あらすじ
幼い頃遭遇した事故のトラウマで、医者になる夢が断たれた僕。そんな時に出会ったのは、左手だけでピアノを奏でるさやこだった。天真爛漫な彼女にいつしか僕は恋心を抱くようになるが、彼女の行動は振り返ると「嘘」ばかり。さやこは何の目的があって僕のところへ来たのだろうか? 繊細な心理描写&精密なミステリが融合する辻堂ゆめの傑作!
《解説》逸木裕
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美しすぎるミステリー
この小説を読んで、ミステリーなのにこんなに美しいという感想で終わるものがあるんだと初めて思い知らされました。
彼女がついた多くの嘘も全て意味があり伏線があり、読んでいて、これもあれも繋がっているのかと感心させられるばかりでした。
ただ、ページ数が少ない分2人の会えなかった時間が割とあっという間で少しあっさりしすぎているような気もしてしまいました。
音楽が題材となっているだけあってピアノの描写が何度も出てきますが、実際に聴こえないピアノの音が聞こえてきそうなほど描写が細かく、感情が高まるかのごとく緻密に表現されていて、本当に素晴らしかったです。