あらすじ
幼い頃遭遇した事故のトラウマで、医者になる夢が断たれた僕。そんな時に出会ったのは、左手だけでピアノを奏でるさやこだった。天真爛漫な彼女にいつしか僕は恋心を抱くようになるが、彼女の行動は振り返ると「嘘」ばかり。さやこは何の目的があって僕のところへ来たのだろうか? 繊細な心理描写&精密なミステリが融合する辻堂ゆめの傑作!
《解説》逸木裕
感情タグBEST3
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プレリュード ~前奏曲~
第一曲 出会い 第二曲 僕の左手
インターリュード ~間奏曲~
第三曲 光と影 第四曲 彼女の左手
ポストリュード ~後奏曲~
ちょっと変わった出会い。少し不思議な彼女の挙動。
彼の苦しみと彼女の思い、彼の思いと彼女の苦しみ。
様々なことが明らかになって新しい時間が始まる。
そして彼女の奏でる音楽が私の耳にも聞こえる。
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ピアノを弾くような、繊細な文章を目で追いながら、いつまでも読んでいたいと思えるような心地になりました。
冒頭に描かれた、電車の脱線事故。大きく人生を変えられてしまった主人公の元に現れるのは、生まれた時から右手が動かない、片手でピアノを弾く、女の子でした。
帯に書いてあった、「ミステリー」という言葉から、ミステリー要素を探していましたが、なかなか見つからず、気がつけば本の中に吸い込まれている自分。
読み終えて、ちゃんとミステリーだったことを知り、2度目を読むと、全ての行動の意味がはっきりと見えてきます。この描写力、すごすぎます。
物語の中で取り上げられる、数々のクラシックは、インターネットで調べながら、聴きながら本を読み進めました。
片手で弾くピアノとは全く違うものであるかもしれませんが、それでも、聴く価値はあるとおもいます。
人は与えられたものから、自分なりの解釈をします。
左手しか使えないさやこを、最初は可哀想だと思っていたけれど、必ずしも本人が同じように思っているわけではないのです。
右手を失ったのではなく、神様から左手を与えられた、というさやこの一言は、なんだかじんわりと、心に響いてくるのでした。
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医学部の五年生の時田習の前に、ある日突然キャンパスで右手の動かない「脳性小児麻痺」だという21歳で習の大学の教育学部を目指しているという、明るく天真爛漫な清家さやこが現れます。
突然現れたさやこは習に、キャンパスの案内や勉強を教えて欲しいなど、立て続けにいろいろなことを頼みこんできます。
そして、出会って三日目目に習はさやこの実家の側のカフェで、さやこが左手だけで奏でる素人離れした美しいピアノの音を聴き、二人はその日恋人同士になります。
しかし、習の方から連絡したきり、さやこからある日突然連絡が途絶えます。
習はさやこがついていたとある嘘に気づいてしまいます。
その嘘とは習の過去に起きたとある事件に関係するものでした。
さやことの出会いは偶然ではなかったのです。
ミステリーを含む、恋愛小説ですが、殺人事件はなく、嫌な人物は一人も出てこないさわやかで幸せな気持ちになれる青春のストーリーです。
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恋愛小説と思いきや、散りばめられた伏線を回収して、恋愛ミステリーに仕上げられている。
左手だけで弾くさやこのピアノの音色が聴こえてくるような描写、繊細な心の動き、ゆめさんらしい光が満ちてくる物語。
美しすぎるミステリー
この小説を読んで、ミステリーなのにこんなに美しいという感想で終わるものがあるんだと初めて思い知らされました。
彼女がついた多くの嘘も全て意味があり伏線があり、読んでいて、これもあれも繋がっているのかと感心させられるばかりでした。
ただ、ページ数が少ない分2人の会えなかった時間が割とあっという間で少しあっさりしすぎているような気もしてしまいました。
音楽が題材となっているだけあってピアノの描写が何度も出てきますが、実際に聴こえないピアノの音が聞こえてきそうなほど描写が細かく、感情が高まるかのごとく緻密に表現されていて、本当に素晴らしかったです。
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今回はイヤミスではなく。
爽やかな青春ラブストーリーかと思いきや、登場人物には影があって...
