辻堂ゆめのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
読書備忘録889号。
★★★★★。
いやぁ~良い物語だったです。
作品紹介にもある通り、1964年と2020年(実際には2021年になりましたけど)の2つの東京オリンピックを通して親子三代の姿を描く感動小説です!
物語の舞台は佐藤家。
スミダスポーツで働く佐藤康介は58歳。
妻の由佳子、高2の娘萌子、そして康介の母、万津子と暮らす。
80歳の万津子はくも膜下出血の後遺症で脳血管性認知症を患い、症状の起伏が激しい。
康介は会社ではお荷物社員。いわゆる老害社員。
昔はああだった!とか、俺は企画部門で活躍した!とか。
今は顧客データの管理をするアドミニストレーター部門に身を置き、エクセルも使えない、使おうとしないダメ社員。スキルを身に着けようとする気もないから尚悪い。
若手社員からも年下の課長からも疎ましがられている。
家庭でも、妻に暴言を吐き、認知症を患っている母親にDV紛いの扱いをする。
という感じなので、読者はイライラしながら読み始めることに。
時は2019年10月。
万津子がテレビのオリンピック特集を見て「私は・・・・・・東洋の魔女」と呟いたことから、物語が動き出す・・・。
えっ?母親が前の東京オリンピックで活躍した女子バレーボールで金メダルを取った東洋の魔女の一員だった?そんなばかな!
ただ、良く考えてみれば、母が自分たちを連れて九州から東京へ出てくる以前の過去を何も知らないことに気づく。
物語の構成は2019年10月からのパートと、1958年9月からのパートが交互に進む。
いやいやラストは目頭が潤みましたよ。目頭がっ!
久しぶりの目汁小説でした!
それぞれのパートのディテールは一切割愛です!ディテールがこの作品の旨味成分なので!
①2019~2020年パート
とにかく康介の描写がとことんイラつく!
ダメ社員、ダメ息子、ダメ夫、ダメ父として描かれる。
すべて自己中、気まぐれ、すぐにイラつく、客観的視点の欠落。
これで58歳か?ホンマに!という感じです。
由佳子が気の毒で気の毒で!離婚しても良いよ、と言いたくなる。
そんな佐藤家の光!娘の萌子は超高校級のバレーボール選手で、全日本メンバーに選ばれるかもしれない逸材。
自分もバレーボールをやっていた康介は嫉妬している。おいっ!って感じ。
萌子の進路問題、春高バレー、などなど読みどころです!
②1958~1964年パート
九州出身の宮崎万津子は名古屋の一色紡績の工場に集団就職。
仕事とバレーボールの生活で貧しくも楽しい生活を送っていた。
そんな時に九州地元から縁談の話が舞い込む。
相手は高学歴で、三井鉱山で働くイケメン。
一も二もなく縁談を引き受けた万津子。
そして康介が生まれ、地獄が始まった・・・。
そして萌子。出来すぎちゃん!
父の抱えている問題に気づき寄り添う。そして問題は直せるんだよ、と。
だって、自分と似てる最愛のお父さんだもん! という感じなんですよ。
物語後半は、前半のイライラが全て払拭された台風一過のような展開になるのも良いです。繰り返しますが出来過ぎ!という感もありますが良いんですよ。これで!
そして万津子の康介に対する無償の愛。
どんなことがあっても康介の味方だよ、と。
覚悟の東京へ!涙が出ます。
そしてエンディング。母の深い愛と、康介が自分が抱えてきたモノ(問題)の深さに気づいた時、病室で真の絆が生まれる。じゅる(T_T)。
最後に。
十の輪とは1964年の東京オリンピックと2021年の東京オリンピックの輪っかの合計。
誰でも気づきますよね。2020年1月春高は終わった。萌子はどうなる?逸材だけどまだ高校生やで。
そうです!2020年開催予定の東京オリンピックは2021年に延期!
間違いないね!十の輪をくぐったよ!家族全員で!
というジジイの勝手な想像でした!
