あらすじ
蒲田署刑事課強行犯捜査係の森垣里穂子は、殺人未遂事件の捜査中に無戸籍者が隠れ住むコミュニティ“ユートピア”を発見する。容疑者のハナはコミュニティのリーダーであるリョウの妹だった。捜査によって彼らが唯一安心して暮らせる場所を壊してしまうのではないか──里穂子は苦悩しながら調べを進めるうち、かつて日本中を震撼させた未解決の“鳥籠事件”との共通点に気づく。特命捜査対策室で同事件を担当する専従捜査員・羽山圭司とともに執念の捜査の果てに辿りついた衝撃の真実とは。社会問題への真摯なまなざしとミステリの企みが見事に融合した、第24回大藪春彦賞受賞作。/解説=千街晶之
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Posted by ブクログ
聞いたことはあったけどいまいちよく理解していなかった無戸籍という言葉。本当にそんな人が今の時代にいるのか思わずネットで調べて見た。現在の推定無戸籍者は800人程。色んな理由で戸籍を取得できない人がいることを知った。
私がこの作品を最後まで読んだのは作品としての面白さはもちろんだけれど、少しの好奇心、野次馬精神のようなものもあったと思う。これは鳥籠事件の記事を面白く書いた週刊誌や事件の感想を興味津々に語っていた里穂子の両親と同じようなものかもしれない。
でも読み終わった今、私は心の底から無戸籍でこの世に存在していることを誰にも知られていない人、当たり前の生活を送れず苦しんでる人が1人でもいなくなることを心から望んでいる。もちろん私にはあのユートピアから15人を救い出してくれた園村さんのようなことはできないけれど、里穂子のように寄り添うことはできるかもしれない。
怖いのは無知であることというのを改めて思い知らされた気がした。
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一件の殺人未遂事件から浮かび上がる無戸籍者のコミュニティとかつて日本中を震撼させた未解決の児童虐待事件(通称、鳥籠事件)が交錯する社会派ミステリーで、主人公の女性刑事の事件を解決しなければならない使命感と自身が捜査することで無戸籍者達の平穏を壊すかもしれない不安の葛藤や事件の顛末までのストーリー展開と現実でもあり得そうな深刻な社会問題に言及されているのが印象深かった。
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地元蒲田を舞台にした小説で、思わず手にとってしまった。
率直な感想を言うと、結末が読めなくて、非常に面白かった。
この小説のメインのテーマとなる鳥籠事件。
長年未解決だったこの事件が、偶然蒲田で起きた殺人未遂事件をきっかけに、操作が動き出す。
警察官の執念や、取り調べ、事情徴収など、警察の仕事を理解することにもつながる内容だった。
そして、「無戸籍者」という分類の話を初めて聞いて、いろいろ考えさせられた。自分は普通に生まれて、戸籍もあり、両親もいた。ただ実際いろいろな事情があって、無戸籍者という人たちも、今自分の周りにいると思うと、自分自身はとても恵まれた環境で生活ができていると改めて実感し、両親への感謝の気持ちも芽生えた。
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辻堂ゆめさん、2冊目。
仕事が忙しく、なかなかまとめて本を読む時間を取れなかったのだが、それでも頭に残るような語り口で、とても面白く読めた。
蒲田署の刑事・森垣里穂子が、ある事件の容疑者ハナを尾行する中で、無戸籍者が隠れ住むコミュニティを発見したところから始まる物語。
そこからは、コミュニティに住む人たちの現在と過去、社会における無戸籍者に関する課題、職務の過程で知ってしまったコミュニティとの関わり方についての里穂子の葛藤などが丁寧に語られていき、重たい話ではあるが謎解き要素にも満ちた展開でズンズンと読ませる。
里穂子や過去の事件の専従捜査員・羽山だけでなく、コミュニティのメンバーや養護施設の臨床心理士、NPO法人の代表者など、それぞれの人物が過不足なく描かれて、現実感がある。
かつて起こった未解決の誘拐事件と現在のコミュニティの人々とのつながりが、一気の伏線回収とともに明らかにされる展開がお見事でした。
加えて、事件が収束した後に描かれる登場人物たちの心情には、それぞれの優しさや情愛、反省や決意が埋め込まれていて、読後感が温かい。
所轄の人間が管轄外の事案にあのように関わって動けるのかと思っていたのだが、そのように心身を削って事件を追った里穂子だからこそが、最後に知りえた幸せの形には、とても共感した。