唐突だなと思った序盤部分も真相がわかれば、納得。
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はじめは恋愛小説かなと思いながら読み進めていたが(それでも描写の表現の仕方は面白かった)、途中から急展開。読み応えのあるもので一気に読み進めた。
ハンディを負ったヒロインの優しすぎる性格と並々ならぬ努力で夢を追い続ける姿は心打たれるものがあった。この組み合わせは正直ずるいと思う。
いやな人間は全くなく、読み終えた後は気持ちが良かった。
Posted by ブクログ
ミステリーというより恋愛小説に近いかな
でも恋愛小説ではない
やはりミステリーなのかな?
ついつい一気読み
描写方法がうまいのか、音楽や感情、情景がすんなりとイメージでき、とても読みやすかった
そして久々にどストレートに感動させられた
特に『この左手は、神様は残してくれた』というさやこの発言はズシンとくるものがあった
(セリフ多少違うかもしれないがご愛嬌)
音楽やクラシックの知識とかあったら、もっと楽しく読めたかも
映画化してほしいけど、繊細なシーンが表現しきれなそうなので映画化してほしくない
なかなかの葛藤案件
Posted by ブクログ
大学の屋上に佇む医学生の僕。そんなとき、大学を見学しに来たという彼女。ひょんなことから、僕は彼女に勉強を教えることに。いつしか、彼女に恋をするのですが・・・。
辻堂ゆめさんということで、どんな伏線回収?どんなミステリー?と期待しながら読んでいました。
しかし、最初の段階では、ドラマチックな恋愛小説でした。たまたま出会って、彼女の天真爛漫な性格に翻弄され、いつしか恋をするのですが、ミステリーの「ミ」の字もないので、どういう展開?と疑問ばかりでした。
ところが、僕の過去あたりから、どこかミステリーの展開になります。彼女が行方不明?や彼女の謎の行動といったそれまでの恋愛小説とは違ったテイストになるので、ちょっと期待が膨らんできました。
そして、彼女の正体や今までの謎が明らかになるにつれ、切なさや感動がグッと広がってきました。彼女の行動に隠された秘密だけでなく、僕の隠された秘密も明らかになるので、想像以上に話の奥行き感が広がっていました。
僕が抱える過去のトラウマや彼女の抱える悩みが、段々と集約されていき、そこから新たなる一歩へと前向きに表現していくので、二人にエールを送りたいなと思いました。
最後の最後まで、色んな発見や驚きがあり、もう一度最初から読んでみたいと思いました。
Posted by ブクログ
この話、前に読んだ事あるなぁと読み始めて気づいた。でも、何で?単行本は基本的に購入しないしなぁ。
ミステリというよりも恋愛小説です。
楽しめます。
Posted by ブクログ
医大生の僕はひょんな事から左手だけでピアノを奏でる彼女と出逢う。
彼女の左手が紡ぎ出す音楽は、その手がたった一つである事を知っている人ですら、曲中にふと驚かされるほど完全で、複雑で、圧倒的な表現力がある。
「・・・ピアノは両手で弾くものだっていうのは、単なる思い込みなのかもしれないな、って」
演奏を聴いた僕は言う。
片手だからこそ奏でられる音楽がある。
僕が彼女から勇気をもらったように、読む人が勇気づけられるようなお話だった。
Posted by ブクログ
何となくだけど、映画化したらとても良さそうな内容。
でも、左手だけでピアノを弾くという演技は中々難しいかな…
ストーリー自体は割とシンプルで、ミステリーという感じまでは無かったけど、後半にかけて段々謎解き要素が出てきて引き込まれ、一気読みしてしまいました。