
すごく当たり前だけど、
「人って色々あるよね」と思わされる。
最後の「終」の短い文章で、これまでつながってきた縁が、登場人物を前向きにしてくれるような、そんな読後感を覚えた。
それはもちろん、読んでいるこちらの気持ちも前向きにしてくれるものだと思う。
「つい