上田早夕里のレビュー一覧

  • 破滅の王

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    読んでいて、同作者の「華竜の宮」、「深紅の碑文」と遠藤周作の「海と毒薬」が、脳裏をかすめた。激化する日中戦争。上海を主な舞台に。<キング>とよばれる未知の細菌をめぐる人間たちのドラマ。医学とは、科学者とは、戦争とは。それらを問うている。

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    2019年11月24日
  • 華竜の宮(上)

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    とにかく壮大!
    日本SF大賞受賞作で、遠い未来の地球を舞台にした、人類の生き残りを賭けた物語です。人間って何なんだろう、生きる意味って何なんだろう、ということを(上巻にして既に)考えさせられます。

    冒頭のプロローグは2017年が舞台。この時点で豆腐は合成プロテイン製になるほど異常気象の影響が出ているのですが、本編の舞台はなんと25世紀。
    わずか数ページで4世紀飛ぶというこのダイナミズム。この間に地球は大きく変貌し、海底が隆起して多くの陸地は水没し、辛くも生き残った人類は陸上民と海上民に(見た目もライフスタイルも)分かれ、変わらないものはと言えば日本(まだあった!)の政治のドロドロ感とノロマさ

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    2019年09月21日
  • 華竜の宮(下)

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    ものすごく壮大な物語だった。壮大すぎて、読むのに2週間もかかってしまった! そして、まさかの二段組み!

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    2019年05月07日
  • SF JACK

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    計11作収監。どれもコンパクトながら、難しくて・・・。だけど、どの作品にも流れているのは、”人はどう在るべきか”という問いなのだと思う。難しかったが、面白かった。

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    2019年05月07日
  • 魚舟・獣舟

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    上田早夕里さんの短編集。ジャンルで言えばSFホラーということになるのかな。
    やはり、表題の『魚舟・獣舟』と『くさびらの道』が良かった。
    読後に感じる一抹の喪失感とちょっと背中が寒くなるような感じ。嫌いじゃない。

    この短編集の全体の雰囲気として遺伝子操作された人間が普通に暮らし、アンドロイドが人間の代わりに危険な仕事をし、そのような中でも妖怪や異形の者が当たり前のように存在する。非常にダークな未来観でありながらも何となく古風な日本の雰囲気も醸し出している。映画『ブレード・ランナー』のような猥雑な感じでもなく、すべてがクリーンで管理された未来都市とまでは行かない。このどっちつかずなリアルな雰囲気

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    2019年04月16日
  • 夢みる葦笛

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    「氷波」以降はぐっとハマった。それ以前は「異形コレクション」収録とのことなので、ホラーテイストが濃く、そこで好みが出たんだろう。

    人間性とは何か、尊いものは何か。問いかけの先には、グロテスクさと美しさ、希望と絶望が混淆する未来への予感がある。

    上田さんの短編集の中では一番好きです。

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    2019年01月07日
  • 華竜の宮(上)

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    ネタバレ

    再読。
    ストレスフルだがエンターテインメント。
    電脳戦?なんてもう。
    主人公?のセリフがいい。
    一つだけネタバレにならないはず?のものを。
    「彼女のことを、目の前で下等な生物のように言われてみろ。おまえだって気分が悪くなるぞ。連中は己の下劣さに自覚がない。自覚がないから、際限なく下品な言葉を繰り出せるんだ」

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    2018年12月15日
  • 深紅の碑文(上)

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    購入してから魚舟読み直し、その短編集から火星や百目に行き、華竜読み直し、リリエンタールを読み、されど続けざまとならず
    原田さんのゲルニカを先に読み、
    ああ、読むまでがなんと長いことよ。
    そのように準備して読んだ価値があったなあと感じているが、まだ登場人物の登場、という印象かな。それが星一つ分。

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    2018年12月15日
  • 夢みる葦笛

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    全10編収録のSF短編集。上田さんの作品は初読みだが、期待以上の面白さだった。私自身、SFには漠然と無機質な印象も抱いていたが、その根底にあるのは紛れもないヒューマン・ドラマなのだと実感。科学の進歩や異生物との共存を通じて【人間らしさ】とは何かを問う本書、人間であることが足枷となる作品世界において、決して人間の誇りを失わない登場人物たちの気高さに胸を打たれる。「氷破」と「滑車の地」に心が震え「楽園」や「アステロイド・ツリーの彼方へ」が残す切なくも暖かな余韻が心地良い。次回は是非とも長編作品を読んでみたい。

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    2018年12月11日
  • 華竜の宮(上)

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    数世紀後の未来,海面の上昇によって平野部の大半が水没した世界.人類は水上都市を中心とした陸上民と遺伝子工学によって生まれた「魚舟」とともに海に生きる海上民にわかれていた.主人公青澄は水上都市の外洋公館に所属する官吏で陸上民と海上民,海上民同士のトラブル解決に奔走していた.彼はある事件をきっかけに海上民のオサ ツキソメと交渉することになる.

