辻堂ゆめのレビュー一覧
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夫志木島(ふしぎじま)という離島に小6の一年間、離島留学することになった星野涼。コンビニもスーパーもファミレスもなく、学校まで3kmほど歩き、全校生徒30人くらいの複式学級に戸惑いながらも島の生活に慣れていく。島には多くの留学生がいる。そして、どうしてそういう態度を取るのか?という謎が発生し、それを6年の島民である才津と涼が解いていくというストーリー。なので、大人にとってはミステリー薄めです。でも、自分が島に留学したような感覚で読めるし、謎の一つ一つは短いので、小学生はやや長いかな?という本だけど、読みやすいと思います。ルビは中学年以上向け。
第一話 ようこそ夫志木島へ
島での生活がわかるようなお話。
第二話 体験なんてしたくない
歓迎遠足で実施する自然体験アクティビティを決める時、シーカヤックになったら奈々が泣き始めた。なのに、カヌーならいいみたい。なんで?
第三話 消灯時間は夜九時です
涼は寝つきが悪い。だから、出口寮の消灯を過ぎて起き出し、ランドセルを背負ってどこかに行こうとした5年の陽斗に気づいてしまった。あいつ、なんでそんな行動とったんだ?
第四話 先生はしょうゆまみれ
5月の土曜日に行われた郷土料理教室で家族留学制度を利用し母と妹の3人で島に来ている桐山愛莉が担任の松園先生に醤油をかけるという事件が発生した。
第五話 どこ行った、名探偵
これまでの事件を解決に導いた才津がある日ランドセルを置いていなくなった。涼は前日の行動などから、どこに行ったか必死で考える。
第六話 悩み事は背中合わせ
涼が推理した場所に才津はいるのか?そして、この日を選んでそこに行った才津の本当の理由は?才津と涼がお互い隠していること推理し合う。
第七話 だから、ここにいる
夏休みに行われる島の神社祭で、太鼓を叩いて盛り上がる子どもたち。涼も久しぶりにあった父とこの島に留学させた本当の理由を話し合う。 -
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最初はどこらへんがミステリーか全然わからなかった。
でもそれくらい、コロナ禍を生きる人たちの苦しさや孤独に引き込まれた。
読んでいる間ずっと、ざらつくコンクリートの上を裸足で一人歩くような痛みがあった。
どこにも感情をぶつけられず、ただ抱え込むしかない苦しさがひりひりと伝わってくる。
この作品に出てくるのは、コロナによって人生や計画を狂わされ、怒りや不安や孤独を抱えきれなくなった人たち。
でも同時に、そんな状況でも立ち上がろうとする強さや逞しさが描かれていた。
本編だけでも「コロナに苦しめられた人々の再生譚」としてとても良い作品だったけれど、ネタバラシパートで印象が一気に塗り替えられるのがお見事。
読みながらふんわり感じていた違和感が全部繋がって、「日常の謎ミステリー」をこんなに自然に成立させるのかとゾクッとした。
自分の知っている事実だけで人を判断することの危うさも強く感じた。
特にコロナのような予測不可能な状況では、自分から見えているものが全てとは限らない。
カウンセラーのあかりのように、全てを見抜くことはできなくても、「見えているものだけで決めつけない」という意識は持っていたい。
そんなふうに、人や物事をもう少し優しい目で見たいと思わせてくれる作品だった。 -
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ネタバレ新時代のハイテンション子育てエッセイ!
ロジック強めな夫婦の家庭内タスク振り分けや子育て議論。子どもを育てたかった生徒が選んだ進学先とその理由。3人の子どもを預けるための保活。成長が見える言動と対応する親の心得。何もかもが面白く、またほろりとする場面も。
子どもがいることで人生が何倍も充実すると思えるのはいいことだ。そう思えないから子どもが少ないんじゃないか、この国。特に子育てについては経験者も未経験者もこぞって〜べきを唱える。著者のように自分の大切なことは何なのか、優先順位とロジカルな思考で適切な方法を選べたらいいのに。そんなことをふと思ってしまった。 -
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ネタバレ特殊設ミステリ。
路地裏で目覚めた人気絶頂のシンガーソングライター・上条梨乃。素顔を晒して街を歩いても誰も彼女を梨乃だと認識せず、ニュースでは上条梨乃が自殺したと報道している。
19階から飛び降り自殺。それを見た少年立川樹も気が動転して、車道に飛び出して死亡。
誰も自分を認識できないなか、彼女が梨乃だと認識できる青年・優斗。
後半、サスペンス。
教団。輪廻の泉に関わって死んだ者は来世ではなく現世にそのまま生き返る。
梨乃や樹が死んだはずなのにこの世で、人から認識されずに生きている。
青年・優斗が認識できたのは教団に殺されてたから。
輪廻の泉関連で死ぬと。人から認識されなくなる。
父。耳きこえなくなったのではなく、優斗の声が死んだあとでは違って聞こえてた。
ミステリ的には似たようなのがけっこうあるので、このミス大賞優秀賞だがミステリ要素は薄いと思った(このミス自体、そこまでミステリじゃないのも受賞しているので違和感はないが)。
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新型コロナウイルスの流行でこれまでの生活が一変した2020年、とある市役所に開設されたこころの相談室。
二人のカウンセラーが相談者の悩みや苦しみにそっと寄り添うハートフルなお悩み救済物語⸺だと思って読んでいたんです、途中までは。
カウンセラーだけが気付いた相談者の抱える誰にも言えない秘密とは?
これまで語られてきた印象を一気に反転させるような2段構えの構成に痺れた…!
コロナ禍はもう随分前のことのようにも思えるけど、読みながら異様な閉塞感と絶望感で不安でいっぱいいっぱいだったあの頃を思い出して心が痛んだり。
短編集ながらも各話少しずつ繋がりがあり、巡るキーアイテムの存在が明るくはない題材の中でほっこりとした癒し要素を与えてくれる。読み終えて今ある日常のありがたみを改めて噛み締める2026年。
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自殺したひとりの娘と、ふたりの母親。
自殺した娘は本当はどちらの娘だったのか?もうひとりの娘はどこに行ってしまったのか?続きが気になって一気に読んだ。途中から二人グループに加わったくるみが出てきたが、現在は二人ともと疎遠らしい。ラストは思いもよらなかったです。ふたりの母が山に登りながら話すところで、娘の正体がわかり、ふたりの母も考えも改められ、娘はどちらもいなくなってしまったけどバッドエンドではないな、と思っていたら衝撃のラスト。全く予想できませんでした。世間的に見れば、ラストはよくないものなのかもしれないけど、私はとってもいいと思う。羨ましい。