辻堂ゆめのレビュー一覧
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ネタバレ辻堂ゆめのダークサイド、イヤミス短編5編収録。社会面にちょいちょい出てきそうな死亡事件記事ような冒頭があって、その実は…って展開の5話。ミステリートリックは辻堂印なんで問題なし。それ以外に内包するテーマが味わい処でもあるのだが、そういう意味では特に印象的だったのは2話の「そびえる塔と月明り」と5話の「四角い窓と室外機」
どちらも違う雰囲気で切なさがたまらない。2話では叫びたくなるような、5話では布団に潜り込みたくなるような。
すっかり国力も落ちて、景気が良くても生活が苦しい、後進国への道をひた走る日本。それでも戦争はないし、インフラはそれなりに整備されているし、人材不足と言われるくらいに仕事はあるし、へいわな国と言えばそうなのだが、この本に書かれているような不幸や貧困は、今やどこにでもありふれて転がっている国になってしまってんなぁ。それを選んできたのは俺たち国民でもあるんだけど、切ないなぁ -
Posted by ブクログ
『私は何気なく、ネットニュースのトップページを開く。今日も大したニュースはない。どこかで見たことのあるような記事ばかりだ。「つくづく平和だよなぁ」-プロローグ-』
短めのニュース記事から始まり、あらかじめ結末を知った状態で読み進めていくちょっと変わったミステリー。手に負えないひきこもりの息子とか、再婚相手と連れ子の相性とか…良いイメージのないものがいつの間にか形成された偏見であったことに気づかされます。事件に至るまでを辿っていくと、思ったほど悪くない関係性があったことも見えてくる。それでも悲劇的な結果が変わらないという事実が重くて、イヤミスならではの不快感と切なさが残りました。以前にコロナ禍を描いた「答えは市役所3階に・2020心の相談室」で、辻堂ゆめさんの作品に初めて触れました。「今日未明」は、それとはまた違った魅力を味わえる1冊だと思います。著者には鮮やかに振り回されましたΣ(・∀・;)。
2026.10 -
Posted by ブクログ
『今日未明、――――』ニュースでよく聞くフレーズの短編集。
実際には『未明』=午前0時〜3時頃のことなので、未明の事件の話はなかったかな。
ラインナップは以下の通り
1.住宅で血を流した男性死亡 別居の息子を逮捕
2.マンション女児転落死 母親の交際相手を緊急逮捕
3.乳児遺体を公園の花壇に遺棄 二十三歳母親を逮捕
4.男子中学生がはねられ死亡 運転の七十五歳女性を逮捕
5.高齢夫婦が熱中症で死亡か エアコンつけず
…確かにどれも、『どこかで聞いたようなニュース』なんだよな。
ニュース番組でも概要をアナウンサーが読み上げるだけの、特に大きく取り上げられなかったりする感じ。
概要を知った人々は、きっとこんな感じだろうと事件の背景を勝手に推理して断罪する。
そんな光景がありありと浮かび、絶妙だなと感じた。
実際の事件の背景は、想像とは少し違うかもしれない。
事件を起こした人(あるいは巻き込まれた人)は、どんな人だったのか。
全体的に物悲しい感じだったけど、とても面白かった。
辻堂ゆめさん、面白い作品を書く人だな。
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Posted by ブクログ
☆4.7
世代がまさにドンピシャな、感じで、読み進めるにつれて、哀しさとせつなさが、僕の心に降り注いできた。まるで線状降水帯の下を歩く人のように、泪でずぶ濡れになった。
コロナがなく、母が認知症を患っていなければ、僕も母と一緒にブルーインパルスの五輪の輪をきっと連れ立ってみに行っただろう。このものかたりの主人公のように、僕には母の過去を知る術がない。生きづらい世の中はそのまま、今も続いている。
このものかたりにはコロナは出てこなかったが、生きづらさは変わらないのだ。
一つの救いは、主人公には一筋の光明が見えて、それに向かっていけることだろう。
田舎者の母は、青春時代を浅草で過ごしたらしい。これくらいのことしか分からないのだ。そこに苦い恋があったのか、楽しい思い出があったのか、今になってはもう遅いのだが、話をもっと聞いておけばよかったと思う。
そんな後悔を僕の心に土砂降りの雨のように雨の絨毯ができた。