上田早夕里のレビュー一覧

  • 獣たちの海

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    「華竜の宮」に始まるオーシャンクロニクルシリーズの短編集。

    シリーズ既読者には魚舟、獣船、海上民が登場する独特の叙情的ま世界観を新しいエピソードで楽しめる。

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    2022年08月10日
  • 魚舟・獣舟

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    上田早夕里も私の好きな作家だ。
    ホラー、SFはたまた現代への警鐘を鳴らすディストピア小説。奢った人類の行き着く先を暗示しているような小説たちに、背筋を凍らせながら引き込まれる魅力を堪能した。

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    2022年07月30日
  • 華竜の宮(下)

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    SF的な世界観の記述もそうですがそこに暮らす人々の描写と、政治的な様相も非常に丁寧で世界に入りやすい。個人用には、終盤急ぎ過ぎてる感じがしましたが、それは周辺作品で補完されるんですかね。

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    2022年06月26日
  • 獣たちの海

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    中短編集4作
    構想から切り取ったような短編と、グッとくる中篇

    生き残りをかけた種の保存のための取捨選択に正解はないのだろうけど、その先にあるものをわたしも見たい
    作者の描写における心の波動はとても響く

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    2022年06月09日
  • リラと戦禍の風

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    「『人間である』とは、どういうことなのか。おそらく人間は、常にそれを己自身に向かって問い続けていなければ、容易に、人でないものに変わってしまうのだ」
    かのワラキア公ヴラド3世の血を受けて、不死となった「伯爵」以下の魔物の目を通して描かれる、第一次大戦。庶民の窮乏など知ったことかで、戦争の継続を選ぶドイツの上層部には歴史と分かっていても怒りが募るが、2022年4月現在、似たようなことがリアルタイムで起きてるからなあ。ヒロインのリラが伯爵に、「私たち、美味しいパンと寝床があれば、それだけ充分なのに」と言うのだが、これはもちろん「どうして」と続く。ホントにどうしてなんだろうね。

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    2022年04月13日
  • リラと戦禍の風

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    この小説には魂を半分に分けられた若い男が登場する。
    片方は戦地で実体に宿って戦闘に明け暮れ、もう片方は戦争とは縁遠い古城で魔物によってつくられた「虚体」という器に宿り少女の護衛をつとめる。

    まだ読んでいる途中だが、色々考えてしまった。

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    2022年04月07日
  • 破滅の王

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    人は誰でも狂気に飲み込まれると感じました。

    多様な思想がある中で、同じことが起きないよう願います。

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    2021年09月14日
  • 深紅の碑文(上)

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    面白かったです。前作「華竜の宮」のラスト、〈大異変〉が起こるのがわかってから実際に起こるまで人類はどう生きたか。今回も圧倒されました。
    限られた資源の奪い合いで陸上民から海上民への攻撃はさらに厳しくなってるし、それに対抗する〈ラブカ〉という武装勢力も登場して世界は暴力と混沌を極めています。
    外交官を辞めて救援団体を経営している青澄も、年取ったけど熱い。宇宙船への出資を断ったの凄かったけど、これ確かマキが乗ってなかったかな…って思いました。
    ユイとマリエの友情も好きです。このグループは良いなぁ。
    ツェン・リー怖い。でもタイフォンを失ったのでこうなったのも一つあるかもと思わなくもない。デュレー会長

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    2021年08月08日
  • 華竜の宮(上)

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    ここではまだ伏線を張っている段階。それでも一筋縄ではいかない人物たちの絡まり合いが読ませる。とはいえこの手のポリティカルフィクションを読んでると感じるのが官僚機構の救いのなさだよなあ。以前、高橋和巳や埴谷雄高といった戦後の左翼作家を読んでいて、彼らが揃って「電子計算機」を使って官僚機構(と代議制)を全廃するという構想を語っているのに驚いた記憶があるが、やっぱりそれしかないと言う感じになってくるね。

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    2021年06月30日
  • 華竜の宮(下)

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    人類を含む全ての生物が絶滅する程の危機を前に、人類は何ができるのか。
    それでも、自分たちが生き残る為に他は犠牲にするという政治闘争や連合間権力闘争に明け暮れる政府に対して、青澄やツェン・タイフォン上尉の姿勢が心に残りました。上尉と月牙の最期悲しかった。
    避けられない絶滅に、人間であることを捨ててルーシィとなって魚のようになる人もいる。それでも生き延びられないかもしれない。
    マキのコピーを含む人工知性体は宇宙へ。彼らは地球で生物が生き延びたかを知ることはないだろうけど、「彼らは全力出生きた。それで充分じゃないか。」という言葉はこの物語の締めくくりに相応しい救いでした。

    プルームテクトニクス理論

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    2021年06月29日
  • 華竜の宮(上)

