上田早夕里のレビュー一覧

  • 魚舟・獣舟

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    タイトルにもなっている魚舟・獣舟は白眉の出来。鮮やかな描写と展開が余韻ある悲しいドラマを生み出している。短編集+中編が1つで、どの話も面白かったのだが、「くさびらの道」のおぞましくもどこか美しい奇病の描写が特に気に入った。中編「小鳥の墓」は「火星ダーク・バラード」と関連があるらしいのでそちらも読んでみたい。

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    2019年03月08日
  • SF JACK

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    SF短編集。どの話も結構面白かった。おすすめ。
    宮部みゆきさんの「さよならの儀式」とか、ほろっとする。
    個人的には、完全ヴァーチャルの世界で生きる人間たちを描いた山本弘氏の「リアリストたち」が好きかな。それと独特の一人称の形式で書かれた新井素子さんの「あの懐かしい蝉の声は」も良かった。。

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    2019年02月18日
  • 魚舟・獣舟

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    ネタバレ

     30歳を過ぎてからSFを読み始めた。
     コアなSFファンの方は10代にドハマりする方が多いので、かなり遅咲きなほうではある。
     さらには読み進めていくうちに気付いたことがある。

     基本、女流作家しか受け付けない。

    なぜかはよくわからないのだが、女流SF作家の本がいちばん読みやすい。男性作家でも好きな作家さんもいるんだけど、読むとよきにつけ悪しきにつけものすごく消耗が激しい。
     もちろん、「女流」といったところで、さまざまなスタイルの人がいるわけで、一概にそれでくくるのは無理があるとしても、である。

     そんななかで、上田 早夕里氏は気にはなっていたがなかなか手が出なかった作家さんであった

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    2019年02月04日
  • 深紅の碑文(下)

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    大河ドラマって子供のころは親が満てたから一緒に観てたけど、まぁ永らく観てなくって、でも一年を通して見続けると思い入れも出てきて、最後はけっこうぐっとくるのかな、と思ったり。
    この話はけっこう長い時代を語っているから、読み切った後で似たような感慨があるような。
    ああ、頑張ったよなぁ、って。
    こういう感覚ってもしかして年を取らないと分からないのかもね。
    子どもの頃ってあれじゃん、年を取ってやり切って、なんてのが想像できないし。まぁ人によるか。
    一番気に入ったのは、出てくる人たち、いちいち不器用というか、華々しくすごい解決策が出てぱーっと解決したりとかはなくて、頑固で、一途で。
    自身を振り返れば、ど

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    2019年02月02日
  • 魚舟・獣舟

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    SF大賞候補作に挙がっていたので読んでみた
    文句なしに良くできたサイエンスファンタジーとしてのSF
    星野之宣的おちついた大人な感じの作風
    それぞれの短編ごと異なるファンタジー的な奇想を含む素材を
    きっちり落とし込む手腕が見事
    別の作品も読んでみよう

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    2019年01月11日
  • 魚舟・獣舟

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    深紅の碑文を買ってきたので、序盤から読み直し、「20の短編小説」を読んだばかりで短編頭にもなってるし、

    と思って読み始めたが、
    中身すごい。
    いまいまの現代をとらえているとしか思えない中編あり。

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    2018年12月15日
  • 華竜の宮(下)

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    再読。
    つらい記述が多くて、もう少しこう、とか思うけれども、、
    一生懸命生きたい思いを、揺り起こす力を感じるなあ。

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    2018年12月15日
  • 深紅の碑文(下)

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    ありがとうございます。
    興奮して先を早く知りたくてよくやってしまう飛ばし読みもせず、我慢して読んで良かった。
    ものの見方、芯をもっての柔軟な思考、といった、磨きたいものの磨き方のヒントを得ていると思う。
    刺激がたっぷりのエンタメで、されど考えさせる。いいじゃないですか。

    そういえば、「つながり」が、一読者としてうれしかったなあ。

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    2018年12月15日
  • 妖怪探偵・百目2~廃墟を満たす禍~

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    読み出したら止まらないですね。
    いま強制的に3巻途中で止めました。
    人の評価はともかくも、自分には合ってるなあ。必要以上に性的描写をするわけでもないし、
    エンタメだ。

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    2018年12月15日
  • 華竜の宮(上)

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    「深紅の碑文」とセットで読んだ方がよい。ただし、「深紅」ほうが内容がハード(グロい)の苦手な人は注意です。

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    2018年08月16日
  • リリエンタールの末裔

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    オーシャン・クロニクルシリーズの「リリエンタールの末裔」を読みたかったのがきっかけ。嬉しい誤算だったのは、どの短編作品も掛け値なしに面白かったこと。個人的にはオールタイムベスト級である。また、「リリエンタールの末裔」や「幻のクロノメーター」は男が一生をかける夢や仕事についての物語であり、単純な行動ではあるが男としてこのような生き方に共感を覚える。特に「幻のクロノメーター」については、途中から登場する一つの石が人類の文明を変えてしまうようなものになり、自分の想像をはるかに越える展開にセンス・オヴ・ワンダーを感じた。ずるいくらい楽しませる作品である。