自分が『誰でもない人間』であるという恐怖の中、相談に行った行政の窓口でたらい回しにされたり理不尽なことを言われたりという件りはやるせない。
『窓口担当者が通知を把握していないケースがたくさんある』とも書いてあり、窓口の方には色々変わる法令をすべて読み込むのは大変だと思うが、それでもしっかりしていただきたいものだと思った。
Posted by ブクログ
面白かった。
読み応えがあり、それぞれのキャラクターが魅力的で、ページをめくる手が止まらなかった。
殺人未遂事件から始まり、社会派ミステリーとして無戸籍問題にどっぷり浸かっていくが、語りが軽快で飽きず、読みやすい。
アレルギーのくだりなど、鳥籠事件の真相に近づくにつれて鳥肌が止まらなくなる。
そして、あまりに残酷な真実に、その場面だけは呼吸を落ち着けてため息をつきながらでないと読み進められなかった。
失った命、時間は戻ってはこないが、ユートピアは無駄ではなかったという言葉に心が救われる。
不完全な社会でも、少しずつセーフティネットが出来ていること、希望を感じられるラストになっていてよかった。
辻堂ゆめさんの作品は今後も読んでいきたいと思った。
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無国籍者を巡る社会問題やネグレクト、子どもの虐待などとても重たい社会問題を取り上げながらも、とても読みやすく非常にクオリティの高い小説でした。
主人公である蒲田警察署・森垣刑事が捜査の過程で知ってしまった無国籍コミュニティとの関わり方との葛藤が丁寧に描かれています。日本特有の戸籍制度を基盤として成り立っている今の社会では、無国籍ということで教育、医療、職業、結婚などの選択肢が奪われていること。総務省や厚労省など中央官庁通知を基礎自治体窓口担当者が把握してなくたらい回しされた話しなど、著者の無国籍問題に対する入念な調べを感じます。
最終章で未解決事件となっていた『鳥籠事件』の真相解明など、ここまでの伏線が一気に回収されていく展開は見事でした。しかしながら、未解決事件『鳥籠事件』の背景があまりにも残酷。現実社会ではこんなことがあってはいけないと思いました。
事件解決とともに無国籍コミュニティは明るみになり、外の世界と接触をもち支援団体からの支援を受けながら、戸籍の回復や住民票の取得など前に進み始めます。
文中での筆者のフレーズが心に響きます。
「世の中に完璧などない。同様に、完璧な人間もない。不完全な人間同士が、不十分ながらに互いを補い合い、やっとのことでそれらしい形を保っている。それが自分たちの住む社会なのだ。」
その中でも、自由に希望を持って歩んでいける社会になってほしいと思いながら読み終えました。
Posted by ブクログ
「今日未明」で読みやすい文章と面白さで
他の作品も気になって読んでみた。
ずっと読み続けられる面白さ
無戸籍の方のこと今まで全くと言っていい程
知らなくてこの本で色々勉強になった。
それぞれのキャラも個性があって
最後はそれぞれを応援したくなる。
ミステリーとしても予想外のラストで
嫌な気持ちは残るけど終わり方は良かった。
Posted by ブクログ
新川帆立さんの『先祖探偵』の後書き対談に登場した辻堂ゆめさんがこの本について言及していたのがきっかけで知った。
無戸籍という同じワードを使っているけど前者は柔らかい人間ドラマに対してこの本はかなりドス黒いと言うかジメジメしていると言うか、人が嫌だなあと感じる擬音が全部入っていそうな話だった。
あらすじの通り、主人公里穂子刑事は無戸籍の殺人未遂の被疑者ハナを通してユートピアと言う名の無戸籍コミュニティの存在を知り、捜査を進める上で彼女達の住処を壊してしまうのではという不安と自分が刑事を目指す理由となった鳥籠事件の被害児童と似た境遇のハナ達への好奇心との葛藤がめちゃおもしろい。
まず知らない事が多かった。
無戸籍の事もそうだしそれにまつわる法律もそうだし。でもその知らないところの説明が全然うるさくなくて凄く読みやすかった。
一方的な説明に圧倒されると読む気失せたりするけどそんな事本当に無かった。間隔空けて読んでた事もあるとは思うけど。
なんとなくあらすじに書いてあるような鳥籠事件の被害児童とユートピアのリョウとハナが同一人物では無いんだろうなとは思っていたけど、その期待の裏切り方が惨過ぎてびっくりした。その動機も動機の固め方も説得力があってなるほどと納得してしまった。
名取兄妹がもしも無事あのまま養護施設で暮らせていたら普通に生きていけたんだろうか。