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    ホットプルームによる海底隆起で海面が250メートル以上上昇し、広大な海域が広がる世界。
    人々はわずかな土地で暮らす〈陸上民〉と、海上生活に適応し、居住する〈魚舟〉を自ら生み出せる〈海上民〉とに分かれて生きている。
    一度滅びかけても、陸上に残った陸上民はかつての国家の代わりに連合を作って、覇権争いが激しくてどっと疲れます。中心人物として描かれる青澄と、彼に関わる人たちがもがきながらもなんとかして陸上民も海上民も助けたい…となっているのが尊いです。気持ちの良い人たち。
    ツキソメも気高くて好きです。魚舟、いろいろなのがいてどんな感じなんだろう…サンショウウオっぽい魚のようですが大きいので。歌うのもい

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    2021年06月24日
  • 深紅の碑文(下)

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    戦いをやめて欲しい陸と、鬱憤を晴らしたい海と、憧れと情熱で目指すのを諦めない空。

    深紅の碑文ってそういうことかというのを物語内で説明されるまで分からなかった~。

    まだ終わりにはすっきりしないとこもあるなと思っていたら今後中短編くらいでシリーズの続きが出るようで楽しみ。
    他にも読んでいないお話があるので是非読みたい。

    マキみたいなアシスタントが欲しー

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    2021年06月16日
  • 魚舟・獣舟

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    再読でも面白かったです。
    同じ世界感でお話が書かれた「魚舟・獣舟」、改めて読むとこんなに短い頁数だったんだと驚きました。惹かれてもっと読みたくなります。
    「くさびらの道」「真朱の街」も好きです。くさびらの道は新型コロナウイルスが蔓延しているこのご時世に読むと前より恐ろしいです。
    どの作品も、どこか冷めた目線なところも良かったです。一歩離れたところから、描写している。

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    2021年06月12日
  • 破滅の王

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    第二次世界大戦下で開発された生物兵器通称”キング”。生物学者の宮本は奇縁によりキングの治療薬を開発に携わることになる。治療薬の完成はすなわち生物兵器としての完成を意味する。各国が生物兵器を狙う中、宮本が科学者として下す決断とは・・・・。歴史的な出来事を中心としたフィクションなのだがリアリティを感じさせる情景描写、登場人物の心理的な葛藤が緻密に描かれている。

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    2021年05月26日
  • 深紅の碑文(下)

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    ネタバレ

    人の業の深さを感じる作品。
    前の作品では人一人殺すことすら躊躇していた青澄さんでしたが、彼の一生もまた血の深紅に染まってしまいました。なぜザフィールが今の彼に最後まで心を許さなかったのか少し分かるような気がします。立派な人であることに、変わりはないのですが。
    未曾有の危機を前にしたとき、人はどのように振る舞うのか…。多くの人に読んでもらいたい作品です。高潔な理想だけでは人は救えないということ、理想を実現するためには綺麗なままでは生きられないということを思い知らされます。

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    2021年04月01日
  • リリエンタールの末裔

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    SF。短編集。
    とても面白いだけに、もう終わるの…と、物足りなく感じてしまう。
    一番ページ数の多い「幻のクロノメーター」が一番好き。泣いた。
    表題作も爽やかな青春SFという感じで読後感が良い。
    他「マグネフィオ」「ナイト・ブルーの記録」

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    2021年01月26日
  • 華竜の宮(下)

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    主人公の青澄さんの熱い志に心動かされる作品です。こんな外交官がいたらいいのになと思います。
    また、とても印象に残っているのは、国家間を跨いだ組織であるNODEが、あらゆる国家に政治的に深く干渉し、支配していると言っても過言ではないような行動をしていたこと。この組織は、世界中のエリートが結集して成立したものということでしたが、実社会でも、GAFAが将来的にこうならないとも限らず、読んでいてなんだか薄ら寒い感じがしました。
    発表された当時は震災のことを配慮し、刊行にあたって注意されていたこともあったそうですが、今はこの作品のワクチンのことがより注目されそうです。少し前の作品ですが、次にどうなるのか

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    2021年05月06日
  • 深紅の碑文(上)

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    ラブカのお話。
    救援団体の理事長青澄、ラブカのリーダーザフィール、宇宙船を作る夢を持つユイの目線。

    シガテラが食い詰めた人々の強盗団で、ラブカは食い詰めた人々を救うために強奪行為するテロリストみたいな感じ?
    一回読んだけど、ものすごい時間がかかってしまい、モブが誰だっけこの人といちいちなってしまったので、読み終わって下巻読む前にもう一度読みました。

    大異変ほどじゃあないけれど、コロナで買い占め~みたいなの思い出したり。
    買い占めするから家族の物資が手に入らない~→輸送会社襲う。の流れまで現実はいかなくて良かった。

    次は忘れないうちに下巻読まなきゃ。

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    2020年08月23日
  • 夢みる葦笛

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    とりわけ「上海フランス租界祁斉路三二〇号」での毅然とした主人公の言動に感銘を受け、もしも自分ならと改めて器の矮小さを知ることになりました。どの話も幸せな未来を期待せずにはいられませんでした。

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    2020年03月15日
  • 夢みる葦笛

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    怪談であり、ファンタジーであり、SFである。
    ラブクラフト、オールディス、半村良、恒川光太郎など、いろんな小説を思い出された、多種多様な傑作。

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    2020年03月02日