あらすじ
寝坊で卒論を出しそこね、留年が決定した海平。片見里の実家に戻るとばあちゃんから「東京に出た同級生・中林継男を捜してくれ」と頼まれた。一方、その継男はひょんなことから「オレオレ詐欺」の片棒を担ぎかけるハメに!?同じ片見里出身ということ以外、接点のなかった継男と海平が荒川で出会った。継男はある〈ヤバい〉ことを海平に依頼する。
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75歳、22歳年の差の人生観の対比、普通もっと重々しく感じるテーマのだが軽くコミカルに描かれ面白い。
自分自身の歳がちょうど二人の中間くらいになるのだが、やっぱり継男さん側に感情が入る。まだ終活には早いとは思いつつももう後半戦だからだろうか。
75歳いかにも達観した感があるが、これからも先は長いと前向きな継男さんに勇気を貰える。
海平も全然ダメ男ってわけではないし、すごく悩んでいるようでもなく、それでも迷っている感が今時の若者風に見える。最後は継男さんに感化され動き出したところは、予想はされたが良い感じだった。
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今まで読んだ小野寺史宜さんとは少し違って、文章になんだかスピード感があった。
75歳の中林継男さんとりまく同級生の友達。歳を重ねれば色んな事があるし、自分の身体の変化も受け入れなければならない。それぞれを思いやる関係が良かった。
大学5年生になってしまった海平は、自分自身が原因なのにそれになかなか向かい合えずに…若さ故のフラフラ感がどうにもならない。
今時の若いモンは…と一喝しがちなのを、受け入れる中林さんはすごい。二人のギャップを楽しんでるようにも感じ、こんな75歳はいいなぁと思った。
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地方出身で関東に居る自分自身に近い内容なので、かなり心に染みてしまう。先週、高校の同級会があり、今回、田舎から出て来た同級生含めてどうしても家が近い友達だけで席が集まってしまう。
片見里という地方都市を中心とした住人達の交流。75才の同級生同士の親分子分の関係とか男女の淡い恋、小さい頃の冒険とか、墓仕舞い、家仕舞いなどてんこ盛りの内容。それに今問題となっている詐欺事件。
これに寝坊して卒論提出が間に合わない22才の学生が絡み、片見里出身者同士の騒動が展開して行く。淡々とした展開ではあるが、最後は心温まる内容に安心する。
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寝坊で卒論を出しそこね、内定を取り消され、彼女まで失った田渕海平。
オレオレ詐欺の片棒を担がされそうになった中林継男。
とある理由で東京で出会った二人は年の差五十三歳で、共通点は片見里出身ということだけ。
東京で一人暮らしの友人を気にかける75歳独身の継男がいい人すぎて、何だかしみじみと心に沁みてくる。
一方の22歳海平も、継男に出会ったことによって人生が少しずつ変わり始める。
小野寺さんの描くお話は、淡々としているように見えるけれど奥が深くて、老いも若きも関係なく、生きてるっていいなぁと思わせてくれる。
人との出会い、特に家族や同級生たちとの再会を通して地元愛を感じる、前向きで温かい作品だった。
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☆4
片見里出身の年齢差53歳の継男と海平が繰り広げる、人と人との繋がりや大切さを改めて考えさせられる物語。
何歳であっても、自分らくしく生きていくことの大切さに気付かされた作品でした。
何も知らずに先にこちらの作品を読んでしまったのですが、前日譚である「片見里、二代目坊主と草食男子の不器用リベンジ」があると知り、読まなければ!と思ってしまいました。(徳弥さんと一時さんの過去が気になり過ぎて…)
やっぱり小野寺さんの作品は、ほのぼのしていて癒されます(*´˘`*)
Posted by ブクログ
二度寝で失敗する海平と、オレオレ詐欺の片棒を担がされそうになる継男は、ともに「片見里」出身で東京暮らしだ。ひょんな事から2人の関係が始まる。狭いようで広い東京、いろんな人が登場するが皆良い人。詐欺集団のボス「菅(カン)」でさえ心底ワルに思えないのは、さすが小野寺ワールド。
就活浪人、海平がアタックするのはSCOTCH GRAINブランドのヒロカワ製靴かな?社会人になった海平のその後が知りたい。是非続編を。