上田早夕里のレビュー一覧

  • 華竜の宮(下)

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    黙示録的な展開であるにも関わらず、鬱展開にならないのは青澄を始めとする最善を尽くそうとする人々の奮闘と希望に満ちているからだろう。
    原作版「ナウシカ」のようなニヒリズムが無いところも読後感が良い理由なのかも知れない。

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    2023年07月01日
  • 華竜の宮(上)

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    地球規模の大災害の後、人工的に人類や他の生命体を作り変えて無理矢理凌ぐ…という発想は、原作版ナウシカを彷彿とさせる。

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    2023年06月29日
  • 華竜の宮(下)

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    「オーシャンクロニクル」シリーズ、初の長編!
    華流の宮です。上下巻まとめてのレビュー。

    前にも書きましたが、舞台は25世紀の地球。
    未来少年コナンみたいな、ウォーターワールドみたいな感じです。

    が、読んでみると、これはプロットがガッチリ出来てる。
    良くある「温暖化の影響により極地の氷が溶けて」なんてヌルいものじゃありません。
    地殻変動により海溝が隆起。海面が260mも上昇した後の世界から物語スタートです!(リ・クリスティシャス)
    そして50年後、地球深部からのアレで「プルームの冬」が訪れる。
    これに人類はどう準備、対応するのか?って話です。

    物語は、青澄の人工知性体「マキ」による”三人称

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    2023年02月25日
  • 華竜の宮(上)

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    地球環境の変化を経た未来の世界。大きな戦争を経て、人類も変化している。地上民と遺伝子を変え、海に生きる海上民。彼らは双子で産まれ、人と「魚舟」として共生する。海は資源豊富だが、戦争の爪痕がそこかしこに残り、彼らを苦しめている。

    壮大なスケールと、ありそうでない設定をもとに書かれた物語。地上民の官僚でありながら官僚っぽくない青澄を中心に、国家の謀略や生物学的危機を乗り越えていく。語り手は彼のパートナーである人工知能で、この設定が下巻でよい仕事をする。語り口は少し重いけれど、ひとつひとつの描写が的確でイメージしやすく、ひとつの映画のようでとても面白い。

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    2022年05月08日
  • 獣たちの海

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    初めて上田早夕里の作品を読んだ。海を舞台にした「オーシャンクロニクル・シリーズ」の第3弾。読むきっかけはハヤカワJAの新刊書というシンプルな理由。表紙の海の情景と、裏表紙の解説に書かれている「海上民」という言葉から、遥か昔のTVアニメ「海のトリトン」に近いのかなと思いつつ読み始めたら・・・見事にハマりました。設定もなんとなく似ている。トリトンの子供時代は陸上で育ち、出生の秘密を知ってから海上で生活し、友達のイルカ(ルカー、イル、カル、フィン)と行動を共にし、ポセイドン族と戦う等々。ちなみに、このアニメの原作は手塚治虫。

    自由な海での生活と引き換えに、迫りくる大異変への怯え、その対策に奔走する

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    2022年04月13日
  • 獣たちの海

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     首を長くして待ったオーシャンクロニクル・シリーズの最新中短編集。短編三つと中編一つからなり、全編書下ろしである。すべて海上民と魚舟の視点から語られている。それらは、「華竜の宮」と「深紅の碑文」で描かれる時代の出来事となっている。そして短編「老人と人魚」では、名前こそ明かされないが長編に登場するある人物の最後が語られたりする。前述の2作品は、「日本沈没」や「デューン 砂の惑星」と比肩されることもあり、ぜひとも読むことをお勧めする。

     そして圧巻は、中編「カレイドスコープ・キッス」だろう。海上民と地上民、海上民同士、人とアシスタント知性体(描写が少なめだが)の関係が上手く深く描かれている。最後

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    2022年03月30日
  • 獣たちの海

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    海上民を主人公にした作品集で、当然ながらこれまでの陸上民の視点とはかなり異なる。そこが醍醐味なのだけど。「カレイドスコープ・キッス」がめちゃくちゃ良くてひたすら泣いた。
    オーシャンクロニクルシリーズをあくまでフィクションとして読んでいたけど、難民問題、地球規模の大災害、命の選別と、今の自分の生活と切り離せなくなってしまったのでよけいにぐっときた。
    銘とレオーの関係や距離は、青澄とマキとはまた違っているけど心地良かった。互いの領域に踏み込まない、からかな。

