辻堂ゆめのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
新聞における「小さな事件」の扱いは、ほんの数行で済まされ、事実が淡々と書かれるのみで、よほど読者の関心を惹く内容がない限り、その後の記事は出てこないのが普通です。
作品で扱われた事件は、日常のリアルなニュースと重なり、読者の私は惹きつけられて読み始めました。そして本作はそのような事件において、事実の背後に隠されたもの、人間同士の関わりを丁寧に追っていきます。
しかし、読み終えてから、5つの事件それぞれの冒頭にあるニュース記事の部分を読み返すと、最初に目にした時の印象が驚くほど覆され、そのどんでん返しには感心させられます。
実際に起きている事件も、狭い人間関係、伝わらない言葉、不足するコミ -
Posted by ブクログ
プロローグとエピローグがあったので長編かと思ったら、短編集でした。
その短編はというと、冒頭に小さな新聞記事があり、その裏で何があったかを、中心的な人物が、一人称一人語りで解き明かしてゆきます。
読み捨てられる小さな記事にも、それぞれドラマがあり、悲しい事情、思いもよらないエピソードを抱えている。
プロローグとエピローグに出てくる人物は、そんなこととはつゆ知らず、小さなことと切り捨て、世の中平和だなあと独り言ちる。
そんなところに自分を重ね、身につまされる1冊なのですが、それぞれの取り返しのつかないしくじりが、イヤミスのような読後感をもたらしています。 -
Posted by ブクログ
物情騒然となった2020年。
その中で、作品に出てくるような状況の人たちがたくさんいたのだなと複雑な気持ちで読みました。
自分はといえば、2020年は年明けからすぐに病気になり療養に入った年。症状や薬の副作用に振り回され辛かった。入院もした。
しんど過ぎて、ほとんど記憶がない。
振り返ってみると、今まで生きてきた
なかでベストワンの「しんどい期」だったかも。
作品の中では、シングルマザーの話が一番印象に残りました。
出産も面会制限あって、一人で不安と闘って辛かっただろうな。
全話を通して、すごくスラスラ読めました。
理由を考えてみると、それぞれの立場で辛さがあって、登場人物を応援する気持 -
Posted by ブクログ
ネタバレ三面事件記事風の記述から、その真実を描く。なるほどねーとか、第一印象と違うものなど。
◎
引きこもり中卒40歳。実家を追い出され一人暮らし。71歳の父親が食事を持って来てくれて掃除もしにきてくれるしジョギングコースも調べてくれる。至れり尽くせりで尊敬するも実際は嘘だらけ。ぶっころ。
◎
独身高給取り研究員がシングルマザーに惚れて7歳の女の子と住む。母親に虐待されてた。パパ〜と喜んでついてきたのは演技?手作りパラシュートで落下死する。普通の内縁の夫による虐待死に見える報じ方。
◎
価値観が合ってるフェミニストの女性と年上の男性。世帯年収2000万を超えるパワーカップル。事実婚で夫婦別姓を実現