星新一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
結末がひっくり返るような、さまざまな事柄が裏に裏にいく。今あることが全てではないなと思わされるショートストーリーの連続だった。
特に印象深かったものは、ご要望に振り回されてしまう一寸法師の話「ご要望」、ドッペルゲンガーばかりになってしまう「常識」、共通の話題を簡単に見つけられる倶楽部の話「ナンバー・クラブ」と、取り上げれば切りがない。
「ご要望」では、人の意見を取り入れることは大切だが、そればかりになってしまえば、自分を失ってしまうということを改めて感じた。
「常識」では、今ある“常識”が永遠ではないこと、そして、常識ということで片付けられる惨さを感じた。
「ナンバー・クラブ」は、現在のfacebookのようで、便利で楽しい“だけ”の怖さを感じた。人といいも悪いも実際に関わる深さを無くしてしまうような。とても現代的な話で、この小説が40年も前に書かれたものなのがすごい。
また、短編の本筋とは違うかもしれないが、「虚像の姫」で印象的な文章が。『美人でなくても、心がけがよければそれでいい。また、気位が高くても、美人であればそれでいい。しかし、美人でなく気位だけ高いとなると、これはよろしくない。』という文面。美人というのはもはや才能のようなもので、美人か美人ではないかということが、世の中、想像以上に重視されているんだろうという事実。そして、自分自身がどのような容貌なのか認識した上で、行動しなければいけないという残酷さを感じた。 -
Posted by ブクログ
夜の8時には最終電車になってしまう地元の電車に乗って星さんのショートショートを読んでいた頃からだいぶ時間がたって、新幹線で出張するのが当たり前のような大人になりました。東海道新幹線のキオスクで缶コーヒーとレーズン三度と一緒にこの本を買ったのですが、今になって星さんがどういう風に物語やアイデアを搾り出し、組み合わせて作品にしていったのかについてのエッセイを手にするなんてなかなかのタイミングです。
例のない視点で搾り出すアイデアをコンスタント珠玉のショート・ショートに纏め上げる彼が語る「産みの苦しみ」を感じると、多忙なように見えても怠惰な脳の使い方をしているものだと忸怩たる思いがこみ上げてきてしまいます。
ただ、これが書かれた時代背景や当時の世の中の人の世界観、技術の進歩の程度などを読むにつれ、大正生まれの星さんに21世紀の日本と世界はね・・・と語り掛けたいような甘めのノスタルジーを感じてしまいます。
というわけでノスタルジックな文体で感想を書いてみました。
ちなみに山本七平さんとかの評論を読むと「21世紀の日本もね・・・」と眉を下げて首を傾けつつ話さなければならなくなりそうだな、ということと比べると、この数十年の技術的課題と政治・社会における課題のどちらがどのような進歩を遂げたのかという点について考察の一つもしてみたくなります(笑)
まったく本の評論でも感想でもない気がするけどまあいいや。