辻堂ゆめのレビュー一覧
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夏っぽい作品が読みたいと思い表紙買い。辻堂ゆめさん多分初読みの作家さん。
表紙の可愛らしいイラストからライト的な物と思い軽く読めるかなと思っていたら、何で今まで読んでなかったんだろうと思うくらい揺さぶられた。
タイムトラベル物で一夏の疑似親子体験。楽しい日々が続くが終わりの迫る切ない時間だ。夏の終わりで、ちぃ子は消えてしまうんだろうな、悲しい結末を予想していたんだが。
後半、次々と衝撃がくる。鳥肌がたった。脳がバグる。今まで一体どんな気持ちで、あの人はいたんだろう。想像すると苦しくなった。
ちぃ子の正体が分かるとまた始めから読み直したくなった。
読み終わり改めて表紙をみてアフターストーリーと一致してまた泣きそうになった。いや泣いてた。
人生悲しいだけじゃない。同じアラフィフとして沢山の元気をもらえた気がする。まだこれから。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み始めから泰介が酷い発言ばかりするので嫌な気持ちで読み進めた。東洋の魔女の時代、ADHDという言葉も認知もされていない中、田舎で親族からも見放されどんなに大変なことだっただろう。読者でこちらからみていても泰介にイライラ、とてもじゃないけど育てる自信がない。
子ども2人を連れ上京し育てる事で故郷にいるよりはいい人生を歩めたのだろう。
万津子が泰介にバレーボールを教えたのは選手にしたいためではなく落ち着かせるためだった。母親の深い愛情を感じる。そして泰介の妻の由佳子、こちらも愛情あふれる人で、素敵すぎる。泰介はふたりの愛情に支えられてきたのだ。もちろん本人にしかない魅力もあるだろう。
万津子と本当のところは語り合えなかったのも、現実はそうだろうな、と。
弟の徹平目線のパートがあってもよかったな。
素晴らしく読み応えがあり、いい本に会えてよかった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ思ってもみない方向で感動させられた。
子供の頃から癇癪もちで社会人になってからも周囲の人とうまくやっていけない泰介。
あぁ、これは発達障害だな、昔は誰にも理解されないから大変な苦労だったろうな、、、。
と思って読んでいたら、その発達障害もこの小説のテーマの一つだった。
てっきり認知症の母の秘め事と、萌子のバレーボールの話だと思っていたので、泰介自身が発達障害と向き合っていく流れになったのには驚いた。
しかもそれを萌子が父親を傷つけないように、悩み抜いた末に、何度も頭の中でリハーサルした言葉を伝える場面はもう号泣だった。
当たり前がうまくできずに苦しんでいる人にとっても励まされる、刺さる内容だったと思う。
そして萌子の春高決勝戦は、ありがちな展開で予想通りだけど、緊迫感がありドキドキして、やはり感動して泣いた。
母は東洋の魔女ではなかったけど、苦しかった人生の中で救いになった息子をバレーボールの選手にするという願いが、孫の活躍へと続いてよかった。
何か自分が必死になって追い求めたものが、形にならなかったとしても、自分以外の誰かの血と肉になり、自分の預かり知らぬところでもしかしたら後世に身を結ぶこともあるのかもしれないなと知って、とても素敵なことを教わった気持ち。
泰介が伝えた感謝と、萌子の活躍と、ヨシタカ君を押して殺したわけではないことは、母に伝わっていて欲しい。
母の反応がよくわからず、リアリティはあるけど、個人的には理解して歓喜する描写を読みたかった。
前半は若干単調ではあるけど、読みやすく、後半一気に涙腺を壊しにくる一冊。 -
Posted by ブクログ
読書備忘録889号。
★★★★★。
いやぁ~良い物語だったです。
作品紹介にもある通り、1964年と2020年(実際には2021年になりましたけど)の2つの東京オリンピックを通して親子三代の姿を描く感動小説です!
物語の舞台は佐藤家。
スミダスポーツで働く佐藤康介は58歳。
妻の由佳子、高2の娘萌子、そして康介の母、万津子と暮らす。
80歳の万津子はくも膜下出血の後遺症で脳血管性認知症を患い、症状の起伏が激しい。
康介は会社ではお荷物社員。いわゆる老害社員。
昔はああだった!とか、俺は企画部門で活躍した!とか。
今は顧客データの管理をするアドミニストレーター部門に身を置き、エクセルも使えない、使おうとしないダメ社員。スキルを身に着けようとする気もないから尚悪い。
若手社員からも年下の課長からも疎ましがられている。
家庭でも、妻に暴言を吐き、認知症を患っている母親にDV紛いの扱いをする。
という感じなので、読者はイライラしながら読み始めることに。
時は2019年10月。
万津子がテレビのオリンピック特集を見て「私は・・・・・・東洋の魔女」と呟いたことから、物語が動き出す・・・。
えっ?母親が前の東京オリンピックで活躍した女子バレーボールで金メダルを取った東洋の魔女の一員だった?そんなばかな!