死亡保険金目当てで子供を殺そうとする身勝手さ。でも我が子は、人間は殺せないという更なる身勝手な理由で人の言葉を話せない人間じゃないような鳥籠事件被害児童をさらって、しかも当時の自分の子供と同じ体重になるくらいまで太らせたりとか…。すごい話考えるなあとつくづく思う。
ユートピアで暮らしていたリョウとハナは鳥籠事件の被害児童ではなく、その被害児童をさらった女の子供だった。
せっかく鳥籠から救出されたのに保険金の身代わりにされちゃった名取兄妹が不憫過ぎて読んでて泣いてしまった。
テッペイやヨシコとか、出番の無かった熟年無戸籍者達もよくぞこうして生き抜いてきたと思う。
間違い無くユートピアを支え続けて来た人達だし、外の世界での孤独や苦悩を知っているからこそハナが事件に巻き込まれるまで誰も知らない理想郷だったんだ。みんなが守ってきたユートピア、それだけで泣ける。
里穂子がハナと出会うきっかけになった事件もハナが犯人だと思ってたけど真犯人は別にいて、そういえばと思う伏線がいくつかあった事に気付かされた。冒頭の方での情報がどんでん返しの材料になってて確かにってなった。
よくこんな話を思い付くなあ。
法律に詳しくても警察に詳しくても思い付くのかなこんな話、すごいや。
おもしろかったずっと。
またこういう説得力のあるサスペンス読みたいな。
説得力と言うかなんと言うか、とにかく知らない事が多かったけどおもしろかった!
Posted by ブクログ
この世に無戸籍者がいることは是枝裕和監督の映画「誰も知らない」を観て知った。
実際に起きた事件をモデルとしており、私が知らないだけで今現在も無戸籍者は社会問題となっているのかもしれない。
本著に登場する無戸籍者が隠れ住むコミュニティ「ユートピア」は現実にも存在しているのかもしれない。
無戸籍者が起こした殺人未遂事件により、過去起きた未解決事件の鳥籠事件が浮上し、そのふたつの事件が絡み合う伏線の数々が最後に導く結末が思いもよらぬものだった。
無戸籍により社会では透明な人間となってしまっているが、存在する人権のある人間であること。
社会に守られる権利があること。
人として生まれた以上、生まれたルーツが分からなくても、どうか人権は守られて欲しいと願う。
無戸籍者を取り囲むトリカゴが、閉じ込めるものなのか守るためのものなのか。
トリカゴが開け放たれて行き着く先に、つい涙してしまった。
Posted by ブクログ
とても良かった。ミステリというよりも、この社会にある重いテーマにきちんと向き合っている物語だった。
女性刑事というと、若い熱意だけがある新人のようなイメージだったけれど、この森垣という主人公は育休明けの落ち着いた感じの人物で好感が持てた。彼女が少し無戸籍者たちに肩入れしがちな分、本庁の羽山という刑事がバシバシと捜査を進めていて、いいバランスだった。
この羽山は終盤になるまでずっといけ好かない感じだったのに、真相が見えてきたある瞬間、めちゃめちゃカッコ良くなったところがあって唸らされた。これはずるい。
そして、その羽山に押されることなくきちんと主役を張っていた森垣は、女性刑事として男性作家が描くファンタジーな存在じゃなくて、地に足がついた良い刑事だった。
物語は途中までずっと先が見えない感じだった。
中心には絶えず無戸籍者たちの頑なさ、拒絶が据えられていて、まるで現実では出会うことの少ない彼らが、本当なら無視できない存在なんだぞという作者の訴えが聞こえてくるようだ。
「鳥籠事件」も無戸籍者問題も、大きく考えれば人権の問題になると思う。今は法が改正され、たとえ戸籍を作るのが難しくても、住民票が取れたり健康保険の加入ができたりするようになったそうだ。
無戸籍、無保険。想像を絶する世界だけれど、今知ることが出来てよかったと思う。これから社会を見つめる時、忘れないでいたい。
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無戸籍問題については知っていたけれど、その生活を具体的に想像することは今までなかった。理解はしていても、当たり前のように、自分が見る世界を当たり前だと思って生きてしまう。きっと私ができることなんてないし、とても浅はかで自分勝手だけれど、色々な社会問題を勉強していきたいし、このような作品がきっかけで、社会問題が世の中に広く知られ、苦しむ人が救われる正しい支援が行われるようになってほしい。
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女刑事 里穂子が恋人への殺人未遂容疑で現行犯逮捕した女性は取調べで自身が無戸籍だと主張する。
殺人未遂事件と25年前に起きた幼児誘拐事件、無戸籍者達が息を潜めて暮らすコミュニティ、繋がりがないはずの事案には奇妙な共通点があった。
もしも自分に日本国籍がなかったら?
