【感想・ネタバレ】サクラサク、サクラチルのレビュー

あらすじ

「絶対に東大合格しなきゃ許さない」――両親の熱烈な期待に応えるため、高校三年生の高志は勉強漬けの日々を送っていた。そんなある日、クラスメートの星という少女から、自身をとりまく異常な教育環境を「虐待」だと指摘される。そんな星もまた、自身が親からネグレクトを受けていることを打ち明ける。心を共鳴させあう二人はやがて、自分達を追い詰めた親への〈復讐計画〉を始動させることに――。教室で浮いていた彼女と、埋もれていた僕の運命が、大学受験を前に交差する。驚愕の結末と切なさが待ち受ける極上の青春ミステリー。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 教育虐待を受けていた染野とネグレクトを受けていた星さんの二人が出会うことて、親への復讐を計画し実行するという物語。
 プロローグでいきなりの修羅場の描写に圧倒された。そしてエピローグを読むとこれからの二人の明るい未来が想像できてホッとする。
 染野や星さんが日常的に受けている教育虐待やネグレクトが生々しく描かれていて、読んでいて重苦しかった。実際にこういう環境で生きている中高生もいるんだろうなと思うとやりきれない気持ちになる。
 あれほど両親から罵倒され殴る蹴るの暴力を受けながらも、染野が親に抵抗しないのが歯痒かったが、それだけ親に洗脳されていたということがわかった。
 自分自身の虚栄心を満たすすために自分の価値観や生き方を「お前のため」「お前の将来のため」と言いながら子どもに押し付ける親。本当は「子どものため」ではなくて自分が安心したいだけなのに。
 家庭という狭い環境の中で行われていることや言われていることは正しくて当たり前のことだと洗脳させられてしまう恐さ。
 今、現在、染野や星さんのような虐待やネグレクトを受けている子どもたちを救うことはできないか、考えさせられる。
 虐待やネグレクトを受けていた二人が、それぞれの状況から抜け出すことができたのは本当によかった。
 二人の復讐計画が暴力的な手段ではなくて親に精神的なダメージを与えるという理性的なものであったこともよかったと思う。二人に犯罪者になってほしくなかったし、親と同じ次元まで下がってほしくなかったから。
 読み終わって、これからの二人の幸せを願うばかりである。

心に残った言葉
・たぶん、人の常識とは、自分の家庭を基準にして醸成されるものなのだろう。昔の人が天動説を支持していたのと同じことだ。地球上に住む人間は、誰か博識な人に教えてもらわない限り、宇宙の中心にあるのはこの地球なのだと、根拠もなく思い込む。

・社会の端っこで生きてきた僕たちは、親への復讐を思い描くときだけ、未来に向かって生きる活力にあふれ、心を通わせ合うことができる。

・ーやっと分かったんだ。人生ってさ、楽しむためにあるんだね。知ってた?
ーなんで今まで分からなかったんだろう。私たちがこの世界に生まれてきたのは、頑張るためでもなく、我慢するためでもなく、苦しむためでもなかったんだって。別にそんな思いをしなくても、人生は成り立つんだって。

・「合格すると『サクラサク』。不合格だと『サクラチル』。それってなんか変だと思わない? 咲いた桜は必ず散るし、散った桜はその直前まで必ず咲いてるのにさ」

・知るって素敵なことだよ。新しい知識を取り入れれば取り入れるほど、世の中のことが分かるようになるし、自分のことだって深く理解できるようになる。

・たぶんこの世界は、思っていたよりももう少しだけ、僕たちに優しい。

・「『幸せ』って、どういうことだと思う?」
「例えば人より高い能力を持ってるとか、人より生涯年収が高いとかさ」
「自分の進みたい道に進めること......かな。誰にも、何にも、邪魔されることなく」
「もっとざっくり言うと、明日が来るのを楽しみに思えること、なのかなって。それが明後日や明明後日でもいい。そのために一度しゃがんで、我慢する日があったっていい。でもそれを決めるのは、染野の言うとおり、全部自分自身なんだよね」

