辻堂ゆめのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
某工場の敷地内にある倉庫。 そこには、老若男女15人の無戸籍者たちが暮らしていた。
“ユートピア”
彼らは、自分たちのコミュニティをそう呼んでいた。
若くして妊娠・出産したものの、何をすればよいのか分からず、頼れる人もいないまま出生届を出せなかった母親。
離婚が原因で、出生届を出すと元夫の子とされてしまうため、あえて届け出をされなかった子ども。
風俗店で生まれ、父親が誰なのかも分からない子ども。
親から望まれることなく生まれてきた子ども。
国が把握している無戸籍者は1,000人弱とされているが、実際には1万人以上いるともいわれている。
彼らの多くは、十分な教育を受けられないまま成長し、知識がないゆえに戸籍を取得する術も知らず、大人になっていく。
教育もなく、行き場もなく、愛情さえ知らず、暴力と貧困の中で生きる彼ら。
そんな過酷な運命を背負いながらも、互いに寄り添い、懸命に生きようとする彼らの生活を脅かす、ある事件が巻き起こる。
一方、刑事の里穂子には、幼い頃にニュースで見た、忘れられない事件があった。
親から鳥のように飼われていた兄妹が発見された「鳥籠事件」。
一度は保護され、ようやく安心できる生活を手に入れたかと思われた兄妹だったが、その後、何者かによって誘拐されてしまう。
それから20数年。 兄妹の行方は、いまだ分かっていない。
そんな中、ある事件を担当することになった里穂子は、捜査を進めるうちに、事件関係者とあの「鳥籠事件」を結びつける事実に突き当たる。
あの日の兄妹は、いったいどこへ消えたのか。
そして、彼らがたどり着いた先にあったものとは──。
事件は解決したとしても、誰もが救われるわけではない。
読み終えたあとも、胸の奥に重たいものが残る。
なんとも言えない読後感の一冊。
今年の24冊目 -
Posted by ブクログ
なんとも不思議な物語。もしかしたらこんなことって本当にあるのかもしれない。
私、鈴木茜は近所のおばちゃんに捕まり、ボランティアをすることになる。ボランティアとは、寝たきりの患者を訪ねる『おはなしボランティア』。
連れていかれた家には29歳の咲子さんがいた。咲子さんは10年ほど前に交通事故に遭い、自発呼吸もできない障害を負っていた。
咲子さんは優しくて、茜は咲子さんの家に行くことが楽しみになっていく。
そんな茜は意識はないものの、夢遊病ではないかとおばあちゃんとおじいちゃんが心配をし始める。確かにその頃、茜の身には不思議なことが起こり始めるのだった。
この物語は2部構成になっていて、1部は昼間の茜。2部は夜の茜の部となっている。
1部はほんわかとしたファンタジーのような柔らかい印象。2部はどちらかというと、ミステリ要素が強い雰囲気だ。
ガラリと変わった物語はどちらかというと、2部で本領発揮をしている感じがする。
ただ、期待していただけに、ミステリとしても、なんとなく物足りなさを感じてしまった。 -
Posted by ブクログ
あまり本を読まない若い世代、10代向けに書かれた恋愛メインのミステリ。
どれもお題を上手くクリアしていて、意外とよく出来ていた(失礼…)
合コン×人狼ゲーム→ 糸の人を探して:浅倉秋成
恋愛リアリティショー×心理戦→ ダイヤモンド・ダストの約束:日部星花
気になる人×夢診断→ 彼と彼女の穴:織守きょうや
運命の人探し×論理パズル→ 運命はかく扉を叩く:辻堂ゆめ
日部星花さんのダイヤモンド・ダストの約束、恋愛リアリティショーのようなドラマは見たことがないからよく分からないけど、役が与えられているという設定が面白かった。誰にどんな役割が与えられているか分からない。好きなふりをする役かもしれないし、本気なのかもしれない。少しの要素が加わるだけで、ちょっとしたミステリになるのかと面白かった。 -
Posted by ブクログ
現実ではあり得ないファンタジーに青春小説、若者向き?っと感じられるかもしれないが、全く若くない私でも充分に楽しめた。
確かに現実にあるはずのないファンタジーであるし、若者たちの物語でもある。でもその中に、年齢は関係なく、考えさせられる部分がたくさんあった。
主人公は美しく才能もあり、性格も良く、誰からも愛されて、死んだ後もなお愛され続けられているという、そういうところはまぁ少女漫画的な要素を感じなくもないし、ツッコミどころも確かにある。
それでも、事件とファンタジーがうまく絡み合って、さて、この美しい心の持ち主の人たちがどういう結末を迎えるのか、飽きずに最後まで楽しめた。
文章も心に入りやすくよかったと思う。
たまにはこういう、清らかで真っ直ぐで曇りのない心の持ち主のお話も良いものだ。