辻堂ゆめのレビュー一覧
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☆4.7
世代がまさにドンピシャな、感じで、読み進めるにつれて、哀しさとせつなさが、僕の心に降り注いできた。まるで線状降水帯の下を歩く人のように、泪でずぶ濡れになった。
コロナがなく、母が認知症を患っていなければ、僕も母と一緒にブルーインパルスの五輪の輪をきっと連れ立ってみに行っただろう。このものかたりの主人公のように、僕には母の過去を知る術がない。生きづらい世の中はそのまま、今も続いている。
このものかたりにはコロナは出てこなかったが、生きづらさは変わらないのだ。
一つの救いは、主人公には一筋の光明が見えて、それに向かっていけることだろう。
田舎者の母は、青春時代を浅草で過ごしたらしい。これくらいのことしか分からないのだ。そこに苦い恋があったのか、楽しい思い出があったのか、今になってはもう遅いのだが、話をもっと聞いておけばよかったと思う。
そんな後悔を僕の心に土砂降りの雨のように雨の絨毯ができた。 -
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ネタバレこの作家の作品は何冊か読んでいるのですが、今回の作品は一番「不思議」で「切ない」という印象を受けました。
主人公は「鈴木茜」という高校3年生の女子、相方として出てくるのは「厚浦咲子」という主人公より12歳年上の女性です。この2人を軸にストーリーが展開されていくのですが、もう一人「サキ」という女性も出てくるのですが、この女性もキーパーソンです。「二重人格」、「夢遊病」という言葉が出てきます。読み進めていくうちに「咲子」という女性が過去の交通事故で重度の障害を持つことになります。
やっぱりストーリーの展開の仕方が上手いと思いました。星4,5にしていいくらいめっちゃ面白かったです。 -
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ネタバレ共著とはいえ、あの辻堂さんがこれほどラブコメ色の強い作品を書かれるとは驚きました。
物語の主人公は、仲良し夫婦の二人。
しかし、実は互いに隠し事があります。
しかも、それがバレてしまい、相手に嫌がらせや報復を受けていると思い込みます。
やがて、夫婦は表向きはいつも通りのラブラブを装いながら、殺し合いにまで発展していくです。
「バレて殺されるくらいなら、先に殺してしまおう」と、お互いが計画を立てるようになるのです。
しかし、何を試みても一向に上手くいきません。
相手の殺意に感づきながらも警戒し、平静を装って暮らす日々。
相手の腹を探り、計画を読み合う様子がユーモラスに描かれ、殺伐としたシリアスなテーマでありながらシュールな笑いへと昇華されていて、軽妙でとても読みやすかったです。
最初は、「少し懲らしめてやろう」という程度の報復から始まった計画が、次第にエスカレートし、やがて派手な殺害計画へと変貌していく展開も見ごたえがあります。
あとがきを読んで納得しましたが、本作はお二人の関係性と強い信頼があってこそ成立した物語なのだと分かります。
物語は夫視点と妻視点が交互に切り替わり進行しますが、夫側の計画を藤石さん、妻側を辻堂さんが執筆されたとのこと。
あの手この手で相手を殺す計画を立て、実行に移そうとした直後に視点が交代し、「どう危機を回避するか」を相手に委ねたそうです。
そして、上手く危機から脱すると、今度は返し刀で相手を追い詰めて……という「殺し合い」を繰り返す、リレー形式による連歌のような仕掛けになっています。
言ってしまえば破天荒なストーリーですし、ここまで殺伐とした夫婦関係を思うと現実離れした結末かもしれませんが、それも「ラブコメ」というジャンルに徹しているからこそでしょう。
もちろんミステリとしてのサスペンスフルな展開やハラハラ感、鮮やかな伏線回収も備わっています。
「そんな馬鹿な!」という野暮なツッコミは横に置き、上質なミステリ風味のラブコメとして飛び込めば、間違いなく楽しめる傑作です。 -
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帰国子女で東大卒のあの作家さん3児の母だったなんて知らなかった。
てか1992年生まれって、うちの長男と同世代じゃないですかぁ。30代で3児の母親で人気作家とか理想的すぎる。