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2025年10月28日

Posted by ブクログ

色々な本を読んでいると好みの作家さんがわかってくるのですが私は辻堂ゆめさんがとても読みやすく、面白いと感じます。今まで読んだ本は全部星5と言えるぐらい好きですね。何より読みやすい。この本は自分が虐待されているということに気づかない高三の高志です。同じく虐待を受ける愛璃嘉と出会い共に両親の復讐計画をするという話です。途中目を背けたくなるような描写や辛い設定も沢山ありますが結末まで読むとこの結末で良かったと思いました。

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

初作家の辻堂ゆめさん

教育熱心なのは良いけれど、度が過ぎれば教育虐待に繋がる。
母親は自分がいないとダメだと思い込み、親に縛られている。
異なる毒親を描いた作品でした。

虐待=暴力や暴言って思っていたけど、
教育虐待もあるんだと知りました。

読んでいてとっても重く、苦しかったけど…
2人が自分の道を見つけて、生きていくところに
感動しました

貧困家庭も辛いけど、裕福な家庭で教育虐待されるのも辛いな

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2025年08月24日

Posted by ブクログ

教育虐待を受けている染野とネグレクトや虐待など受けている星
親に復讐しようと考えられたのは自分1人ではない
孤独じゃないと思えたからしんどい環境でも最後の一年乗り越えられたのだろう

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2025年07月19日

Posted by ブクログ

今年1番かもしれない。めっちゃ楽しめました!
東大合格の為に家族の優しさだと思ってた事が、外からみると虐待なんじゃないかと気づき始める高3男子。
ネグレクト環境で育った事を自覚はしてるけど、それでもお母さんの為に頑張らなきゃと思ってる高3女子。
お互いに気付きあって、親への復讐が始まる!!
読後感はとても良かったです!

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2025年06月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

親に縛られる高校生2人が、自由を求めて『復讐劇』を起こす話。
教育虐待、ネグレクト、親への依存。それら全部ひっくるめて『復讐劇』に立ち向かっていく2人の姿に、ページを捲る手が止まらなかった。

いったいどんな復讐をするんだと読者に限界まで期待させて、それらを超える痛快なラストだった。

辻堂ゆめさんの他作品も見てみたいと思える。

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2025年04月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

教育虐待を受けている男子生徒の描き方が印象的だった。別の虐待を受ける女子生徒とどう共謀し、どういう結末に落とし込むのか全く想像できず、興味深く読み進めることができた。
最後は良き着地であった。

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2025年03月02日

Posted by ブクログ

東大合格するために勉強を強いられているところが
『母という呪縛、娘という牢獄』
を読んだ時の衝撃が思い出されました。
とてもつらかったです。でも、星さんが現れたことで高志は虐待だということに気付くことができてよかったです。星さんのネグレクトの部分は具体的な描写は少なめだったけど、決して疎かにできない事柄だと思います。
とてもつらい状況から脱出しようとするところはとても応援したくなりました。
自分の進みたい道に進めること。そんな当たり前の事が全ての人が進めるといいなと思いました。

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2025年01月31日

Posted by ブクログ

始終惹きつけられた。
端的に言えば虐待を受けている高校生2人の高志と星さんが親に復讐をする物語。

温かい家庭で育った人には虐待の描写が酷く感じるかもしれない。だが家庭機能不全だった私には、虐待をされても自分を責めてしまう感情やそれに疑問を抱くことなく受け取ってしまう気持ちが痛いほどわかり、また虐待を自認した時の悲しみ、怒り、切なさ、無力感、否定感、苦しみに共感した。次第に周りを信じられるようになっていく過程にも感情移入した。

毒親は連鎖すると言われていて、実際本の中でも幾つか描かれている。そういった中で、2人が親と自分と闘いながら正しい方向に復讐をして自分を見つけていっているのが素晴らしい。

小説でここまで惹かれたのは初めてだと思う。話の展開や伏線が素敵なだけでなく、個人的な経験が絡んでいることもあると思うが、それほどよく内面が描かれている。学ぶこと、自分で決めていくことの大切さを感じられる。他の人にもおすすめしたい。

