辻堂ゆめのレビュー一覧
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やっぱりどういった書き方がされているかが気になって考えながら読んでいた。で、王道というか、保守派というか、そういったふうな書き手の印象を受けたのだけれど、そういった書き方でシンプルに実力をつけていこうとした時期に書いたのかな、とも思いながら読み進めていった。やがて気づいたのは、この書き方は書き手による「エンタメ的親切」なのだということ。
横に流れていくスピードが速く、ページはどんどん消化されていく。わかりやすい言葉を用いて、簡便な文章で語られるミステリ。どういった人たちが本書を手に取るかというターゲット層がしっかり把握されていて、そこに作家の力が凝集されているふうだった。
淡々とした筆致で -
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嵐の夜に突如現れた青年をトリガーとして、理想的なふつうの四人家族それぞれの隠していた秘密が明らかになっていくライトなミステリ。家族という纏まりは強い繋がりを持ってはいるけれど、最も近い他者の集合である事実は覆しようもなく、その矛盾の距離感ゆえに事実が秘匿されるというのは、誰もが一度は経験したことのある事柄なのではないでしょうか。輪の中にいる人間でさえ見通すことの出来ない個々が抱えたネガフィルムを踏まえて家族を捉えることなど、第三者には土台無理な話なのだから、羨望、憐憫、義憤その他諸々の感情を一方的によそへ向けるのは意味がないし止めた方が良いよねと、この“大詮索時代”に生きる私は思ったりもするの
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驚異の執筆スピードの裏側に、3児の母の日常あり。
私が追いかけている作家さんの中でも、群を抜いて刊行ペースが早い辻堂ゆめさん。その裏側を覗いてみれば、なんと3人のお子さんを育てながらの執筆というから驚愕の一言です!
「えっ、そのペースで出し続けていて、いつ育児してるの!?」という疑問への答えがここに。
子育てを経験した人なら「あるある!」と膝を打つ懐かしさがあり、これからの方には「作家業と育児の両立」というリアルな戦記として参考になるはず。
■引用
子育てに限らず、人は簡単に、過去の出来事を忘れていく。エピソードとしては覚えていても、感触や匂い、温度、痛み、音、大きさ、色――そうした感 -
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本選びに悩む10代に送るアンソロジーということで、ターゲット的には若年層向けっぽいけど、誰が読んでも楽しむことができると思った。
今回は四作品が収録されていて、どの作家さんも割と有名。まあだからこそ買ったわけだけど、内容も良かったです。
特によかったのが織守きょうやさんの「彼と彼女の穴」という作品。織守さんといえばホラーのイメージがあって、今作も恋愛といいつつもミステリー&ホラーテイストでなかなかいい味が出ていた。
物語のあらすじとしては、主人公はたびたび不思議な夢をみるようになる。夢の中ではひとつの穴があって、その傍に誰かが立っている。そんななか、主人公は一人の少女に出会って付 -
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ネタバレ梅雨明けを待つある日、娘を亡くし一人で暮らす譲は小学生の少女と出会った。昭和59年からやってきた「ちい子」と名乗る少女は娘と同じ10歳だという。ちい子が元の時代に帰るそのときまで、娘としたかったことをして2人で夏の思い出を作ることに…。
ちい子の正体はわりと早々に予想が付いたけれど、途中で譲が思い出したエピソードから違う人物ではないかと当たりをつける展開があり、あれやっぱり違うのか?と最後まで楽しめた。最後の最後に気づいていなかった真実が明かされて、この出会いがあってよかったんだなと思わされる。タイトルどおり、「君」といた日の続きが続いていく。前向きに進んでいくラストがよかった。