しかも令和の子育てって昭和の頃とは随分違っているのだ。令和の波平はカツオを叱るとき叩いたりしないとか、将来子供が自分の性を自分で決められるように中性的な名前が流行ってるとか新鮮な切り口だった。
言葉で充分に思いを伝える事ができない2歳児の思考を理解するとこなんて、ゆめさんの気づきに感服でした。
女性作家さんの子育てエッセイに共通するとこは普段は職業隠して接してるとこだと思いますけど人気商売だからそこはかと正体がバレたとき相当悦になってるんだろうなって思うとヨダレが出そう。
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第24回大藪春彦賞受賞作
日本で生まれ落ちた時から戸籍を持たない人々
理由はいろいろあるが親が何らかの理由で出生届を出さない、出せない
その親もまた戸籍を持っていなかったり
離婚後の300日問題など
まず就学の連絡がこない
予防接種が受けられない
健康保険を使用できない
各種免許がとれない
自治体のサービスが受けられない
家を買ったり、借りたりできない
就職ができない
この頃は法律も少しずつ変わってきているらしいが、役所で掛け合っても係の人により、法律を把握していなくて門前払いもあるらしい
そんな無戸籍者が事件を起こしたところから物語は始まる
大多数の国民は普通に生活している
いろいろな苦労があっても、国民のひとりとして認められて生きていけるのは、とてつもなく大切で幸せな事なのですね! -
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ネタバレ主人公はとある会社員の男性(63歳)で妻がいて(その妻は専業主婦、58歳)長男、長女の4人家族で、舞台は神奈川県の主人公の持ち家で、至って「ふつう」の家族です。設定の日は台風で大荒れの天気でとても外に行ける状態ではないです。
そんな「ふつうの家族」の家に身元が分からない男性がずぶ濡れ状態で転がり込んできます。この男がきっかけで、「ふつうの家族」の裏がだんだん見えてくるという回想ミステリーでした。「ふつうの家族」とはいえども一人一人隠しごとや嘘というものを持っているんだと思いました。
そして最後らへんになると、転がり込んで来た男と家族一人一人との繋がりが明らかになり、隠しごとというものも徐々に裏で繋がっていくというミステリーでした。
自分はこの作家の作品を何冊か読んできましたけど、ほとんどがイヤミス小説でしたが、今回は事件という事件はなくてイヤミスって感じでもなくわりとスッキリした終わり方だったと思います。
ストーリーの中盤は群像劇のような感じでした。家族一人一人の目線からストーリーを書いてました。
今までの小説とは1個2個箍を外した感じのミステリーで面白かったです。 -
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ネタバレ台風の夜、ある一家の家に見知らぬ男が現れる。招き入れたのは誰なのか。
そんなあらすじを読んでサスペンスかと思ったら違った。会社員の父、専業主婦の母、鉄道会社に勤める息子、大学生の娘。100年に一度と言われる大型台風の接近により家を出た子供たちも実家に戻ってきたその日、突然家の玄関に若い男が現れる。鍵も閉めていたのにどうやって家の中に入ったのか。家族の誰かが招き入れたのか。そもそもなぜこの桜石家にやってきたのか。
台風の夜を過ごす中で、一見ふつうの家族に見えるそれぞれが抱える葛藤や悩みと向き合っていく。
以下感想。
家族4人の抱える悩みがどれもわかるなーって。父親はまさに昭和の男という感じで昔は今でいうパワハラ上司だったが、大学時代の友人がパワハラにより自殺したことにより、それからは厳しい指導ができなくなっていた。
母親は本当は仕事をずっと続けたかったために、幼い頃から付き合ってきた恋人との結婚を諦めた。しかし子供の世話のため、結局は仕事を諦めて専業主婦となった。結局仕事を諦めるのであれば幼馴染と結婚することもできたはず。そんな中、同窓会でその幼馴染と再開。
息子は鉄道会社に就職したものの、仕事のつらさにより退職。どの仕事も長続きせず現在無職。
娘はルームメイトの友達からの執拗なアピールにどう対応して良いか悩んでいた。
そして、台風の夜に現れた若者は、なんと桜石家と関わりのある人物だった。父親にとっては自殺した友人の息子で、過去に偶然北海道旅行に向かうフェリーの中で一緒に楽しい時間を過ごした子でもあった。
サスペンスだと思っていたので、予想外のストーリーにびっくりしたものの、人との繋がりって素敵だなと思える本でした。