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2024年07月22日

Posted by ブクログ

虐待を受ける二人が自分達なりに親に復讐するための計画を立てながら、成長していく過程に頑張れ!と応援しながら読んでました。
虐待シーンはきついものもあり、染野のような教育虐待は信じられない事ばかりで現実でもあるのかなと恐ろしくなりました、、
最後は2人とも未来に向かって歩んでいて良かったです。

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2025年11月25日

Posted by ブクログ

高学歴高収入の家庭に生まれ、世間的には恵まれた経済環境で育つ主人公の染野高志。
彼は「絶対に東大に合格しなくてはならない」という大命題のもと日々勉強に勤しんでいる。

ある日、クラスメイトの星愛璃嘉に「染野って、同じ匂いがするんだよね」と声をかけられる。
実は、星はシングルマザーの母親からネグレクトを受けているのだった。

星との接触を機に、自分を取り巻く生活環境の異常さに、次第に気付き始めていく染野。
やがて2人は親への復讐計画を立て始めるのだが・・・


染野が親から教育虐待を受けるシーンが何度も出てくるので読んでいてとても辛かった。親の庇護下でしか生きられない子どもが、親の都合だけで自由を奪われ、思考回路が狭まり、それを親からの愛だと盲目になっている。「心」が形成される大切な時期に、なんて罪深い親なんだろうと憤りを感じた。

星の親も然りだ。親が未熟だと子どもは早く成熟するなんて聞くが、当人がそんなことを願っている筈がない。貧困家庭に育ち、将来を悲観して諦めてしまうことは、どんなに惨めで悲しいことだろう。

染野の身近で嫌がらせをしている正体は、予想どおりだったが、この嫌がらせの存在と2人の復讐計画が、物語を巧妙にリードする展開なので読みやすかった。
終始、重苦しい内容ではあったが、救いがあったおかげで、2人の未来に希望を感じられるラストでよかった。

ただ、親との関係は一生続くもの・・・
この復讐計画が、長い将来の2人にとって必ずプラスとなる生き方をして欲しいと思った。


余談ですが、辻堂ゆめさんも東大卒なんですね。
受験の過酷さが精細に描かれているのは、まさにその経験談が生かされているのだと思う。
もうすぐ受験シーズン到来!頑張れ受験生!!

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2025年11月09日

Posted by ブクログ

一生懸命必死にやってきたことは結果がどうであれ無駄にならない。たとえ結果が伴わなくても、その過程が経験として自分に残って、楯となるはず。
幸せってなんだろう?って考えることもあるけど、「明日が楽しみだと思えること」これに尽きて、案外シンプルなのかもね。

親に支配され続けるのではなく、自分の足で歩き出したところがよかった。頑張れ、2人とも。

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

虐待だと本人は認知していない。
というより、認めたくない。
人間の生物としての本能という面も含めて、虐待について考えさせられました。
ミステリ要素もあり、楽しんで読めました。

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2025年09月12日

Posted by ブクログ

暗くって途中で読むのやめようかと思ったけど、最後は明るい終わり方
辻堂ゆめさんは読み終わりがほっこり

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2025年08月31日

Posted by ブクログ

世界を見る目はどうしたって生育環境の与える影響が大きいから、簡単に洗脳されてしまうんだろうなあ

描写が痛ましかった

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2025年08月12日

Posted by ブクログ

染野の当たり前は、私にとっての当たり前じゃないんだよ。

知るって素敵なことだよ。
新しい知識を取り入れれば取り入れるほど、世の中のことが分かるようになるし、自分のことだって深く理解できるようになる。

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2025年06月08日

Posted by ブクログ

虐待してくる親に対して復讐の計画を立てる二人の男女。育った家庭は違えど根底にある気持ちに共鳴し合うのだった。受験戦争真っ只中だった自分としては身につまされる思いになりました。悲しい出来事や事件を目の当たりにすると別の解決策があると新たな切り口で物事を見ることが出来た。面白かったです。

