上田早夕里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初めてのSF。非常に面白かった。これまではどんでん返しが待つミステリーなどを中心に読んできたため、楽しみ方が分かっていなかったが、表題にもなっている短編である夢見る葦笛を読んですぐ、SFの楽しみ方が分かった気がする。SFは世界観を楽しむものなんだと思う。
その世界に読者を入り込ませる表現力が見事で、次々と頭に像が浮かぶような文章であった。
また最初入り込むのが難しかったとしても、信じて読み進めるべきだ。「プテロス」がそうだったが、読み進めるうちに、当初イマイチしっくりこなかった表現が、だんだんとイメージができるようになる。
全てが傑作なこの短編集が初めて読むSFで良かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレSF、まさしくSF!という感想をもった作品。
ジャレド・ダイヤモンドの「文明崩壊」を読んだことにより、長期的な環境変動と人類の危機に対して以前とは違う感覚を得た私には、この世界観が突き刺さる。
プルームの上昇は、(小説用に)タイムスケールをいじっているので本来は起きえないことだが、それでも地球環境の変動、遺伝子・環境の改変、予想外の連鎖を引き起こす改変手段、人間の思考を補助する人工知性体(AI)に制御不能に陥っている生物工学兵器、と現代(近未来)を暗示するようなストーリーではないか。
ホットプルーム上昇による海底面の上昇、それに伴う海水面の急激な上昇による陸域の大幅な減少。こういう人類滅亡 -
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ネタバレ感想
人間が作り出した装置に苦しみ、それと戦い、殺し合いながら、しかし何とか生きていく。
最後の一文、彼らは全力で生きた。それで十分じゃないか。これにこの本の全てが入っているように思えた。
あらすじ
青澄はツキソメを調べていくうちに、獣舟が人間の形に変異していることを知る。日本の上位組織のプロテウスは青澄に世界滅亡の情報を知らせ、ツキソメこそが人類の生き残りに必要な情報を持っている可能性があるという。
プロテウスと青澄どちらが早くツキソメにアクセスし、データを確保出来るのか?
結果的に終末世界が訪れ、ツキソメのデータが役立ったかどうかは不明。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ感想
SFだから当たり前だが、人間も変容し、高度な人工知能と自然が融合した独特の世界観。天変地異が起こっても人はやはり、土地争いと戦争に明け暮れるのかと思うと少しウンザリしてしまう。
人間が作り出したものに翻弄され、人間が歪み合う。人間のカルマのなれの果てを描いているよう。ありえるから怖い。
終盤は細かい話から一気に壮大な話へ、人類に第二の危機が生じる。
あらすじ
近未来、海底が260m隆起して、人々は土地の奪い合いを始めた。それぞれが連合国を形成し、そのうちに陸上民と海上民に分かれて人は生活するようになった。
青澄は陸上民で、海上民とのトラブルを解決する外交官だ。今回政府から、ツキソ -
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(上下巻あわせた感想です)
舞台は地殻変動による海底隆起によってほとんどの陸地が水没してしまった25世紀の世界。人類は陸地に暮らす「陸上民」と、海での暮らしに適した身体となった「海上民」に分かれ、それぞれの社会を形成していた。
日本政府の外交官・青澄と、彼のアシスタントである人工知性体マキは、陸上民と海上民の間で深まる対立の仲裁に奮闘するが、近い将来地球に訪れる更なる危機が、彼らの運命を大きく変えていく、という物語である。
陸地が海に沈みゆくお話としては小松左京『日本沈没』や映画『ウォーターワールド』がすぐに思い浮かぶけど、SFの設定という点ではこれら先行作を凌駕している印象で、細部まで練 -
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昨年からちょっとずつ読み進めて、1月に読み終えてたのに感想書かずに放置状態。
第一次世界大戦中、床屋さんから従軍し、死の淵で怪しきものに出会い半分人で亡くなったドイツ人のお兄さんが、人でありながら妖に育てられたポーランド人の少女の護衛となりやがて本物の妖になる。
世界史知識が中学生レベルで止まってるものの、色々あの時代興味深いわ。
更にその妖ことシルヴェストリ伯爵が妖になったきっかけがワラキアの串刺し公ヴラド3世とか、なんというかほんと個人的にご縁を感じます。(結局その辺りの歴史が好きなんだなあという。皆川博子先生とか、佐藤亜紀先生とか)
2023年3冊目。 -
Posted by ブクログ
生態系の頂点に立った人類にとって、最大の敵は細菌、ウイルス。
これを兵器として開発するという愚かさ、実現しない理由は「兵器として実用するためには治療方法を確立して秘密にしておかなければならない」ということ。
実はこれがものすごく経済的に負担がかかるから、というのが文中にも描かれている。
これまで、旧日本軍731部隊などのドキュメントがあっても、正直、よくわからない恐ろしさがまとわりついている感じだった。
ところが、2020年のコロナウイルスで世界は「パンデミック」を経験した。
これで、もう、脅威は目の前に直接イメージされた。
物語の舞台となったのは、満州事変から太平洋戦争終戦までの上海な