辻堂さんサイコ~でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ事前情報をあまり入れずに読み始めたので、最初はファンタジー作品なのかと思いながら、悪魔の正体についてさまざまに想像を巡らせていました。
たとえば、「双子の妹が夕夏を幸せへと導くために、男性の姿で彼女の前に現れたのでは?」など、いろいろ考えながら読み進めていました。
しかし、悪魔の正体が明かされてからの展開は、涙なしには読めませんでした。
夕夏が記憶を取り戻せるように、周囲の人々がそっと手を差し伸べていたこと――その温かさに心を打たれた、とても素敵な物語でした。
また、作中ではずっと「悪魔」とされていたのに、なぜタイトルでは「天使」なのか不思議に思っていましたが、読み終えたとき、その意味に深く納得しました。
結末については、人によってはバッドエンドと捉えるかもしれませんが、個人的には、それを超えるハッピーエンドだったと感じています。 -
Posted by ブクログ
辻堂さん2冊目。1冊目の「山ぎは少し明かりて」でファンになって、この本でさらにファンになりました。読み終えて深い余韻に浸ります。
紡績工場で働く少女たちの会話のシーンはいきいきとしていてとても臨場感があります。それは「山ぎは…」の中であった少年たちの川遊びのシーンでも感じました。本当に画面を見ているような気がします。これは文筆力があればこそなせる業だと思います。
東京オリンピックの東洋の魔女たちの活躍のシーンも私はリアルタイムでテレビで観戦しましたが、本を読んでいて目頭が熱くなりました。そして最後の娘の萌の活躍も。
まだ若い方なのに、当時のシーンや出来事をリアルに再現できる文筆力に再度感服!素晴らしい本でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最後の伏線回収が怒涛すぎて、一気に読みきってしまった。感情が追い付かなくてしばらく呆けてしまった。久しぶりにぐっとくる本だった...。
疑心暗鬼に陥った主人公と同じく私も途中まで五味渕と粕谷のどちらが正しいかわからなかったな。
死ぬ夢は見方を変えたらまったく違う展開になってて、そういうことかと。オリジナル先輩が自分だったというのにだんだんわかってくるあたりもスピード感情あってざわざわきた。
過去の事件の真相にはゾッとしたな。最初から全部五味渕に仕組まれていたことだったのか。
詐欺片棒を担がされていた中原さんや被害者の坂口さんはこの後どうなったのだろう。
粕谷もこのあと後追いするんだよな...結局わざと刺したことも無駄になるのだろか...
考察するとしたら私はこの物語をハッピーエンドにする。最後に暗闇で見た幻覚はこのあと主人公が紗世と同じく過去に戻って改変された未来であったと。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ職場に刑事が来て身に覚えのない強盗殺人の容疑で連行されてしまった雅樹。防犯カメラに映っていたのは自分そっくりの男性。おまけに現場に残っていたDNAまで自分のものと一致していたとは…。
いや〜これ自分の身にそんな事が起こったらゾッとしますね。もしかして、自分は二重人格でもう一人の人格がやっていた事だったら?とかあれこれ考えそう。
一卵性双生児のDNAは同じだと以前当選した献本に書いてあったのでその後の展開は予想がついたけれど、真相が二転三転して予想以上に面白かったです。まだ2歳ですが男の子の一卵性双生児の孫がいるのでとても興味深く読んでしまいました。
一卵性双生児のDNAに関して最近新たな発見があったのも事実なんですね。思わず調べてしまいました。辻堂さんそんな事をすぐに小説にするのがすごいです。 -
Posted by ブクログ
仲睦まじい夫婦の光弘と咲奈は、ある日お互いの裏切りを知ってしまう。さらに双方ともが自らの秘密を知られたと思ったことから、愛情は殺意に変わった。表面上は仲の良い夫婦のふりをしながら、お互いの殺害を企てる二人。いったいどうなってしまうのか。コミカルだけれど、ハラハラドキドキが止まらないサスペンスミステリです。
とんでもない話なんですよねえ。殺害計画があまりに緻密で狡猾で、なのに読み口がとってもコミカル。いやいや、そんな軽い気持ちでそんな大それたことを? そしてそんなにとんでもない罠を仕掛けられたにもかかわらず、知恵を絞って回避してしまうのもまた凄いのです。しかもなかなか正面からぶちまけることなく、あくまでも仲良し夫婦を装いながら……この二人、メンタルが強すぎます。結局のところとっても似たもの夫婦で仲がいいんじゃないのか?
さて、最終的に勝つのはどちらなのか。物語の結末自体は予想していたものの、しかしそんな罠が仕組まれていただなんて。最後まで気の抜けない展開です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ辻堂ゆめ「十四時間の空の旅」
凪良ゆう「表面張力」
城平京「これは運命ではない」
木元哉多「どっち?」
阿津川辰海「成人式とタイムカプセル」
芦沢央「この世界には間違いが七つある」
ひとつめ:怖い話になるかと思ってたら、意外とハートフル。
でも、思春期の娘の父親への憎悪や、
あの時期の転校とか、そう簡単には癒やされないのでは?と思う。
でも、家族愛が伝わったのは良かったよね。
ふたつめ:さすが!面白く読めました。
スピンオフなら先に本編読みたかったなぁ。
誰が一番怖いかって話だけど、さりげなく病んでる人がいて
大丈夫かな?と思う。一番心配な人はお祓いされたら大丈夫かな?
みっつめ:虚構推理の人(作家)だーって読んでたら
虚構推理の人(登場人物)でした。
虚構推理は未履修だけど、読みやすかったし、
とっつきやすかったから、いつか読んでみてもいいかな、と。
よっつめ:これも、誰が一番怖いのかって話。
イヤミス?主人公はとても愚か。
いつつめ:この二人の話が他でも読めるのか?と思ったけど、
そうでもないみたい?タイムカプセル周りの話になるほど、しつつ、いい感じに伏線置いてくれてたからとっつきやすくはあったかな。他の作品もちょっと読んでみたくなった。
むっつめ:さすが!
突然の挿絵に戸惑いつつも、なるほどそういうことか、と
なりました。さすが!