    あ、それから女性キャラクターの口調、「〜だわ」「〜よ」が極力排されてる気がした。

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    2022年02月28日
  • 獣たちの海

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    このシリーズが本当に好きだ。獣たちの海が切なくて、でも力強いいきものに快さも感じて読んでいて楽しい。カレイドスコープは本編のような、諦めないひとの話でこれもとてもよかった。ルーシィという存在がとても気になるので、その話も読めたのは嬉しいが、ルーシィ月星太陽が読めてないのが悲しい。いつか本になる日を楽しみに待ちます。

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    2022年02月22日
  • 華竜の宮(上)

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    ネタバレ

    地球の海面が上昇し殆どの国が海に沈んだ世界
    マントルやら地殻やらの動き
    新たに生まれた人類
    すごく面白い
    緻密な世界観

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    2021年12月09日
  • 深紅の碑文(下)

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    1を解決するために2を無くす。そうすると2と共存関係にあった3は快く思わない。

    現実も様々な原因や現象が複雑に絡み合っており、この問題はこうすれば解決するという単純な道筋はないのだと感じました。
    また、自分の信念が揺らぎそうになる時、それをどうしたら保つことが出来るのか、それが出来る人は強い人であり、でもそれは側から見ると滑稽にも映ります。
    人それぞれ千差万別の考え方がある中で、多様性を重んじ、簡単に物事を解決しようとしない青澄さんを尊敬します。

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    2021年10月22日
  • 深紅の碑文(下)

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    下巻も読み応えがある世界でした。人の業は深い。
    人類滅亡が避けられない未来がやってくるのを知りながらも、分断と闘争はなかなか止められないないというのが…血塗れの「深紅の碑文」という言葉が重くのしかかりました。
    陸・海・空をそれぞれ、青澄・ザフィール・ユイという登場人物が中心になって描かれていました。
    青澄は救援活動、ザフィールはラブカでの陸との闘争、ユイはアキーリ号を宇宙へ放つ、というそれぞれの闘いは悲しい結末や消息不明にもなったけど、それでも、アキーリ号出発は救いでした。青澄は脳内で見てたんだな…再読で、意識不明中だったのに気付きました。副脳凄い。
    連作で続編も構想されているようなので楽しみ

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    2021年08月25日
  • 深紅の碑文(下)

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    ネタバレ

    様々な登場人物の生きた軌跡から、人間としての愛情豊かな生活が窺われ、未来人も
    やはり私たちと同じ人間だということが感じられる。

    どうぞ、25世紀の皆さんもこのつらい時代を生き抜いてください。

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    2020年04月16日
  • 深紅の碑文(上)

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    ネタバレ

    「華竜の宮」姉妹編
    25世紀まで生きることができずに残念・・・ではなく・・・良かった。
    こんな未来、本当にあるかもしれない。
    子どもを産むのにも躊躇するなんて人間として辛すぎる「大異変」


    それにつけても、人間が陸上と海の人間に進化が分かれてゆくなんてこれまでのSFとは違い、宇宙やら人類の危機やら以上に身につまされる。

    とはいえ、海上の人間の朋である、魚舟やらそこに住まうことになるやらで想像するのも楽しい。

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    2020年04月16日
  • 破滅の王

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    ネタバレ

    初めて500ページもある小説を読んだかもしれない。
    登山をしているかのような本でした…

    歴史・科学の知識のない私ですが、ハラハラドキドキもので非常に楽しめました!
    読み始めた時どうなるかと思ったww

    そして登場人物の多い作品ですが、関係のわかりやすい一覧がついていたのは助かりましたw
    すぐに忘れちゃうからなぁ〜

    この中でも灰塚少佐が好きでしたが、「消息不明」という事で物語終わっちゃってザンネン…生きてたと思っときます!!!