学校、仕事、病院、保険証、免許証、銀行口座、パスポート…全て通えない、持てない、作れない。
選択肢がほぼゼロすぎて考えただけでぞっとする…。
社会への問題提起のような重いテーマで胸が苦しくなったけどミステリ面としても面白く、引き込まれるように読んだ。ラストの伏線回収も圧巻。
私が生まれながら当たり前に“持っている”ものは決して当たり前ではないんだと深く考えさせられた。当たり前の重さ、有難みがしみじみと沁みる。
Posted by ブクログ
不幸な境遇の中で育った兄妹。しかしそれは、単純な不幸ではなく複雑に絡み合った不幸だった。
でも、本人たちは案外幸せに暮らしていたのかもしれない。
1人の女刑事と一つの家族が出会うストーリー。
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辻堂作品は初読。
気にはなっていた作家だが
青春ミステリーのイメージがあり
少し苦手だと思っていた。
しかし、無骨さ、力強さ
そして優しさ。
文章の粒度が
非常に高い位置にあると感じた。
また読んでみたい作家が増えた。
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いい結果にはなったと思うが
鳥かご事件の兄弟が可哀想すぎる……
ユートピアの人たちも色々試した結果ここが正しい、ここしかないと言う思考になってしまっていて可哀想だった。
あの人たちのせいではなく取り残される環境を作った社会のせいだと思う。
でも最終的にはいい方向になってよかった。
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殺人未遂の容疑者を事情聴取したところ、無戸籍であることが判明
無戸籍者が戸籍を取得し、外の世界と関わることの難しさ
それでも結局は人と人との関係で社会はあること
無戸籍者のコミュニティを壊すかもしれないが警察として捜査をするという、そのバランスがなんとも複雑
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殺人未遂事件 DV 育児放棄
無国籍者
更なる事件も
ミステリーやサスペンスだけなく
前半はテーマが絞られ進んでいくが後半は怒涛と展開に
苛立ち、驚き、そしてグッとくる
様々な要素盛り沢山
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無戸籍であることがこの世界で何者でもない人間であること、その虚しさと悲しさを感じた。ユートピアでは戸籍がなくとも穏やかにコミュニティ内で生活ができる、満たされている人たちに果たして戸籍を与えることはただの偽善なのか途中から答えがわからなくなった。
ミライの病気のおかげで、なぜ戸籍があった方が心穏やかに過ごせるか、戸籍を作ることがなぜ親の義務なのか明確に理解できた。
はじめはハナは無戸籍で育てられた可哀想な子だったが、読み進めるにつれ、人と人とは支え合って生きているのであってコミュニティがあってたくさんの愛情を受けて育ったからこそ、ハナという素敵な人間が育っていったのだなと思った。これからハナにはたくさんの辛いことがあると思うが誰かに愛されて育ったことは辛いことを乗り越える何よりも強力な原動力になると強く感じた。
Posted by ブクログ
無戸籍の人が存在する、そんな事すら知らなかったので色々と衝撃でした。物語のテーマとしては重く簡単には答えの出ないものだけれど、それを登場人物たちそれぞれの立場からその時のベストな答えを模索していく様が良かったです。ミステリとしても読み応えがありました。
Posted by ブクログ
鎌田署所属の森垣刑事が、殺人未遂事件の容疑者を追っていたら、そのハナと名乗る若い女性の容疑者は無国籍だった。
無国籍であるということは、生きていく上で、当たり前に与えられ、あるいは法で守られる権利を一切持つごとが許されず、例えば、教育を受けられず、病院にも行くことも出来ず、そもそも自分を証明するものがないので、何もできないなんて・・・。国籍があるだけで、幾重にも法律で守られているのに。普通の人が想像することすら出来ない過酷な環境の中、ハナは、兄と一緒にとある無国籍の人たちのコミュニティーの中で生活していた。
