辻堂ゆめのレビュー一覧
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ちょっぴりファンダジーみたいで面白かったです!
ある日、目を覚ました有名な歌手、上条梨乃は自分が自殺したというニュースを見る。しかも、誰も、自分を上条梨乃だと認識してくれない。梨乃は日本で知らない人がいないぐらい売れていて有名でした。しかも、自殺をした記憶がないんです。自殺なんてするわけないんです。そんな時、自分を上条梨乃だと認識できる青年と出会って…というストーリーです。
何気なく手に取った本。現実的なところもあるし、ファンタジーっぽいところもあって面白いです!少し長めの本なので読み始めるには勇気が必要だと思うのですが、読んでみたらページ数なんて関係ありません!どんどんページをめくる手が -
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あなたは、”自分自身”が『自殺をした』というニュースを目にしたとしたらどう思うでしょうか?
(*˙ᵕ˙*)え?
2023年度の自殺者数は21,837人と、前年よりは減少したものの以前高い数値が続いていることが明らかになりました。『自殺』という選択をされた方にはそれぞれに理由があったはずです。そして、そんな背景事情を詳述するニュースを目にすることも多々あります。
しかし、『自殺』を選んだ人がその決断をした本当の事情はどこまでいっても本人しか知ることができないはずです。周囲はあくまで残された背景事情からその理由を推し量るしかありません。そして、そんな中には、本当は『自殺』ではななかったにも -
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始終惹きつけられた。
端的に言えば虐待を受けている高校生2人の高志と星さんが親に復讐をする物語。
温かい家庭で育った人には虐待の描写が酷く感じるかもしれない。だが家庭機能不全だった私には、虐待をされても自分を責めてしまう感情やそれに疑問を抱くことなく受け取ってしまう気持ちが痛いほどわかり、また虐待を自認した時の悲しみ、怒り、切なさ、無力感、否定感、苦しみに共感した。次第に周りを信じられるようになっていく過程にも感情移入した。
毒親は連鎖すると言われていて、実際本の中でも幾つか描かれている。そういった中で、2人が親と自分と闘いながら正しい方向に復讐をして自分を見つけていっているのが素晴らしい -
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辻堂さん2冊目。1冊目の「山ぎは少し明かりて」でファンになって、この本でさらにファンになりました。読み終えて深い余韻に浸ります。
紡績工場で働く少女たちの会話のシーンはいきいきとしていてとても臨場感があります。それは「山ぎは…」の中であった少年たちの川遊びのシーンでも感じました。本当に画面を見ているような気がします。これは文筆力があればこそなせる業だと思います。
東京オリンピックの東洋の魔女たちの活躍のシーンも私はリアルタイムでテレビで観戦しましたが、本を読んでいて目頭が熱くなりました。そして最後の娘の萌の活躍も。
まだ若い方なのに、当時のシーンや出来事をリアルに再現できる文筆力に再度感 -
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ネタバレ最後の伏線回収が怒涛すぎて、一気に読みきってしまった。感情が追い付かなくてしばらく呆けてしまった。久しぶりにぐっとくる本だった...。
疑心暗鬼に陥った主人公と同じく私も途中まで五味渕と粕谷のどちらが正しいかわからなかったな。
死ぬ夢は見方を変えたらまったく違う展開になってて、そういうことかと。オリジナル先輩が自分だったというのにだんだんわかってくるあたりもスピード感情あってざわざわきた。
過去の事件の真相にはゾッとしたな。最初から全部五味渕に仕組まれていたことだったのか。
詐欺片棒を担がされていた中原さんや被害者の坂口さんはこの後どうなったのだろう。
粕谷もこのあと後追いするんだよな... -
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ネタバレ職場に刑事が来て身に覚えのない強盗殺人の容疑で連行されてしまった雅樹。防犯カメラに映っていたのは自分そっくりの男性。おまけに現場に残っていたDNAまで自分のものと一致していたとは…。
いや〜これ自分の身にそんな事が起こったらゾッとしますね。もしかして、自分は二重人格でもう一人の人格がやっていた事だったら?とかあれこれ考えそう。
一卵性双生児のDNAは同じだと以前当選した献本に書いてあったのでその後の展開は予想がついたけれど、真相が二転三転して予想以上に面白かったです。まだ2歳ですが男の子の一卵性双生児の孫がいるのでとても興味深く読んでしまいました。
一卵性双生児のDNAに関して最近新たな -
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1964年と2020年、二つの東京五輪の時代を鮮やかに描く、三世代の親子の物語です。
2つの時間軸が交互に進み、親と子それぞれの視点で綴られ、心に響き、深く静かな余韻を残す作品でした! 執筆時20代だったという辻堂ゆめさん、あっぱれです! 素晴らしい話でした。
妻や職場の人間関係も仕事も上手くこなせず、常に苛立ち壁にぶつかっている、定年間近の息子・泰介(主人公)の現代パート。(80歳目前の母・万津子は認知症傾向)
九州から中卒で名古屋の紡績工場へ就職し、若くして炭鉱職員に嫁いだ万津子の半生の過去パート。
勝手な言動とその傍若無人ぶりに、全く共感できない泰介、息子が知らなかった母の -
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1964年と2020年の東京オリンピックの話かな
と思って読み進めたら、思わぬ展開に…!
戦後の時代、ひたむきに強く生きてきた女性の強さを感じ、今という時代は本当に恵まれているのだなということを実感。
物語の核となる泰介の真実に対する描写が、すごく温かく的確に書かれていた。こんなふうに一人ひとりの個性を捉えられたらいいな。
昭和の時代は歯を食いしばってでも頑張り、発展を目指すことが求められた時代で、令和の現代は多様性と寛容さが求められている時代だと感じる。どちらが良いとか悪いとかはないと思うけれど、過去があるから今があり、それはこれからの未来に繋がっていくんだなということを読後考えた。 -
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コロナ禍は社会の様相を一変させた。人生設計が狂ってしまい、不安や苛立ちでいたたまれなくなった人たちは多い。
そんな、悩みに押しつぶされそうな人のため市役所3階に設置されたのが「2020心の相談室」だ。
相談に゙訪れた人の話をじっと聴き気持ちに寄り添いながらも、話されなかった事情やその真意まで読み取って相談者の背中をそっと押す。
そんな女性カウンセラーのミラクルカウンセリングを描くハートウォーミングミステリー。
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将来の夢を失った17歳の白戸ゆり。高校3年の進路選択。母と2人暮らしのため経済的余裕がなく、就職を選んだものの、折からのコロナ禍で希望するブライダ -
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仲睦まじい夫婦の光弘と咲奈は、ある日お互いの裏切りを知ってしまう。さらに双方ともが自らの秘密を知られたと思ったことから、愛情は殺意に変わった。表面上は仲の良い夫婦のふりをしながら、お互いの殺害を企てる二人。いったいどうなってしまうのか。コミカルだけれど、ハラハラドキドキが止まらないサスペンスミステリです。
とんでもない話なんですよねえ。殺害計画があまりに緻密で狡猾で、なのに読み口がとってもコミカル。いやいや、そんな軽い気持ちでそんな大それたことを? そしてそんなにとんでもない罠を仕掛けられたにもかかわらず、知恵を絞って回避してしまうのもまた凄いのです。しかもなかなか正面からぶちまけることなく、