ただ、良く考えてみれば、母が自分たちを連れて九州から東京へ出てくる以前の過去を何も知らないことに気づく。
物語の構成は2019年10月からのパートと、1958年9月からのパートが交互に進む。
いやいやラストは目頭が潤みましたよ。目頭がっ!
久しぶりの目汁小説でした!
それぞれのパートのディテールは一切割愛です!ディテールがこの作品の旨味成分なので!
①2019~2020年パート
とにかく康介の描写がとことんイラつく!
ダメ社員、ダメ息子、ダメ夫、ダメ父として描かれる。
すべて自己中、気まぐれ、すぐにイラつく、客観的視点の欠落。
これで58歳か?ホンマに!という感じです。
由佳子が気の毒で気の毒で!離婚しても良いよ、と言いたくなる。
そんな佐藤家の光!娘の萌子は超高校級のバレーボール選手で、全日本メンバーに選ばれるかもしれない逸材。
自分もバレーボールをやっていた康介は嫉妬している。おいっ!って感じ。
萌子の進路問題、春高バレー、などなど読みどころです!
②1958~1964年パート
九州出身の宮崎万津子は名古屋の一色紡績の工場に集団就職。
仕事とバレーボールの生活で貧しくも楽しい生活を送っていた。
そんな時に九州地元から縁談の話が舞い込む。
相手は高学歴で、三井鉱山で働くイケメン。
一も二もなく縁談を引き受けた万津子。
そして康介が生まれ、地獄が始まった・・・。
そして萌子。出来すぎちゃん!
父の抱えている問題に気づき寄り添う。そして問題は直せるんだよ、と。
だって、自分と似てる最愛のお父さんだもん! という感じなんですよ。
物語後半は、前半のイライラが全て払拭された台風一過のような展開になるのも良いです。繰り返しますが出来過ぎ!という感もありますが良いんですよ。これで!
そして万津子の康介に対する無償の愛。
どんなことがあっても康介の味方だよ、と。
覚悟の東京へ!涙が出ます。
そしてエンディング。母の深い愛と、康介が自分が抱えてきたモノ(問題)の深さに気づいた時、病室で真の絆が生まれる。じゅる(T_T)。
最後に。
十の輪とは1964年の東京オリンピックと2021年の東京オリンピックの輪っかの合計。
誰でも気づきますよね。2020年1月春高は終わった。萌子はどうなる?逸材だけどまだ高校生やで。
そうです!2020年開催予定の東京オリンピックは2021年に延期!
間違いないね!十の輪をくぐったよ!家族全員で!
というジジイの勝手な想像でした!
辻堂さんサイコ~でした。 -
Posted by ブクログ
シンプルに目頭が熱くなってツーーと
泣いてしまった本作『いなくなった私へ』
はじめて小説で泣きました。
泣ける要因としては、本書さいだいの
魅力でもある500ページにわたる濃密で豊かな
その『物語』にあります。
500ページもあるの?と
思うかもしれませんが秒で溶けます。
人気絶頂の歌手 梨乃がある日 目を覚ますとそこは、渋谷のゴミ捨て場。起き上がりニュースに耳を傾けるとそこには自分が死んでいるニュースが報道されていた。さらに周囲の人間は自分のことを国民的歌手 梨乃とも認識しておらず行き場もない。とある青年と小学生だけが自分のことを梨乃と理解でき、3人は梨乃の自殺の理由と、その背景にある大きな事件へと関与していく…。というお話。
本書も最後の最後にとんでもない
どんでん返しがありますが、それよりなにより
ストーリーが重厚すぎるのよ。まじで。
映画よりも濃厚で絵が浮かぶ小説には
これまで出会ったことがありませんでした。
泣けるミステリー、初体験でした。
本当におすすめできる最高の1冊です。ぜひ。
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Posted by ブクログ
ネタバレ事前情報をあまり入れずに読み始めたので、最初はファンタジー作品なのかと思いながら、悪魔の正体についてさまざまに想像を巡らせていました。
たとえば、「双子の妹が夕夏を幸せへと導くために、男性の姿で彼女の前に現れたのでは?」など、いろいろ考えながら読み進めていました。
しかし、悪魔の正体が明かされてからの展開は、涙なしには読めませんでした。
夕夏が記憶を取り戻せるように、周囲の人々がそっと手を差し伸べていたこと――その温かさに心を打たれた、とても素敵な物語でした。
また、作中ではずっと「悪魔」とされていたのに、なぜタイトルでは「天使」なのか不思議に思っていましたが、読み終えたとき、その意味に深く納得しました。
結末については、人によってはバッドエンドと捉えるかもしれませんが、個人的には、それを超えるハッピーエンドだったと感じています。