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    2017年11月20日
  • 魚舟・獣舟

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    海洋生物からキノコ、妖怪まで、あらゆる異形が登場するSF短編集。飛び抜けて面白いのは、表題作品の「魚舟・獣舟」だ。オリジナルの世界観が、人の心の純粋さを語る。他の作品も解説するまでもなく面白い。好みは人それぞれだろうが、個人的には「ブルーグラス」がお気に入り。また、「真朱の街」は妖怪の言葉が真実すぎて心に刺さる。

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    2017年05月19日
  • 華竜の宮(下)

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    『交渉というのは価値観の異なる他者との対話だ。だから、ときにはまったく解決がつかない場合もある。どこまでいっても平行線にしか見えないことも……。

    けれども、それに対して知恵を絞り、言葉を絞り、体力を絞って、両者が進むべき道を模索しなさい。その行為は、人間が最も知的である瞬間なんだよ。

    たとえその場で、どれほど乱暴な、どれほど感情的な言葉が飛び交ったとしても、最後まで決してあきらめるな。間接的な効かせ方とはいえ、言葉は暴力を止められることもある。それを忘れてはいけない。』

    人類滅亡が迫る中、言葉の力だけで平等で人々が安心できる社会を築こうとする青澄の行動原理に共感はできないけれども、共感で

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    2017年03月29日
  • 深紅の碑文(下)

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     「獣舟・魚舟」『華竜の宮』「リリエンタールの末裔」そしてこの『深紅の碑文』と続いてきたオーシャン・クロニクルシリーズですが、そこにはSFの面白味が詰まっているといっても過言ではない気がします。

     アンドロイドや遺伝子改変といったテーマは、どこまでが人間なのか、どこからが人間ではないのか、といった古くからあるテーマを、より深く追求しているように思われます。

     技術が進んだ上での戦闘兵器の発達、地球の陸地の多くが海に沈んだことによる海上民と陸上民との紛争は、人間の業の深さを考えさせられます。

     SFとしての壮大な世界観をバックに、そうしたテーマをしっかりと浮かび上がらせていくのです。

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    2016年05月30日
  • 深紅の碑文(上)

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    『華竜の宮』以降、外交官を辞め、救援団体”パンディオン”を設立した青澄誠司。パンディオンの活動領域は広がりつつあるものの、後の大災害への不安から物資不足気味となり、それに端を発した陸上民と、陸の政治に不信感を持つ海上民との軋轢は、ますます広がりつつあった。青澄はそうした事態の改善のため、様々な人物や組織に働きかけるが……

     上巻までを読んだ感想を端的に表すなら、圧倒されっぱなし!

     世界のほとんどが水没し、陸地で暮らす人々と、海上で暮らす人々とに分かれた未来の世界。それにさらに、遺伝子操作やAI、兵器、そして、来たるべき大異変など様々なSF要素を盛り込んだ「魚舟・獣舟」『華竜の宮』でしたが

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    2016年04月10日
  • 華竜の宮(上)

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    面白い。
    上級のSF作品であり、一部においてありうる未来の形かもしれないと思わせる。
    衝撃が忘れられない作品。

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    2015年01月12日
  • 華竜の宮(下)

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    いまを生きる世界から少しあと、もしくはかなりあとに起こりうるかもしれないテンペスト。異形の者たちが生き生きと(殺伐と)暮らす世界で、それでも外交官や海の生き物など現実世界の香りが残っているのがとてもいい。
    練りこまれた物語に引き摺り込まれたらあっというまでした。

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    2014年06月03日
  • 華竜の宮(上)

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    ネタバレ

    久々の読書で、すごい大作に出会ってしまった。
    圧倒的に壮大な世界観。実現しない世界を、読者の頭の中に、こんなにも鮮やかに再現させられるなんて。想像力が掻立てられる文章につられて、どんどんページを捲ってしまう。

    この世界を取り巻く環境やシステムが大きく変わっても、変わらない人間達、政治。
    自分の信念を信じて、より良い世界の実現のために、時にぼろぼろになりながら、真摯に闘う主人公の生き方に胸が熱くなった。
    「彼らは全力で生きた。それで充分じゃないか。」

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    2014年02月23日
  • リリエンタールの末裔

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    異形物と独特の世界観が融合してる、作者の持っている一つの世界がここにある感じ。真似のできない独創性という言葉がとても似合う

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    2014年02月22日
  • リリエンタールの末裔

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    ネタバレ

    文句なしに、読書の快楽を味わわせてくれた中編集でした!感想長いぞ!

    表題作「リリエンタールの末裔」は、至福の長編「華竜の宮」の前日譚。半生をかけて、翼を手に入れることを望んだ青年は、いつか宇宙へゆく技術の一端を担うことになるのか。彼の人生の先には大きな災厄が待っているのだけれど、まだその予兆は遠く、希望の予感を残す好編。

    「マグネフィオ」。なんだか梶尾真治のクロノスを思い出した。SFと恋愛って、なかなか相性が難しいと思うんだけど、クロノスも本作も成功例のひとつだと思う(最高傑作は当然「夏への扉」) 。
    恋した女性は自分の親友を選び、決して自分を選びなおすことはなかった…。まあそれだけの話な

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    2014年02月10日