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2025年06月05日

Posted by ブクログ

読後感めっちゃ良かった!
この作者の作品に最近ハマっていて何冊か読んだけど最も爽やかな終わり方でした笑
こんな物語も書けるのか~~~って驚きました笑笑
基本的に青春ものは苦手だけど本作は面白かったです!
でも虐待シーンがトラウマを刺激するので途中で読むのをやめたくなりました
この作品はこういうラストで良かったと思います
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「絶対に東大合格しなきゃ許さない」――両親の熱烈な期待に応えるため、高校三年生の高志は勉強漬けの日々を送っていた。
そんなある日、クラスメートの星という少女から自身をとりまく異常な教育環境を「虐待」だと指摘される。
そんな星もまた、自身が親からネグレクトを受けていることを打ち明ける。心を共鳴させあう二人はやがて、自分達を追い詰めた親への〈復讐計画〉を始動させることに――。
教室で浮いていた彼女と埋もれていた僕の運命が、大学受験を前に交差する。驚愕の結末と切なさが待ち受ける極上の青春ミステリー。

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2025年05月23日

Posted by ブクログ

恐ろしい話。
途中、何度か読むのをやめたくなったけどあ、結局、計画が知りたすぎて、一気に読んだ‼️‼️
いやーー
どちらの親も、あたしが殺したくなったよ。

でも、賢い主人公二人を心から応援したし、
叔父さん、本当にありがとう〜←だれ目線??

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2025年05月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 小学校受験、中学受験に失敗した高校3年生の染野高志は、東大に入ることだけを目指して勉強漬けの毎日を過ごしていた。
 東大出身でエリートの厳しい父、そして父の言いつけに従い、厳しいスケジュール管理を行なっている母親。成績が少しでも落ちると、激しい罵倒、暴力、そしてペナルティをかされる。それでも、「すべてはあなたのため」といわれ、できない自分が悪いのだと、それが普通のことだと思っていた。

 クラスメイトの星愛璃嘉は、休みがちで、またクラスに馴染むことなく、浮いた存在だった。
そんな彼女が、ある日、時々発作のように気分が悪くなってトイレに駆け込む高志に声をかけた。

 最初は、彼女のことうるさがっていたが、彼女が、今までに彼に起こった身体上の傷を一つ一つ問いただすと、それに対して言い訳をする高志。それを『虐待』ていうんだよと彼女は指摘する。
 
 彼女自身は、母子家庭で育ち、母は娘に依存しながら生きてきたが、それが虐待に当たると外部の人間に言われるまでわからなかった。そんな彼女だから、高志の状態を見て自分と同じ側の人間だと気がついたのだ。

 「これが普通」っていうのは、育ってきた家庭環境、つまり身近な人の価値観がとても大きな影響を与えるが、それだけでなく社会生活の中で、様々な価値観を持つ人と接することや、情報を取り入れることで、学んでいくと思う。
 しかし、彼らのように異常な環境の中で、親以外のコミュニケーションも絶たれていたら、それが普通だと思ってしまう。

 自分たちが異常な環境に置かれていることに気がついた時、二人はそれぞれの親への復讐計画を練り、時間をかけて行動する。

 ただ殺人という安易な方法でなく、最も効果的な方法で。そしてそれを遂げた時、自分たち自らの意思で未来を切り開いていく。

 特に高志への虐待の場面は辛かったが、二人が潰れてしまうことなく、正々堂々と自分たちの手で未来を勝ち取っていく最後はよかった。

 

 

 

 

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2025年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

染野と星。高3の教室で浮いていた2人。
共通点がないようにみえるこの2人だったが、
虐待を受けている共通点からある復讐を企てた物語。
裕福だが東大に入ることを当たり前とされ勉強漬けで厳しく管理され成績が落ちるものなら殴る蹴る、特訓という名の睡眠を削って勉強させる、門前16時という染野と、
貧乏で家事もバイトのお金もシングルマザーの母からとられ母は男をつくっては貢ぎ精神的にもあなたしかいないからと束縛されている星。
星がパニック発作を発症している染野を同類だと見て話しかけたことから、お互い異常な家庭環境だと認識するようになった。
この話をみて環境が人をつくるというのを感じ、子供が親からうける影響は多いと思い、特に何不自由なく外野からはみれる染野の環境は恐ろしかった。
東大受験に失敗し引きこもりの姉がいやがらせの犯人であることは途中でおおいに予想できたが、
2人の復讐は親と同じにはならない、期待をさせておいて落ちる絶望を味合わせるというのが結果的には成功してよかったと思った。
(叔父さんの援助なしではなりたたないと思ったので)
受験というサクラサクサクラチルという時期の自発的な行動による一歩はとても大きなものであったと思った。

