小野寺史宜のレビュー一覧

  • 夜の側に立つ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    野本了治を中心に高校時代からの仲間、榊信明、辰巳壮介、小出君香、萩原昌子らが繰り広げる壮大な物語だが、大きな事件が話をやや複雑にしている.成瀬夫人事件、地下鉄事件、水難事件だ.了治の兄夫妻も面白い役割を果たしている.バンドの結成が彼らを強く結びつけたのだろう.エピソードを小分けにして語っていく構成も楽しめた.

    0
    2022年03月17日
  • 本日も教官なり

    Posted by ブクログ

    ほんのちょっとの嘘をついたことが原因で離婚した豊士。娘の妊娠を機に、疎遠だった元家族と交わるようになる。相手の両親と話し合う場面、高校の教師と話し合う場面、ともに気の利いたことが言えずカッコ悪い豊士。でも悪いと思ったら、相手が子供でも頭を下げたり、免許取得のタイムリミットギリギリの大学生、七八に嘘はいけないと毅然としたところはなかなかカッコ良い。
    はてさて、元家族の行く末が気になるところ。
    オノデラ文学ハズレ無し。

    0
    2022年03月14日
  • 天使と悪魔のシネマ

    Posted by ブクログ

    死を扱った短編集なのに、妙にさわやかというか明るいというか、もちろんしんどい話もあるんだけど、ついつい読み進めてしまう面白さがあった。昔なんかの本で、助けられた子どもがその事実に耐えられなくなって結局自殺してしまったって話を読んだので、この本で「純粋な小学生が不純なバカ中学生へと成長を遂げた」ところを助けた本人が見て「良かった」と思えたとこが一番印象的。

    0
    2022年03月04日
  • 本日も教官なり

    Posted by ブクログ

    読みやすい、スイスイ読んでしまう。
    益子さんは教習所の先生。電気機器メーカーに勤めていた頃、仕事がきつく体を壊し会社を辞めたいと妻に相談したが、受け入れてもらえず、別の女の人を誘った。それが原因で離婚、当時6歳だった娘とは合わないと約束させられた。その娘が17歳になり、妊娠したと元配偶者から電話がかかってくるところから始まる。教習所の生徒の話、行きつけのバー「ソーアン」でのロックの話。

    0
    2022年03月03日
  • 本日も教官なり

    Posted by ブクログ

    「教官」という仕事を知ったこと、『ひと』の小野寺さんが著者であること、色々重なって手に取った。
    登場する一人一人が格好良い。すごく前向きになれる。

    0
    2022年02月13日
  • みつばの郵便屋さん 階下の君は

    Posted by ブクログ

    シリーズ6作目。とてもとても相変わらずです。そこがいいのだけれど、みつばから異動できないのは、シリーズ維持のせいだね。さて、そろそろ終結かな。

    0
    2022年01月10日
  • ホケツ!

    Posted by ブクログ

    若い人向けの青春もの、かなと想像して読み始めたのですが、結構充実の内容でした。さすが憲剛推薦図書です!

    0
    2021年12月24日
  • 家族のシナリオ

    Posted by ブクログ

    悪く言えば覇気のない、良く言えばずっと穏やかな著者の作品の定番男子、想哉。
    著者の作品は、実はかなりヘビーな内容であることが多いのですが、主人公の性格のせいか、まったりと優しい気持ちで向き合うことが出来ることが多く、かなり好みです。
    ヒッチコック映画、実は見た事がなく、今回この期に1度見てみたいと思いました。
    今回も再読。
    短いセンテンスの文体が読みやすく、休日に良い読書時間を持つことが出来ました。

    0
    2021年12月08日
  • 縁

    Posted by ブクログ

    ただ、普通に生活をしていても、どこかで人と人は繋がっている。
    世間は狭いと言わず、縁と言うとこが綺麗で良かった。初めて読むような少し不思議な内容だったけど、読後感がいいのでおすすめ。

    一番好きな話は、2章の「塵」かな。

    0
    2021年10月03日
  • 縁

    Posted by ブクログ

    紹介より

    人と人はつながっている。
    たとえ、どこの誰だか知らなくても。
    2019年本屋大賞第2位『ひと』の俊英、会心作!

