東畑開人のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ストレスがかかった時、ありとあらゆる思考が頭を埋めつくす。その時間が私にとっては苦痛で早く楽になろうとして発散する。でもそれは解決には至らない。振り出しに戻る。
そこまで長くはない人生を歩んできて、色んなシチュエーションで繰り返された心の移ろい。私にとっては苦痛で回避したくて楽になりたくて。
この本を読み終わったあと、私はとても大切なチャンスから逃げていただけだったのでは?と思った。
埋め尽くされた思考は整理して、移ろう心はグレーにして自分の気持ちと向き合ってみたい。どんなに辛く苦しくても時間をかけて向き合う勇気をこの本から貰えた気がする。その先に何かがあると知れたことが収穫だ。
-
Posted by ブクログ
専門的なことをできるだけ読者にわかりやすく、より楽しく読んでもらえるよう、かなり考えて書かれたんだろうなというのが伝わってくる。
現代の人の生き方を小舟、社会を夜の海と例えて、夜の航海のコツを教えてくれます。
心の悩みってついはっきりとした極端な答えを求めがちだけど、良いことも悪いことも上手く消化して、変化することを受け入れられることが重要なんだなと。
自分の気持ちがわからなくなったときは、心に補助線を引いて、今自分の中にある気持ちを整理してみようと思いました。
話に出てきたクライエントさんの彼女、彼氏のどちらの言動にも自分にも思い当たる節があり戒めにもなったし、彼女たちがいい方向へ向かっていけたことで自分も今後こんなふうに変われたらいいなと思えた。 -
Posted by ブクログ
購入本。寝る前に少しずつ読んで昨夜読み終わりました。
勝手にエッセイだと思ってたら自己啓発的な本だった(文庫裏に読むセラピーと書いてあった)。童話のような世界を小舟に乗って大海原を旅しながら生き方を見つめ直す的な。日中に読めば良かったな。寝る前だとちょっとウトウトしながら読んでいるからあまり覚えてないw
ミキさんのカウンセリング事例が興味深かった。4年半でちょっと前進したか?くらいの進捗。リアルに描いていると思う。私もカウンセリング受けていた時期あったけど、全く進捗ないように思えて焦るしイライラしたもんなw 今振り返ってみるとちゃんと少し前進できていたのだけれど。
ちゃんと意識がしっかりしている日中にまた読み直したいです。
以下付箋貼った所(ネタバレ含みます)
P63 学生の間はひたすら主体性を持ちましょうと言われ続けます。自分で計画を立てて、実行できる人間になることを求められる。社会人になると、要求水準はさらに上がります。体調を管理し、仕事の進捗を調整し、人間関係に気を使い、自己投資をしてキャリアを設計しないといけません。最近では終活なんて言いますから、人生の終わり方までうまくコントロールしなきゃいけないみたいです。
P106 他者を敵ではないと感じられること。他者が安全であると信じられること。そういう他者が現実にせよ、心の中にせよ「いる」こと。それこそが愛することの正体です。
P108 世間ではよく「頑張る」とか「頑張れ」と言う言葉が使われていて、「する」が意志の力でどうにかなるものだと思われがちです。だけど意志とは「いる」が保証されていないと、発揮するのが難しいものだと思うのです。そうじゃないですか?職場や学校で「頑張る」ためには、まずはその場所に慣れていないとどうしようもないですよね。
P140 そういう意味では、不倫は純粋な関係性の主たるものと言えるかもしれません。なぜなら、社会的には、2人は一緒にいないほうがいいからです。不倫をしても外的にはなんも良いことがありません。その関係によって周囲の人は傷つくし、社会的にも経済的にも危険なことがいっぱい起こります。にもかかわらず、2人は一緒にいたいから一緒にいる。これほど純粋なことがあるでしょうか。不倫はゲスの極みの関係ではなく、ピュアの極みの関係なのです。
だからこそ純粋な関係性はもろい。つながっていることそのものが良いからつながっている。このとき、純粋な関係性は一本足で立っています。気持ちが変わってしまえば、その関係はあっけなく消え去ってしまう。
P175 障害者が「依存」的であるのは、依存先が限られているからであり、健常者が「自立」しているように見えるのは、依存先が大量にあるからだ。したがって、「自立とは依存先を増やすこと」なのだ。
P251 それなのに「ポジティブとネガティブ」と言う補助線を引くと、自動的に前者に幸福が、後者に不幸が割り当てられてしまう。この補助線だけだと、幸福と不幸が分断されすぎてしまう。
おそらく「ポジティブとネガティブ」の補助線は濃すぎるのだと思います。この補助線は病んでいる。今のままではこの補助線は幸福をシンプルにするばかりで、複雑に考えるためのツールにはなっていません。
P292 そういう時、世界は複雑さを取り戻します。現実は本当のところ、灰色です。白と黒が入り混じった曖昧な色彩こそが世界の本格的なありようだと思うのです。
だから悲しむことができたとき、僕らの心は以前よりも少しだけ広く、深くなる。心に複雑なものを置いておけるだけのスペースができる。 -
Posted by ブクログ