そして、無国籍のハナと彼女の兄が、何者かを調べていくうちに、25年前に世間を震撼させた未解決の「鳥籠事件」に行きつき、未解決事件で「鳥籠事件」担当の羽山刑事とともに、その事件を調べなおす。そこには、幾層にもかさなる大人たちのあまりにも理不尽な理由でほんろうされた子供たちがいた。
久しぶりに手にしたとても読みごたえのある内容の長編、少し読むのに時間はかかったが、少し重い内容の部分もあったが、最後は良かったと思える内容だった。
Posted by ブクログ
本作品から無戸籍者たちのことを知った。里穂子と羽山の執念の捜査、『鳥籠事件』との関連、ユートピアの存在、無戸籍者支援。民法第七七二条問題。考えさせられた。無戸籍者たちに寄り添う里穂子が印象的だった。「完璧」ではなく、「十分」を目指せばいい。恵まれた毎日の生活に感謝!重いテーマであったが、作者の柔らかな筆致に救われた。
Posted by ブクログ
3.8くらい
二重らせんのスイッチの後に読んだから、また「入れ替え」系かあとちょっと思ったり。
ハナとリョウが鳥籠事件の被害者でないことはなんとなくずっと予想できてたからあんまりどんでん返しではなかった(だからと言ってじゃあこの2人には何があった?は想像できなかったけれど)
鳥みたいな育て方されて本当にこんなに普通に話せるか?とか、カウンセラーの人が20年以上前の子を見てこの子達です!!と言って、DNA鑑定もしてないのに確定だ、、!となるか?とか、
ずっとモヤ〜を感じていた
東野圭吾を読んでる時みたいな。すっごい怪しい人いるけど絶対この人犯人じゃないんだよな、だからと言って誰が犯人かはわかんないんだけど、みたいな。
ハナとリョウのお母さん、すごい年上の人に洗脳されて子ども殺して保険金もらうっていう流れ、世界仰天ニュースでありそう
いくら野生児だったからって、、ブクブク太らせるまで食べ物を与えて、最終的には殺すって非道すぎ。生涯で一度も愛を知ることができなかったのが無念すぎる。
最後に一気に種明かしされるので、それまでがちょっと飽きそうになった
巣鴨子供置き去り事件。。ずっと気になってた「誰も知らない」を観る時がついにきた
Posted by ブクログ
四半世紀前、育児放棄されていた幼い兄妹二人が狭い部屋でペットの小鳥と一緒に発見された。
兄妹は一度として外界と接する機会はなく、言葉を話すことができず、食事もたまに最低量しか与えられていなかった。
母親は子供の監禁容疑で逮捕される。
この事件は「鳥籠事件」と呼ばれ、母親の逮捕後に兄妹は養護施設に保護された。
がしかし、一年後に何者かによって兄妹は誘拐され、その後は行方知れずとなってしまう。
森垣里穂子は6歳の時に「鳥籠事件」を知ってショックを受け、大人になったら犯罪人を逮捕する警察官になろうと心に決めた。
勤務成績優秀な里穂子は、蒲田署刑事課強行犯捜査係の刑事として成長していた。
コロナ禍の2021年4月、男性が街路で刺されて被疑者は逃走中という事件現場に里穂子は立つ。
そこで被害者の男性から、犯人は叶内花という女だと証言する。
事件現場を遠目から様子を窺っている叶内花を見つけ、里穂子は彼女を容疑者として署に連行する。
被疑者の取り調べが始まると、叶内花という名前は本名ではなく、自分の生年月日、出生地さえも知らず、物心ついた時に名も知らない育ての母親と暮らしていて「ハナ」という名を与えられたと供述する。
17歳になった時に、育ての母親も姿を消し、その後は日当払いの仕事をしてその日暮らしを続けていたという。
自供が真実かどうかの捜査の結果、「ハナ」は無戸籍者ということが判明する。
「ハナ」を含む無戸籍者たちが寄り集まった「ユートピア」と称する集団と、「鳥籠事件」とが複雑に絡みながら物語は進展する。