    「親御さんと、こう、親しすぎるんじゃないかと」
    室屋忠仁、38歳。少年サッカークラブでコーチのボランティアをしていたが。

    「こんなふうになるからもう無理だってこと」
    春日真波、28歳。デート中、鈍い彼氏にきつくあたってしまったら。

    「おれなら土下座だってしますけどね」
    田村洋造、52歳。25歳の息子が女子高校生と付き合い、その父親に呼び出されて。

    「何とかするよ。百万で、いいかな?」
    国崎友恵、52歳。息子の就職の口利きのため、お金が必要に。

    人は人を傷つけ

    0
    2021年10月02日
  • 縁

    Posted by ブクログ

    なんというか、すんでのところで踏みとどまり、無事に日常生活に戻れたヒトビト。
    登場人物同士のつながりやらシチュエーションやら、絶妙で巧みだなぁと思うことしきり。

    0
    2021年09月21日
  • 近いはずの人

    Posted by ブクログ

    正直言って感動はなかったけど、主人公が一つ大きなヤマを乗り越えた気がします。片肘張らずに頑張ってるところが好印象。

    0
    2021年09月07日
  • 家族のシナリオ

    Posted by ブクログ

    ドラマティックに書こうと思えば
    いくらでも書けそうなエピソードなのに
    小野寺さんにかかると
    なんともいえない「ありのまま」感がでる。

    もう、大好きとしか言いようがない。

    0
    2021年09月04日
  • ひりつく夜の音(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    小野寺さんが描く中年が主人公の作品を始めて読んだ。
    でもほかの作品の青年と同じように、内側に熱を秘めた静かに自分と周りを観察している人物で心地よい。きちんと自分の手の届く範囲を見て、自分の生活を「生きて」いる感じがして、不思議と安心する。

    さて本作。
    ジャズマンでクラリネット奏者の下田保幸のところへ警察からの連絡。身元引受を依頼してきたのは25年前の元彼女の息子・音矢だった。そこから始まる保幸と音矢の生活。繋いでいるのは音楽。


    自分が一番大切にしているもの(=音楽)がはっきりしていて、それ以外(収入の低さ、不安定さなど)の不安は淡々と受け入れて生きる。食はシンプル、ファミレス朝食海賊は週

    0
    2021年08月31日
  • ホケツ!

    Posted by ブクログ

    サッカーの小説は名作が多い!いや、サッカーを愛する作家に素晴らしい人が多いのか?とにかく面白かったです。主人公は万年ベンチの補欠の選手。かといってレギュラーに対して劣等感を感じ、卑屈な高校生活を送っているということではなく、それぞれの選手や登場人物が、それぞれの立場から悩んだり喜んだりしています。5月から7月までのほんの3か月の物語ですが、豊かな青春生活の貴重な体験を、一緒に過ごさせてもらって、充実感は抜群でした。

    0
    2021年08月23日
  • ホケツ!

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    サッカー全く興味なし
    高校生の息子はいるけど
    高校生が主役の小説なんて別に興味なし
    何も事件起きないし
    え?どうなるの?なんて展開も全くない

    なのに、引きつけられる
    あっという間に読み終わってしまう

    こんな子いいなぁ
    こんな風に生きたいなぁ
    小野寺さんの本を読むと
    毎回思わされるなぁ

    最後ありがちな終わり方なのに
    嬉しくて、ちょっとうるっときた

    真乃ちゃんと家族になって
    大地がお父さんになって
    サッカー部のみんなと集まったり
    子育てと仕事におわれたり…
    そんな日常を描いた続編希望します♪

    0
    2021年08月17日
  • みつばの郵便屋さん 階下の君は

    Posted by ブクログ

    安定の郵便配達お仕事小説。誤配への対応とか空き家への対応が丁寧。配送業者に対しライバル会社と言わず同業者と言える人柄が素敵。

    0
    2021年08月15日
  • 夜の側に立つ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白かったが読後の後味があまりよくなかった。

    主人公に殺意があったのか。。

    凄く考えさせられる物語だった。

    0
    2021年08月09日
  • それ自体が奇跡

    Posted by ブクログ

    サッカーをずっとやり続けたい貢、サッカーになどまるで興味のない妻綾、田口夫妻の話。貢君、カッコいいんだろうな。で、綾ちゃんもお客様と映画に行くなんて、素敵な女性なんだろうな。いろいろあってもいいんだけど、悪い結末にならないでと思ってしまえるカップルだった。

    わたしも好きにするから。何を好きにするのか。聞こえないふりをした。こわかったから。訊いたら、綾は答えなければいけなくなる。何を好きにして、何を好きにしないのか、決めなければいけなくなる。言葉は侮れない。口にしてしまったせいで、後戻りが出来なくなる。その通りに動かざるを得なくなる。

    0
    2021年07月30日
  • 今夜

    Posted by ブクログ

     都会(東京)の片隅で暮らす普通の人々の不穏さを描く群像劇。

          * * * * *

     なかなか思い通りにはいかない人生。そんな人生を不器用かつ精一杯生きている人たち。
     ただ時々、夜の闇に紛れるようにして、よくない方に足を踏み入れそうになることがあります。
     それはある意味仕方ない。人間はそんなに強くはないからです。

     大切なのは、その後の行動をどうするかということ。そんなことを考えさせてくれる作品でした。

    0
    2021年07月25日