コロナ禍だった頃に週刊文春で連載されていたエッセイ。各号で読んでたら次回を楽しみにできたかもしれないけど、1冊にまとめられるとメリハリが足りないのか“グイグイ読み進められる”にはならず。
寝る前に読んでいるといい感じにすぐ眠くなっていた(笑)でもそれは退屈というよりも、とても安定していて読みやすかったからだと思う。その安定がいい感じに睡眠へと誘ってくれた(笑)
思えば、コロナ禍って本当に何もかもがおかしかった。あのときはあまりにも急激な流れに合わせるしかなくて、おかしい事をおかしいと感じる暇もなかった。けど、やっぱり何かとおかしかった。
そんなおかしい時って日々過ごすことに必死過ぎて「心」を見失いがち。だからこそ生まれたエッセイなのかな。
SNSだとかAIだとかが当たり前になっている令和の今だからこそ、「心」についてもっと考えたほうがいいのではないか。他人(ひと)の心も、自分の心についても。
解説で辻村深月さんも書いていたが、忙しさで心を失いそうになってる人に出逢うとこの本を思い出しそう。 -
Posted by ブクログ
今まさにカウンセリングを受けている人が、カウンセラーの技量に疑問を感じたら読んでみるとよいのかもしれない。一方で、これからカウンセリングを受けようとする人が、なるべくよいカウンセラーを見つけるために本書を読んだとしても、その良し悪しを見分ける目は養えない。
事前情報のみで選ぶなら「臨床心理士」や「公認心理師」を持っているかどうかは一つの判断材料になるかもしれない(それでもピンキリだが…)。上記の二つ以外の資格であれば、取得方法を調べることを推奨する。ただ、これも厄介なことに、取るに足らない資格しか持っていなくても、抜群の臨床センスを発揮する人がいるのは事実である。ちなみに、臨床歴はあまり参考にしない方がよい。経験年数が長いほど、臨床は下手になると言われている。
本書は精神分析の色がやや強いので、カウンセラーというよりかは、精神分析家の選びかたくらいに考えたほうがよい。なぜなら、本書でヨシとされるカウンセラーが、万人のためになるとは限らないためである。ときに、助言やエンパワメントが効果的に作用することもあるし、相性の問題もある。個人的には、これらを念頭に入れて、その時々で必要に応じて有効な対応を選択することが重要だと考える。これはオリエンテーションや現場によっても意見が分かれるのだろう。色々な臨床家と感想をシェアしたいなと思った。
-
Posted by ブクログ
冒頭で、このテーマなだけあって、堅い内容なのかなと少し身構えたが、筆者が自分の恥(?)も開示していくスタイルだったので親しみを持って読めた。
カウンセラーの仕事は自身も心を病んでしまう方が多いと聞くが、東畑先生の人となりがわかるエピソードを読んでいると、芯があって逞しいから大丈夫そう!と感じる(偏見)
内容は、自分が疑問に思ったことに対しての答えを得られたり(自分を自分で責める声は「超自我」と言うらしい等)、とても意義深いものだった。
地の文がフレンドリーなのに対して、カウンセリングの場面で急にシリアスになるので驚いたりもした。相談内容を知ると、そりゃ真剣に向き合わないと蟠りをとけないよな…と先生の仕事ぶりに対し頭が下がる。
自分も怖がりで、物事を少し離れたところから見ているタイプだが、それも肯定してくれたところが嬉しかった。
-
Posted by ブクログ
臨床心理士が長年抱えていた学閥による弊害のような問題に、公認心理師を巻き込まないようにするための啓発の書でもある。
心理士は心理士に厳しい。
その理由のひとつが、学派知に強く引っ張られる点にある。絶対的な正解を前提とするため、そのことが必要以上の批判を生み、また自分自身の首さえ絞めることとなる。
若い頃は特に、現場に出るとすぐ専門職としてのサバイバルが始まるのだ。クライエントの福利に与さないところでひっそりと。
そうならない為にも、フレッシュの人は、早めに読まれるとよいと思う。なぜならあなたの受けたその傷つきは、目の前のクライエントさえも傷つけるリスクがあるからだ。
しかしそれでも、それでもなんとかやっていこう。共に頑張ろう。
あと一点。病体水準の話が抜けているのは少しもの足りず、危険だとも感じる。圧倒的に個人を飲み込む深淵の闇、それと相対する時、それはふつうの相談ではなく、サイコセラピーとなる。そういった視点には触れておいて欲しかった。 -
Posted by ブクログ
俺自身、臨床心理士も公認心理師も取り、仕事のコアな部分ではないとはいえ、人の話を聞く場面を仕事の一面として持っている。それでも、相談とは何か、カウンセリングとはなにかと考えたときに、もやっとしたものは残る。なぜかといえば、それはじゃぁ、日常的に同僚や知り合い同士でやる相談と、お仕事でやっている相談は何がちがうの?という部分で明確な線引きが難しいからだ。そうした相談を含めた、人の話を聞くということについての考察は面白かった。
開業するという点において、関係機関との連携をとるというのは、あぁなるほどというところがある。たしかに、話を聞いておしまいでは、日常の相談と変わらないもの。こういうところを紹介できますよ、というのは、ひとつの強みというか、そこがつなげられてこそ、お金をとれる仕事だというのはひとつの見方だと思う。それがすべてとも言い切れないが。