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    2019年12月03日
  • 薫香のカナピウム

    購入済み

    独特の雰囲気がいい

    魚舟獣舟から続く世界観に基づく独特の雰囲気がある作家。
    この作品もその雰囲気を濃厚に持つ作品であるんが、終盤意外な展開もあって面白かった。
    この作者の作品の中では最も面白い。
    我々が「何物にも侵されない自分の心」「自由意志」と思い込んでいるものが、実はより上位の存在の道具に過ぎないのでは、
    と考えさせらる作品であった。

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    2020年02月22日
  • 魚舟・獣舟

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    OCシリーズの原点である「魚舟・獣舟」。現代社会崩壊後の世界、異形の生物と人間の関わり合いがわずかなページにぎゅっと込められた良作。「くさびらの道」は映画化されるそうなので楽しみ。「真朱の街」は妖怪探偵百目の前日譚かな?そして「小鳥の墓」、すばらしい!極端な管理社会の元で生きる二人の少年の話。なんと火星ダーク・バラードの彼の少年時代のお話ということがラストに明かされ暫し呆然。これがあの物語に続くのかと。上田氏の他作品を読んでいる方には、驚きも発見も感動も更に深まる短篇集ではないかと思う。

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    2019年10月18日
  • 華竜の宮(下)

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    SFならではの話の壮大さに、肚の座った登場人物の仕事への意気込みを感じる掛け合い、多くのプレイヤーを動かしながら全体の調和を取る構成力、全てのレベルが高いと感じた1冊です。

    ただでさえヤバくなってる地球が更にヤバくなる!(語彙力ゼロ)という状況となった下巻における序盤のハイライトは、理不尽だったり絶体絶命だったり、とにかく酷い状況に立ち向かおうとする人の気高さだったと思います。
    登場する3者がそれぞれ3様の行動を取るものの、その行動はどこまでも自分のためではなく、所属するグループであったり、それ以上に人類全体であったりを想うがための行動。
    限界の状況における職業倫理、あくまで誇り高くあろうと

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    2019年09月26日
  • 華竜の宮(下)

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    読み始めたら終わりまでやめどきが見つけられない
    それくらい続きが気になるストーリーでした
    海洋生活のリアリティが溢れています
    アニメでガルガンティアみたいのがありましたが、あれが好きだった人は絶対に気にいると思います

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    2019年08月18日
  • 華竜の宮(下)

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    ホントに面白いSF小説だった。これほど重厚で考えさせられるSFエンターテイメント大作を読ませてもらったのは久しぶり。

    人類があと数十年で滅亡するかもしれないという状況で人々はどうやって生きるのか?

    そんな究極の状態でも各国陣営は自分たちの利益をいかに守るか、そして自分たちがいかに生き延びるかということに汲々とする。
    このお互いの腹の探り合いや政治的駆け引きの描写は行き詰まるものがある。

    本書では日本はアメリカを中心とした国家連合ネジェスの中に含まれているが、いざという時にネジェスが本当に日本を救ってくれるかは分からないという状況。これは現在の日本の状況を皮肉的に描いているのだろう。

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    2019年04月26日
  • 華竜の宮(上)

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    人類に壊滅的被害を与えたリ・クリティシャス後、海面が約250メートルも上がってしまった25世紀の地球が舞台。地球の地表の多くが海底に沈み、生き残った人間は、わずかに残った地表に暮らす陸上民と広大な海に暮らす海上民に分かれて暮らしていた。
    海上に住む海上民は海上での生活に身体を適応させており、彼らは人間の遺伝子操作により生み出された「魚舟」と呼ばれる生物を海の上で人間が生活する空間として利用していた。

    陸上民と海上民との対立やごく普通にAIを身体に埋め込んだ人間の生活、そして身体を遺伝子的に改造された海上民の魚舟での生活などが詳細に描かれており非常に面白い。将来あり得べき未来を今見てきたかのよ

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    2019年04月22日