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2024年12月27日

Posted by ブクログ

2人の高校生が取り戻す人生と青春。
壮絶な虐待描写を経ての想定外な復讐には感嘆とした。
主人公の男子高校生染野に降りかかる陰湿な嫌がらせの犯人は、序盤から察しがついていたが、まさか復讐の形がそうなるとは予想がつかず、本当に頭の良い人間の考えは思いもつかないものだ。
2人の虐待の加害者家族が復讐後どうなったかの描写がなく、その後どうなったのかが気になったが、もう2人の人生に関わることがないのだと信じ、知る必要もないのだろう。
自分の思うままに歩める人生を掴めた人に桜が咲きますように。

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2024年12月15日

Posted by ブクログ

虐待であるということをこころのどこかでわかっていながら、家族という鎖から抜け出せず、この鎖が外れたらこの世が終わるようにしか感じられ無くなってしまう感情は人を苦しめます。誰かに自分の環境がおかしいと認めてもらいたい気持ちと、同情されたくなくて恥ずかしくて誰にも言えないが同じ仲間を見つけて安心したい気持ち、真反対のように見えても苦しい環境に置かれたこども達に共通するものだと思います。わたしは、染野や星さんほど辛い環境ではありませんが、家族に精神病を抱えた人がおり、死んでやると一日中叫ばれ寝れない夜を過ごしたり、世話をするにに疲れた母が包丁を持ち出し心中をしようとしてきたり、暴力が酷くて警察のお世話になったり、最後の刺し殺そうとしたシーンは重なるものがありました。匿名の相談窓口で、私の環境が普通でないと、思いたくて、何度も『普通ってなんですか、みんながこのくらい苦しいのですか、平均なんだったら頑張れます。』と書き込んだことがあり、『普通というものは分かりませんが、あなたが苦労し頑張ってきたことはわかります』と返信を貰いそれだけで救われた気がしました。互いの理解者であり、おかしいと認めてくれている運命の人と出会えて初めて呼吸の仕方をしったかのように、今後2人は成長を重ねることができます。また、自分が苦しい事を知ろうとし、闘った2人はとてもかっこいい人間だと思いました。そんな2人に少しでもいい未来が訪れますように。

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2025年10月18日

Posted by ブクログ

家庭の孤立化を考えさせられた 親から異なる虐待を受けていた2人には、洗脳されていると気付くための機会と勇気と支援があって良かった…

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今でこそ毒親や親ガチャという言葉が出てきたが、教育虐待とネグレクトが対照的に書かれている。両者とも親に嫌われたくない気持ちの描写が印象的だった。実際にそうなのかもと思わされた。主人公が本当にやりたいことを見つけたのはよかったが、経済面で奨学金が借りられずに親を頼るしかないところが現実的。お姉さんが報われてほしい。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

最近になって、その境遇が取り沙汰されるようになってきた《教育虐待》。

これまでの《力による暴力》《放置するネグレクト》と違って、本人(こども側)がはっきりそれと認識しなければ家庭の外からは分かりにくい。

あなたのためを思って
あなたが将来困らないように

呪いの言葉はこどもをどんどん追い詰める。
自分が悪いから。
自分のせいでお父さんの機嫌が悪くなる。
お母さんがお父さんに怒られる。
ごめんなさい。ごめんなさい。




〜明日が来るのを楽しみに思えること。
それが明後日や明々後日でもいい。
そのために一度しゃがんで、我慢する日があったっていい。
それを決めるのは全部自分自身なんだよね〜

 
自分で選ぶ。自分で決める。
誰に押し付けられるでもなく、誰かの顔色を見ることもなく、自分のひたむきな思いだけで進んでいく。(ついでにお金の心配もなく)←結構大事だったりする。

