【感想・ネタバレ】トリカゴのレビュー

あらすじ

蒲田署刑事課強行犯捜査係の森垣里穂子は、殺人未遂事件の捜査中に無戸籍者が隠れ住むコミュニティ“ユートピア”を発見する。容疑者のハナはコミュニティのリーダーであるリョウの妹だった。捜査によって彼らが唯一安心して暮らせる場所を壊してしまうのではないか──里穂子は苦悩しながら調べを進めるうち、かつて日本中を震撼させた未解決の“鳥籠事件”との共通点に気づく。特命捜査対策室で同事件を担当する専従捜査員・羽山圭司とともに執念の捜査の果てに辿りついた衝撃の真実とは。社会問題への真摯なまなざしとミステリの企みが見事に融合した、第24回大藪春彦賞受賞作。/解説=千街晶之

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

新川帆立さんの『先祖探偵』の後書き対談に登場した辻堂ゆめさんがこの本について言及していたのがきっかけで知った。
無戸籍という同じワードを使っているけど前者は柔らかい人間ドラマに対してこの本はかなりドス黒いと言うかジメジメしていると言うか、人が嫌だなあと感じる擬音が全部入っていそうな話だった。

あらすじの通り、主人公里穂子刑事は無戸籍の殺人未遂の被疑者ハナを通してユートピアと言う名の無戸籍コミュニティの存在を知り、捜査を進める上で彼女達の住処を壊してしまうのではという不安と自分が刑事を目指す理由となった鳥籠事件の被害児童と似た境遇のハナ達への好奇心との葛藤がめちゃおもしろい。

まず知らない事が多かった。
無戸籍の事もそうだしそれにまつわる法律もそうだし。でもその知らないところの説明が全然うるさくなくて凄く読みやすかった。
一方的な説明に圧倒されると読む気失せたりするけどそんな事本当に無かった。間隔空けて読んでた事もあるとは思うけど。

なんとなくあらすじに書いてあるような鳥籠事件の被害児童とユートピアのリョウとハナが同一人物では無いんだろうなとは思っていたけど、その期待の裏切り方が惨過ぎてびっくりした。その動機も動機の固め方も説得力があってなるほどと納得してしまった。
名取兄妹がもしも無事あのまま養護施設で暮らせていたら普通に生きていけたんだろうか。
死亡保険金目当てで子供を殺そうとする身勝手さ。でも我が子は、人間は殺せないという更なる身勝手な理由で人の言葉を話せない人間じゃないような鳥籠事件被害児童をさらって、しかも当時の自分の子供と同じ体重になるくらいまで太らせたりとか…。すごい話考えるなあとつくづく思う。
ユートピアで暮らしていたリョウとハナは鳥籠事件の被害児童ではなく、その被害児童をさらった女の子供だった。
せっかく鳥籠から救出されたのに保険金の身代わりにされちゃった名取兄妹が不憫過ぎて読んでて泣いてしまった。

テッペイやヨシコとか、出番の無かった熟年無戸籍者達もよくぞこうして生き抜いてきたと思う。
間違い無くユートピアを支え続けて来た人達だし、外の世界での孤独や苦悩を知っているからこそハナが事件に巻き込まれるまで誰も知らない理想郷だったんだ。みんなが守ってきたユートピア、それだけで泣ける。

里穂子がハナと出会うきっかけになった事件もハナが犯人だと思ってたけど真犯人は別にいて、そういえばと思う伏線がいくつかあった事に気付かされた。冒頭の方での情報がどんでん返しの材料になってて確かにってなった。

よくこんな話を思い付くなあ。
法律に詳しくても警察に詳しくても思い付くのかなこんな話、すごいや。

おもしろかったずっと。
またこういう説得力のあるサスペンス読みたいな。
説得力と言うかなんと言うか、とにかく知らない事が多かったけどおもしろかった!

0
2025年09月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いい結果にはなったと思うが
鳥かご事件の兄弟が可哀想すぎる……

ユートピアの人たちも色々試した結果ここが正しい、ここしかないと言う思考になってしまっていて可哀想だった。
あの人たちのせいではなく取り残される環境を作った社会のせいだと思う。

でも最終的にはいい方向になってよかった。


0
2025年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

無戸籍であることがこの世界で何者でもない人間であること、その虚しさと悲しさを感じた。ユートピアでは戸籍がなくとも穏やかにコミュニティ内で生活ができる、満たされている人たちに果たして戸籍を与えることはただの偽善なのか途中から答えがわからなくなった。
ミライの病気のおかげで、なぜ戸籍があった方が心穏やかに過ごせるか、戸籍を作ることがなぜ親の義務なのか明確に理解できた。

はじめはハナは無戸籍で育てられた可哀想な子だったが、読み進めるにつれ、人と人とは支え合って生きているのであってコミュニティがあってたくさんの愛情を受けて育ったからこそ、ハナという素敵な人間が育っていったのだなと思った。これからハナにはたくさんの辛いことがあると思うが誰かに愛されて育ったことは辛いことを乗り越える何よりも強力な原動力になると強く感じた。

0
2025年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

3.8くらい
二重らせんのスイッチの後に読んだから、また「入れ替え」系かあとちょっと思ったり。
ハナとリョウが鳥籠事件の被害者でないことはなんとなくずっと予想できてたからあんまりどんでん返しではなかった(だからと言ってじゃあこの2人には何があった?は想像できなかったけれど)
鳥みたいな育て方されて本当にこんなに普通に話せるか?とか、カウンセラーの人が20年以上前の子を見てこの子達です!!と言って、DNA鑑定もしてないのに確定だ、、!となるか?とか、
ずっとモヤ〜を感じていた
東野圭吾を読んでる時みたいな。すっごい怪しい人いるけど絶対この人犯人じゃないんだよな、だからと言って誰が犯人かはわかんないんだけど、みたいな。

ハナとリョウのお母さん、すごい年上の人に洗脳されて子ども殺して保険金もらうっていう流れ、世界仰天ニュースでありそう
いくら野生児だったからって、、ブクブク太らせるまで食べ物を与えて、最終的には殺すって非道すぎ。生涯で一度も愛を知ることができなかったのが無念すぎる。

最後に一気に種明かしされるので、それまでがちょっと飽きそうになった
巣鴨子供置き去り事件。。ずっと気になってた「誰も知らない」を観る時がついにきた

0
2025年07月18日

「小説」ランキング