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蒲田署刑事課の森垣里穂子は、殺人未遂事件の容疑者ハナを尾行中、無戸籍者が隠れ住むコミュニティを発見する。彼らが唯一安心して暮らせる場を、警察の捜査が壊すかもしれない──里穂子は苦悩しながら調べを進めるうち、かつて日本中を震撼させた未解決の“鳥籠事件”との共通点に気づく。刑事たちが執念の捜査の末に辿りついた、胸を衝く真相とは。
ストーリーが気になり どんどん読み進めた。
いろんな考えの人がいるから 無戸籍の人もある程度いるんだろうな。
この世の中、里穂子みたいな人って少ないだろうと思う。自分が生きるので精一杯で 他人のこと気にする余裕の無い人も多いだろう。
戸籍のことではとても勉強になった。
知らないことばかりだった。
知らなくてもいいこともあるだろうけど 知識や情報はあった方が生きやすいだろうな。
あと、この本の内容には関係ないんだけど…
偏見もあるのだけど 外国人さんがとても多くなって ちょっと怖く感じる。
日本もアメリカのように いろんな人種の人が住む国になるんじゃないのかな?って思ってしまう。
Posted by ブクログ
事件の容疑者か無戸籍の女性で、子供の頃に行方不明になった人物ではないかと思い、捜査を進めていきます。ミステリーのみではなく、社会問題も含むストーリーです。
実際に会った事はありませんが、現実にもこのような方がいるであろうことを改めて認識しました。ただ行政が悪いということでもない、複雑な問題だと思いました。
Posted by ブクログ
「無戸籍者」をテーマとした社会ミステリ小説。
これまでの人生で無戸籍者に会ったことはないし、そうそう発生してしまう事例ではないと思いながら読み始めた。
が、読めば読むほど、社会には思いもよらない穴がそこかしこにあって、あり得ないものじゃないのだと感じることに。「自分」が誰なのかわかるという当たり前は、実は幸運なんだと感じることができたのはこの小説ならではの収穫です。
そんな無戸籍者にどう関わるか、主人公と一緒にヤキモキしながらの読書。明らかになった結末にまで命題が差し込まれていて、凄い小説でした。
Posted by ブクログ
傷害事件で逮捕した被疑者を取り調べていたところ、その人には「戸籍がない」ということが発覚。
名前も、住所も、親も、一つも情報を証明する手段を持たない「無戸籍」の被疑者が暮らしていたのは、同じように戸籍を持たない人々が共同生活を送る「ユートピア」でした。
なぜ、「ユートピア」で彼らは暮らすようになったのか、彼らの出自はどのようなものなのか。
過去に起きた児童誘拐事件とのつながりや、現在の傷害事件の捜査と合わせて、無戸籍という社会問題についても焦点を当てて考えさせられる、とても重厚な読みくちのミステリです。
事件解決への展開は、一つひとつの捜査を積み上げてゆく様子が丁寧に描かれていて、「ひょんな思い付きから事件が解決!」というようなご都合主義な展開にならず、ある意味で安心して読み進めることができました。
ただ、根底にある「無戸籍」という問題は、どうしても親が子供のことを第一に考えなかった(=出生届けを出すことよりも、親自身の事情を優先した)ことに由来する部分が大きく、そういった意味では主人公と一緒になって現代社会の不寛容さに心を痛める場面もありました。改めて、「当たり前」に暮らしていること自体が幸せなことなのだ、と考えさせられる読書でした。
Posted by ブクログ
2022年第24回大藪春彦賞
蒲田で起きた刺傷事件の容疑者ハナを逮捕した女性刑事は、彼女の生活環境を知り驚愕する。
彼女は、ある工場の一画で「無国籍」者達のコミュニティを作っていた。
現代社会の暗部無国籍という社会問題と
25年前の未解決虐待幼児誘拐「鳥籠事件」を
関連させながら、
刑事としての正義
人としての救済
母親としての慈愛 を
根気強く描いているなと思いました
根気強すぎて多少表現が重なる部分があるなとも
思いました。
人としての優しさに重点をおき社会的な立場を優先すると家庭が手薄になりんすね。
この女性刑事のご活躍は、ご家庭で幼い娘さんの子育てを引き受けて在宅でお仕事してくれている
静かなる夫の力量によるところが大きいなあ。