簡単なようで実は難しいこれらのことをやり遂げられることは、やっぱり幸せだ。
少しでも多くの若い子たちが実現できる社会になるといいな。


元来、頭がよくて優しいお姉さんも、自分で自分の幸せが見つかりますように。

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2025年06月23日

Posted by ブクログ

それぞれ違うタイプの二人だけど同じ匂いがすると星さんが気づき染野君と仲良くなっていく。同じ匂いというのは家庭環境が似ているということ。虐待の場面は辛かった。

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2025年06月16日

Posted by ブクログ

教育虐待と言う言葉を初めて知った。
小学、中学受験を失敗した高三の染野高志が東大に合格する為に、親からの狂気とも言えるような厳しい日常を過ごす様を同級生の星さんとの交流を通して描いている。辻堂氏の作品は読んだ事があるが、余りに生々しい入試の様子に、著者紹介欄を見たら彼女、東大卒だった。

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2025年04月07日

Posted by ブクログ

東大出身の父と専業主婦の母という組み合わせの両親から、教育虐待を受けている男子高校生染野が主人公。
星さんという同級生の女子から、「同じにおいがする」と言われたのをきっかけに、自分は虐待を受けているのだと気付く・・・という導入。

教育虐待って、すごく広くて、命を奪うような事件も稀にあるけど、たいていは人格否定や圧力により一方的に進路を決めるような精神的虐待が主だと私は思っている。
この本では、両親からの人格否定はもちろん、父から息子に対する直接的な強い暴力や、母が睡眠休息食事を認めない、過度の監視という相当過酷な部類の教育虐待が書かれている。
主人公の姉は、東大に合格できなかったことで引きこもりになっているし。

主人公に嫌がらせをしている犯人については、全読者すぐわかるでしょう。
知らぬは主人公ばかりなりというか、犯人わかったときに主人公にそんなに驚かれて、逆にこっちが驚いたわ。
星さんだけじゃなくて、皆気づいていたよ・・・。
主人公と星さんの復讐計画は、高校生ができることってこれくらいなのかな。かなり綱渡りな計画で、結果的にうまく行ってよかったけど、星さん側はともかく主人公側は失敗する可能性の高い計画だったように思った。救い主の優しさと寛容さがそこまで広いとは。多くの場合、すでに揉めている親族との間で、積極的に関わってさらにこじれさせたいと思う人はいないからね。自分の子どももいるわけだから。
教育虐待に限らず、虐待する親って子どもを所有物として見ているから、会社に言うぞの脅し文句で父が急におとなしくなるのも・・・そんな大胆なことをできるなら、もっと早くになにかやればよかったのにー。虐待描写の苛烈さと、未成年だからとか、星さんの受験がとか、先延ばしにする理由のアンバランスさが気になった。そのアンバランスさこそが、狭い世界で生きる被虐待児なんだと言われると、まぁそうなんですかとしか言えないけど。
私自身は、とにかく大学生になって家をでて、あとは好きにやってやるという方法を選択したから、ここまで我慢してここまでするなら大学生になって自由を得ればよかったのにと思ってしまう・・・。星さんのことも、染野くんがしなくても、なんとかなるよ。
星さんのことをそこまでして救いたかった主人公が、姉の崩壊に気付かず姉のことを救おうとしないのもちょっとアンバランスで切ないよね。恋愛パワーは、姉への同情憐れみを上回る大きなものなのね。まぁ、そっか。

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2024年12月01日

Posted by ブクログ

知らずに親からの虐待を受けていた高校生たちが、お互いと話すことで異常さに気付き、復讐を企てる物語。

虐待の描写が、辛くしんどかった。
こういう親もいるのかもしれない。「子供のために」という大義名分を掲げているから、より厄介なのかも。

受験直前の事件は衝撃だったけれど、長年受け続けてきた親からの仕打ちに、ああなるのも無理はない。姉の思いにショックだったとは思うけれど。
両親はお咎めなしで生きていくのだろうか。もう関わらないでほしいな。

復讐してよかったよ。染野くんのような頭脳を持たない私からしたら、合格してからでもよかったのでは、なんて小さいことを考えてしまうんだけども。
バイトしながらの大学生活は大変だけど、二人とも頑張って今までの分も幸せを取り戻してほしい。

辻堂ゆめさん自身の東大受験経験も、この作品の元になったところがあるのだろうか。

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2024年11月20日

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