辻堂ゆめのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最近本屋さんでちらほらとコロナ禍を描いた作品が出てきているな、と思っていましたが明るい題材でないので手に取れずにいました。
こちらはなんとなくタイトルが気になって読み始めたのですが、読むことが出来て本当に良かったと思った作品です。
自身のコロナ禍での体験と重な部分があるエピソードもあり、私もあの頃「心の相談室」に出会えていたらどんなに穏やかな気持ちになれただろうと思いました。
カウンセラーの仕事ってすごい!と思うのと同時に、晴川さんのように人の言葉の裏に隠された真実を読み解くことはできないけれど、
これからは少し人の思いや悩みに触れた時は、その言葉の裏にあるかもしれない気持ちにも思いを馳せたいなと思いました。 -
Posted by ブクログ
ある日、電車に轢かれて亡くなった娘の遺品から知らない女の子の財布と学生証が出てくる。
その女の子の母親と連絡を取るとその子も行方不明になっているとう事実が。
そして、亡くなった娘、鈴の遺影をみてその母親はその子は私の娘、詩音だと泣き叫ぶ。
経済状況も家庭環境も性に対しての考え方などまるで違う2人の母親が衝突しながらも2人の娘の真実を追っていくストーリー。
終盤からおいおい、待てよ、まさかでしょとゾクっとする展開が…。
読み終えてよくよく考えたらなんだ、冒頭から伏線はりっぱなしじゃないか!と気づき
やられた〜という一言ですね。
私はこの本を読んで初めて「ポリアモリー」という考えを知りました。大人の私でもなかなか理解に苦しむこの考えを子供の鈴が理解するなんて無理だろうに。
親は選べないけど捨てれる!
それを知ってるだけで救われる子がいるのも確かなことなんだなぁ。 -
Posted by ブクログ
短編が7話あって、サクサク読めたのですが、だんだん物語が繋がってくる感覚がとても興奮しました。
どれも交換日記を通じた物語が展開しているのですが、名前があまり出てこないからこそ、あの時のあの子か!とか繋がる瞬間はなんとも言えない感覚になりました。
最後の話になるに連れて、そうだったのかと謎が解けていく感じもありました。
ある種途中まで騙された〜!って感覚すらありました笑
それこそ妹と小学生の頃交換日記していたのを思い出しました。小説にあるようなしっかりとした内容のある日記ではなく、本当に他愛のないことばかりだったけど。
久々に交換日記したくなったな〜と感じるくらい魅力的な作品でした。 -
匿名
購入済みタイムスリップしてきた理由があるのは、わかって読んでたから考察しながら読んでたけど、違和感なく伏線を張ってるところも多くて、良質なミステリーだったと思う。
本編とは関係ないけど、解説ってあれ必要なんだろうか?
こっちで解釈して読んでんだから、蛇足がすぎる。いらん。 -
Posted by ブクログ
一言でいえば、「無戸籍」という現代社会の盲点に光を当てた、極めて濃密な社会派ミステリです。
しかし、重いテーマとは裏腹に、その読後感は驚くほど澄み渡っています。
物語の軸となるのは、二十数年前に起きた凄惨なネグレクト――通称「鳥籠事件」です。
過去の悲劇と現在の事件が交錯し、孤立や偏見や差別といった重苦しく、深刻なテーマが読者に突きつけられます。
しかし、著者の筆致は驚くほど優しく、柔らかく、端正で読みやすいのです。
だからこそ、そのギャップが、物語の切実さをより際立たせているようにも感じます。
兄妹の正体、鳥籠事件の真相、刺傷事件の犯人……など、散りばめられた謎が解き明かされていく、ミステリとしての面白さや完成度はとても秀逸ですが、何よりも胸を打つのは「家族以上の絆」で結ばれた人々の姿。
何もかもが制限されたコミュニティで、当たり前の権利からも見放された「何者でもない」無戸籍者達。
それでも、彼らは境遇を受け入れ、協力し合い、懸命に生きているのです。
血縁を超えた「同志」の絆、そして刑事たちのバディ像を通して描かれる「仕事への情熱」、犠牲と甘えに委ねる「家族の在り方」など、峻烈な現実の中にも温かな慈愛が満ちています。
そういった社会派のヒューマンドラマとしても、ミステリ以上に充実した物語かもしれません。 -
Posted by ブクログ
昼と夜があるように、
表の顔と、裏の顔があるように、
本音と建前があるように、
誰しも相反した二面性を持っている。
ドロドロとした汚い心を胸の奥にしまっていながら、
世間体や、よく思われたいため、相手を思いやるため、
理性が働いてこそ社会生活が送れる。
事故や事件、あるいは大きなショックで、
二つのバランスが壊れれば、病名が付くことにもなるかも。
加害者と被害者としての相反する関係も、
ストーリーの中で、考えさせられる。
「昼のはなし」で心温まる話から、
「夜のはなし」での、ある意味どんでん返しの数々。
王道の辻堂作品とコメントがあるのが、納得!
咲子の立場の気持ちも痛いほどわかるし、
母親の気持ちもよくわかるし、
茜のおばあちゃんの気持ちもやるせない。
茜の一生懸命な姿にも、胸を打たれた。
とても、感動的だった。 -
Posted by ブクログ
第一章では都を取り巻く家族の物語だと思った。でも第二章へ。さらに第三章へ読み進めると物語は壮大になっていく。
第三章の最初は別の物語なのかと錯覚した。しかしここからが物語の重要な部分だった。
都の祖母であり雅枝の母でもある佳代は戦争を経験している。出征した幼馴染の男の帰りを待ちながら故郷の瑞ノ瀬を守っていた。そして無事に生きて帰って来た孝光と夫婦になってさらに一生懸命働いた。
その瑞ノ瀬がダムの底に沈むことになってしまう。
孝光と佳代は反対運動を起こす。しかし途中で夫の孝光は失踪してしまう。そして反対運動は分解してしまうが、佳代は一人になっても夫の帰りを信じてダム建設の反対を貫いていく。
最後の佳代の手紙は涙が出た。
都、雅枝、佳代それぞれの故郷への思いが読み進むにつれわかってくる。
故郷への思いは人それぞれと、言ってしまえばそれで終わってしまうが、この物語はそれだけでは片づけられない奥深い物語だった。