辻堂ゆめのレビュー一覧
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ネタバレ小学校受験、中学受験に失敗した高校3年生の染野高志は、東大に入ることだけを目指して勉強漬けの毎日を過ごしていた。
東大出身でエリートの厳しい父、そして父の言いつけに従い、厳しいスケジュール管理を行なっている母親。成績が少しでも落ちると、激しい罵倒、暴力、そしてペナルティをかされる。それでも、「すべてはあなたのため」といわれ、できない自分が悪いのだと、それが普通のことだと思っていた。
クラスメイトの星愛璃嘉は、休みがちで、またクラスに馴染むことなく、浮いた存在だった。
そんな彼女が、ある日、時々発作のように気分が悪くなってトイレに駆け込む高志に声をかけた。
最初は、彼女のことうるさが -
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ネタバレ染野と星。高3の教室で浮いていた2人。
共通点がないようにみえるこの2人だったが、
虐待を受けている共通点からある復讐を企てた物語。
裕福だが東大に入ることを当たり前とされ勉強漬けで厳しく管理され成績が落ちるものなら殴る蹴る、特訓という名の睡眠を削って勉強させる、門前16時という染野と、
貧乏で家事もバイトのお金もシングルマザーの母からとられ母は男をつくっては貢ぎ精神的にもあなたしかいないからと束縛されている星。
星がパニック発作を発症している染野を同類だと見て話しかけたことから、お互い異常な家庭環境だと認識するようになった。
この話をみて環境が人をつくるというのを感じ、子供が親からうける影響 -
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交通事故にあってから睡眠障害を抱えることになった茜。交通事故で寝たきりになった咲子。祖母の友人がきっかけで、二人は友情を通わせる。
「二人目の私」とタイトルにあるけれど、単なる多重人格の話というわけでもない。
昼の私によって語られる章。夜のもう一人の私による章で明かされる真実。
二章の始めの方では、なるほどなるほどと思いながら読み進めていたものの、終盤になって、そんなことが!とまんまと驚かされた。少しショックでもあるかも。
それにしても、茜は本当に優しくていい子だなぁ。辛い記憶は全部あの人が持っていって、この先心穏やかに生きていけることを願う。 -
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人気シンガーソングライターの上条梨乃が主人公、彼女はある朝渋谷のゴミ捨て場で目を覚ます。なぜ自分がここにいるのかわからない、さらに周囲の人々も誰も彼女に気づかないばかりか、上条梨乃の自殺を報じるニュースが流れる…。困難の中、彼女が上条梨乃であることに気づいた大学生の佐伯優斗に救われる。また自殺したとされているマンションに行くと、上条梨乃が上から落ちた現場を目の当たりにした後に車に轢かれて亡くなったはずの小学生の立川樹が、上条梨乃と同じ状況下で混乱しており、彼も上条梨乃であることを認識してくれたのだった…。上条梨乃、立川樹…2人は生きているのか?死んでしまったのか??なぜ死んだのか???なぜ、
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こちらの作品は、さてさてさんから、私の大好きなげみさんが表紙を手がけた作品ということで、教えてもらいました。さてさてさん、ありがとうございます。
主人公は実父を高校生の時に殺害し服役を終えて、友人の五味渕が立ち上げた奨学金支援を行うNPO法人に就職した井瀬巧…。通勤に利用する東海道線の車中で、五味渕とともにホームから突き落とさたり、小学生の同級生である粕谷拓実を刺してしまう夢をみることに…。そんな井瀬に話しかけてきた女子高生の片岡紗世…彼女もまた同じような夢をみたことがある…それは「明晰夢」でありどんなに抗おうとしても、見た夢は現実になってしまうのだと話す…。
刻一刻と時間が進んでい -
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急性の脳腫瘍で入院している傍らで、「君の命を助ける。その代わりに、君の最も大切なものを一つ奪う」と悪魔と名乗る青年に言われる夕夏。
悪性だった腫瘍が良性に転じて命が助かるが、2年間の記憶がなくなってしまう。
ゆめさんお得意のインパクトの強い始まり。
不思議な青年は本当に悪魔なのか、本当に記憶と命を取引したのか、謎めいた話にぐいぐい引き込まれる。
2年間の記憶をなくしたことで、生活や仕事にマイナスになったことも確かだが、立場が変わることで今まで見えなかったことが見えてきて、自分と向き合い、家族や過去と向き合うことになる。
いろんなことが交錯して重なっているような物語で、後半一つ一つ謎が解けていく