辻堂ゆめのレビュー一覧
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台風で停電した夜。
湘南の家に住む「ふつうの家族」桜石家に、高熱を出した若者、ミナトが現れます。
ミナトを家に入れたのは家族の内の誰か…?
そして家族4人の父和則、母冴子、兄の海、妹の舞花は他の家族に言えない秘密をそれぞれ持っていました。
それぞれの秘密はそのまま書くとストーリーのネタバレになるので、P434より引用します。
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ふつうの家族はなぁ、と父は考える。
まあ、家では男の生々しい姿を晒さないようにしてきたからな。
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ふつうの家族ねぇ、と母は考える。
そう見えていたのだとしたら、努力の甲斐があったというものかしら。
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ふつうの家族かぁ、と兄は考える -
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ネタバレこの物語の根底にあるのは、一人の人間の中にある、矛盾した真実だ。
新聞記事やニュースは「犯人が何をしたか」という事実しか伝えない。しかし、その人の人生には、他人を救ったり、誰かを深く愛したりした瞬間が必ずある。誰かのために尽くしたいという純粋な想い(善)が、状況や環境の歪みによって、取り返しのつかない罪(悪)へと反転してしまう。その「ままならなさ」こそが、人間の業として描かれている。
そして、この作品集の大きな魅力が、「逆算」のミステリーというような構成の妙にある。通常のミステリーが「犯人は誰か?」を追うのに対し、本作はすでに事件は起きていて、新聞記事にもなっているのだが、冒頭で「この記事の -
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ネタバレ作者の「交換日記」のダーク版みたいな(?)短編ミステリ(イヤミス)。
最初に新聞の見出しみたいな一文。どれも、そのまま悪人なわけではなく、結果はそのとおりだが、中身が違うので読み終わるとイメージががらりと変わる。
①夕焼け空と三輪車。71歳死亡、息子40(無職)を逮捕。
息子、引きこもりから脱却しようと努力をしていた。
父、凶暴な息子への対処を実はしてた。ジョギングコース提案していたのは、駅前の塾に通う姪と遭遇させないように。
高級絨毯、正之が暴れたときの物音は最小限に抑えるため。
②マンション女児転落。母の交際相手を逮捕。
母の虐待。娘の書き置き、実は逆だったが、娘の思いを -
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大雨の夜、桜石家の玄関にずぶ濡れで倒れていた見知らぬ若い男。
この男は、家族の誰が入れたのか…わからないままに高熱で倒れ込んでいた男を家に入れてしまう。
家族4人が互いに疑念を募らせているうちに…。
それぞれが、「過去」に思いを巡らせていく。
新卒で入った電気メーカーに63になっても勤務している父。
香川の高校を卒業後に東京の大学に入り、広告業界の総合職でバリバリ働いていたが、子ども2人を産んでから思うように働けず辞めて主婦となった母。
大学卒業後転々と職を変えて、盆や正月でもないのに帰省してきた25歳の息子。
体育大学で厳しい競技生活を過ごしていた娘が、怪我のあと幾分表情が和らいだ -
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ネタバレ特殊設ミステリ。
路地裏で目覚めた人気絶頂のシンガーソングライター・上条梨乃。素顔を晒して街を歩いても誰も彼女を梨乃だと認識せず、ニュースでは上条梨乃が自殺したと報道している。
19階から飛び降り自殺。それを見た少年立川樹も気が動転して、車道に飛び出して死亡。
誰も自分を認識できないなか、彼女が梨乃だと認識できる青年・優斗。
後半、サスペンス。
教団。輪廻の泉に関わって死んだ者は来世ではなく現世にそのまま生き返る。
梨乃や樹が死んだはずなのにこの世で、人から認識されずに生きている。
青年・優斗が認識できたのは教団に殺されてたから。
輪廻の泉関連で死ぬと。人から認識されなくなる。
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新型コロナウイルスの流行でこれまでの生活が一変した2020年、とある市役所に開設されたこころの相談室。
二人のカウンセラーが相談者の悩みや苦しみにそっと寄り添うハートフルなお悩み救済物語⸺だと思って読んでいたんです、途中までは。
カウンセラーだけが気付いた相談者の抱える誰にも言えない秘密とは?
これまで語られてきた印象を一気に反転させるような2段構えの構成に痺れた…!
コロナ禍はもう随分前のことのようにも思えるけど、読みながら異様な閉塞感と絶望感で不安でいっぱいいっぱいだったあの頃を思い出して心が痛んだり。
短編集ながらも各話少しずつ繋がりがあり、巡るキーアイテムの存在が明るくはない題材の中 -
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自殺したひとりの娘と、ふたりの母親。
自殺した娘は本当はどちらの娘だったのか?もうひとりの娘はどこに行ってしまったのか?続きが気になって一気に読んだ。途中から二人グループに加わったくるみが出てきたが、現在は二人ともと疎遠らしい。ラストは思いもよらなかったです。ふたりの母が山に登りながら話すところで、娘の正体がわかり、ふたりの母も考えも改められ、娘はどちらもいなくなってしまったけどバッドエンドではないな、と思っていたら衝撃のラスト。全く予想できませんでした。世間的に見れば、ラストはよくないものなのかもしれないけど、私はとってもいいと思う。羨ましい。