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    2018年12月03日
  • 華竜の宮(下)

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    数世紀後の未来,海面の上昇によって平野部の大半が水没した世界.水上都市の官吏,主人公青澄が担当した事件は,水没世界を分割支配する各勢力の思惑をよそにやがて人類の運命を左右する大変動へとつながっていく.危機を目の前にして「外交力」により運命を切り開こうとする主人公.遺伝子工学,情報工学の発展によるSF要素がちゃんとSFっぽく説明されている.ドゥーガル・ディクソンの著書「マン・アフター・マン」や,眉村卓氏の「司政官」シリーズも再読したくなります.

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    2018年04月07日
  • 華竜の宮(下)

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    ヒーローではなく、一人間としてのお話なんだというのは上巻で分かっていたことではあるんだけど、事件が大きすぎるからか、ヒーロー的活躍をどうしても期待してしまいました。
    意味深な登場人物たちも、それほど活躍の場はなく、その辺が少し不完全燃焼のような…。
    それでも久しぶりにゆっくりと世界観に浸れる作品でした。
    世界観を同じくしたシリーズがまだあるそうなので、そちらもチェックしたいところです。

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    2017年12月28日
  • 華竜の宮(上)

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    薫香のカナピウムを読んだ時に、何人かの人が華竜の宮を上げていたので気になっていました。
    プロローグが現代日本みたいで、思ったのと違う?あれれ?なんてやっていたら一気に物語の舞台へ立っていました。
    ロイディみたいなアシスタントが出てきたり、魚船のシステムもすごい。
    政治の部分とか、研究成果とか難しい部分も多いですけど、それでも世界に引き込まれました。
    新たな問題発生で、下巻も楽しみです。
    それにしてもなんでヤングアダルトコーナーに配架されているのか謎。

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    2017年12月27日
  • 美月の残香

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    失踪した双子の姉を、置いてあった香水瓶を手掛かりに探そうとする妹と義兄。

    双子、香水、夢。同じようでいて、説明がつかない無意識でわかるその妖しい魅力。双子好きにはおすすめの小説。
    狂気に満ちていく真也が怖かった。そして真実にゾクっとした。でも身内が犯人や殺したりした結末じゃなくて良かった。

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    2017年12月17日
  • 妖怪探偵・百目2~廃墟を満たす禍~

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    「探偵」小説じゃなくなっちゃった伝奇の2巻。いつの間にか主人公になった播磨の沖縄でのエピソードが沁みました。早く最終3巻読まねば。

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    2017年09月02日
  • 華竜の宮(下)

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    ネタバレ

    スミマセンm(_ _)m なんか時間つぶし的な気持ちで読み始めましたが、なめてました。心から謝りたいです。素晴らしかったです。出逢いに感謝したいです。科学的な部分で理解が充分でなかったところも多々ありますが、人類の存亡をかけてのあらゆる駆け引きというか水面下での駆け引き。面白かった。私には無理だけど。最後の終わり方も良かったですし。「深紅の碑文」も読みます!

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    2017年06月26日
  • 華竜の宮(上)

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    『ひとつだけ断言できることがある……。いまの姿を保っているからこそ人間だ、これが人間の最も理想的な形なのだ、という価値観は、これからの時代、幻想に過ぎないわ。

    もちろん、思考は身体の形状に影響される。体の形が変化すれば、感受性も考え方も、すべてがいまのままではいられないでしょう。でも、一個の生物としては、だから何だという気もするの。人間は、他の生物と比べたとき、たいしたことをしたわけじゃない。唯一、宇宙に行けた生物だ ー とは言えるけれども、外に出たから偉いというわけでもない。

    何もしないで滅びるというのも、もしかしたら、生物の在り方として自然なのかもしれないわね。でも、そう思いつつも、私

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    2017年03月25日
  • 華竜の宮(下)

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    極限の状況下において、何をなそうとしたか、生き様ともいえるもの貴さが描かれた作品。物語中で何かが解決したわけでもなく、結末も決してハッピーエンドではないが、清々しい読後感にひたれた。

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    2016年05月07日
  • 華竜の宮(上)

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    予想以上のハードSF。期待以上の面白さ。陸地の多くが水没した未来が舞台。陸上民と海上民の対立が進む。さらに近い将来に大規模な環境変動が予測され・・・。下巻でどのような結末を迎えるのか、楽しみで仕方がない。

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    2016年05月07日
  • 妖怪探偵・百目2~廃墟を満たす禍~

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    ◎拝み屋の過去は味わい深く3巻目が楽しみになる。この作家さんの描く、価値観の異なる者たちの交流と対立は逸品。
    ◎井上雅彦氏のファンは読むとにやにやできる

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    2016年04月12日