【感想・ネタバレ】夢みる葦笛のレビュー

あらすじ

ある日、街に現れたイソギンチャクのような頭を持つ奇妙な生物。不思議な曲を奏でるそれは、みるみる増殖していく。その美しい歌声は人々を魅了するが、一方で人間から大切な何かを奪い去ろうとしていた。(表題作) 人と人あらざるもの、呪術と科学、過去と未来。様々な境界上を自在に飛翔し、「人間とは何か」を問う。収録作すべてが並々ならぬ傑作! 奇跡の短篇集。

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Posted by ブクログ

初めてのSF。非常に面白かった。これまではどんでん返しが待つミステリーなどを中心に読んできたため、楽しみ方が分かっていなかったが、表題にもなっている短編である夢見る葦笛を読んですぐ、SFの楽しみ方が分かった気がする。SFは世界観を楽しむものなんだと思う。
その世界に読者を入り込ませる表現力が見事で、次々と頭に像が浮かぶような文章であった。

また最初入り込むのが難しかったとしても、信じて読み進めるべきだ。「プテロス」がそうだったが、読み進めるうちに、当初イマイチしっくりこなかった表現が、だんだんとイメージができるようになる。

全てが傑作なこの短編集が初めて読むSFで良かった。

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2024年04月11日

Posted by ブクログ

ネットで評価が高かったので読んでみました。
SFと伝奇がミックスされた感じで、昔でいうなら星新一(読んだことないですが)さんの感じに近いのかもしれません。
短編集ですが個人的には「眼神」「氷波」「滑車の地」が好きです。

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2023年07月25日

Posted by ブクログ

とりわけ「上海フランス租界祁斉路三二〇号」での毅然とした主人公の言動に感銘を受け、もしも自分ならと改めて器の矮小さを知ることになりました。どの話も幸せな未来を期待せずにはいられませんでした。

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2020年03月15日

Posted by ブクログ

怪談であり、ファンタジーであり、SFである。
ラブクラフト、オールディス、半村良、恒川光太郎など、いろんな小説を思い出された、多種多様な傑作。

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2020年03月02日

Posted by ブクログ

「氷波」以降はぐっとハマった。それ以前は「異形コレクション」収録とのことなので、ホラーテイストが濃く、そこで好みが出たんだろう。

人間性とは何か、尊いものは何か。問いかけの先には、グロテスクさと美しさ、希望と絶望が混淆する未来への予感がある。

上田さんの短編集の中では一番好きです。

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2019年01月07日

Posted by ブクログ

全10編収録のSF短編集。上田さんの作品は初読みだが、期待以上の面白さだった。私自身、SFには漠然と無機質な印象も抱いていたが、その根底にあるのは紛れもないヒューマン・ドラマなのだと実感。科学の進歩や異生物との共存を通じて【人間らしさ】とは何かを問う本書、人間であることが足枷となる作品世界において、決して人間の誇りを失わない登場人物たちの気高さに胸を打たれる。「氷破」と「滑車の地」に心が震え「楽園」や「アステロイド・ツリーの彼方へ」が残す切なくも暖かな余韻が心地良い。次回は是非とも長編作品を読んでみたい。

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2018年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

収録されている掌編すべてが重厚なSFで、読むのにかなりの時間を掛けてしまった。
最も気に入ったのは「上海フランス租界祁斉路三二〇号」。一人称視点から展開される不思議な出来事は、実は史実のパラレルワールドだったというゾクゾクする面白さ。ここで描かれた科学者の正義がとても良かった。

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2025年02月11日

Posted by ブクログ

「夢みる葦笛」
「眼神」
「完全なる脳髄」
「石繭」
「氷波」
「滑車の地」
「プテロス」
「楽園〈パラディスス〉」
「上海フランス租界祁斉路三二〇号」
「アステロイド・ツリーの彼方へ」
どれも、人間とは?と問いかける考えさせられる深いお話しばかりです。かと言ってまったく難しくなく文章のうまさと物語のおもしろさに引き込まれます。

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2024年05月15日

Posted by ブクログ

ある時から急に街中に現れるようになった、イソギンチャクのような頭を持つ妙な生物。不思議で美しい曲を奏でる「それ」は、見る間に増えていった。
美しい歌声を持つ「それ」は人々を魅了してゆくが、亜紀は彼らが引き換えに人間から大切な何かを削り取ろうとしているような不快感を覚えていた(表題作)

SFを中心にホラーやファンタジー味のある10作を収録した短編集。
何処にもいないような異形の存在や未知の生物、人間に近いような人工知性などを本当にあるようなリアリティで描いていて、私たちが実際に住む世界とは全く違うのに没入感が高いです。イソギンチャクのような奇妙な生物が歌う繁華街、幼馴染の背後に蠢く赤い手、凶暴な泥棲生物の犇めく泥の海。大切な故人の情報を取り込ませたメモリアル・アバターなど、話によって変わる情景が、どれもありありと想像できます。

個人的に気に入ったのは、表題作の『夢みる葦笛』と大地を埋め尽くす冥海とそこに住む泥棲生物から逃れ、古い時代の建造物をロープと滑車で繋いで暮らす地上の住民たちの話『滑車の地』。
機械的な印象の強いSFというジャンルですが、描かれるのはどの話でも「人間とは何か」を問いかけるようなヒューマンドラマ。ゆるゆると滅亡に向かっていくような、ディストピア風の世界の中で、それでも確固たる意志と鮮やかな希望を持つ主人公たちが印象的でした。

SFといってもハードすぎず、世界観も分かりやすくて読みやすいですし、幻想的で寂しくも美しい話ばかりなので、SF初心者さんにもおすすめしたいです。

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2023年03月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「夢みる葦笛」★★★
「眼神」★★★
「完全なる脳髄」★★★
「石繭」★★★
「氷波」★★★
「滑車の地」★★★
「プテロス」★★★
「楽園〈パラディスス〉」★★★
「上海フランス租界祁斉路三二〇号」★★★
「アステロイド・ツリーの彼方へ」★★★

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2024年02月08日

Posted by ブクログ

SFの短編小説。
あんまり得意ではないジャンルだったけど、
意外と読めた。

続きが気になるものもあれば、
この世界観はわからぬ、など、
自分の好きなジャンルが絞れたのが良かった。

海の上で暮らす話は、なかなか鬼気迫る感じで印象に残っている。

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2019年06月19日

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