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認知症の母が呟いた家族の「秘密」とは。
スミダスポーツで働く泰介は、認知症を患う八十歳の母・万津子を自宅で介護しながら、妻と、バレーボール部でエースとして活躍する高校二年生の娘とともに暮らしている。あるとき、万津子がテレビのオリンピック特集を見て「私は……東洋の魔女」「泰介には、秘密」と呟いた。泰介は、九州から東京へ出てきた母の過去を何も知らないことに気づく。五十一年前。紡績工場で女工として働いていた万津子は、十九歳で三井鉱山の職員と結婚。夫の暴力と子育ての難しさに悩んでいたが、幼い息子が起こしたある事件をきっかけに、家や近隣での居場所を失う。そんな彼女が、故郷を捨て、上京したのはなぜだったのか。泰介は万津子の部屋で見つけた新聞記事を頼りに、母の「秘密」を探り始める。それは同時に、泰介が日頃感じている「生きづらさ」にもつながっていて──。一九六四年と二〇二〇年、二つの東京五輪の時代を生きる親子の姿を三代にわたって描いた感動作。いま最も注目を集める若手作家・辻堂ゆめによる圧巻の大河小説!!
※この作品は単行本版『十の輪をくぐる』として配信されていた作品の文庫本版です。
Posted by ブクログ 2024年02月17日
「私が鳥のときは」のとなりにあった「山ぎは少し明かりて」を辻堂ゆめさんの作品で初めて読んで「サクラサク、サクラチル」「答えは市役所3階に」と読みました。重症の中毒になりました。最初は、読みすすめるのがやや苦痛でしたが、辻堂ゆめさんの作品と思って読みすすめたら逆に夜更かしコースへ。止まらない。止まらな...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年01月07日
1964年と2020年、二つの東京五輪の時代を鮮やかに描く、三世代の親子の物語です。
2つの時間軸が交互に進み、親と子それぞれの視点で綴られ、心に響き、深く静かな余韻を残す作品でした! 執筆時20代だったという辻堂ゆめさん、あっぱれです! 素晴らしい話でした。
妻や職場の人間関係も仕事も上手...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年01月06日
1964年と2020年の東京オリンピックの話かな
と思って読み進めたら、思わぬ展開に…!
戦後の時代、ひたむきに強く生きてきた女性の強さを感じ、今という時代は本当に恵まれているのだなということを実感。
物語の核となる泰介の真実に対する描写が、すごく温かく的確に書かれていた。こんなふうに一人ひとり...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年03月31日
東京オリンピックといえば思い浮かぶのは小学生のころ。家に初めて来た白黒テレビで見た記憶がある。後で映画にもなったような。
それは田舎から町への集団就職、そして結婚が女の幸せだった時代。
令和の東京オリンピックの時、認知症を患う母と暮らす息子夫婦そして孫娘の家族としての思いや絆をそれぞれの時と環境の...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年12月12日
1964年と2020年のオリンピック、バレーボールを軸にして紡がれる親子三代の小説。泰介視点の現在と母視点の過去が交互に語られるけど、母の過去の主軸になる高度経済成長期時代の社会経済や家族の描かれ方が生々しかった。ADHDにも触れていてなるほどっとなる。どんな事があっても息子を最後まで守ろうとしたお...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年03月07日
1964年と2020年。それぞれの時代で東京オリンピックを迎えようとしていた華やかさが時代の陽だとしたら、その陰で生きる人の生きづらさと、そこからの解放を描いたのがこの小説だと思います。
話は二つの時代を並行して描きます。2020年のパートは高校生の娘と認知症の母を持つサラリーマンの泰介が語り手と...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年03月02日
小説自体が規範的な主張をすることはないのだが、(少なくとも私には)そのまま受け入れることが困難な台詞や考え方が登場している。例えば、男女の在り方や結婚観について、スポーツと部活動の存在意義について。小説内におけるこれらの記載と私が求める理想との差異が明らかになることで、小説が描いているであろう現実と...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年02月09日
同じく三世代を描いた最新刊「山ぎは少し明かりて」とは好対照な親子関係。とんでもない逆境にある母の、息子を思う気持ちの強さに胸が熱くなった。現在と過去が交互に語られ、母親が隠していた「秘密」が少しずつ明らかになっていくのだが、万津子視点の過去パートの方が断然面白い。解説の荻原浩さんも褒めているように、...続きを読む
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