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Posted by ブクログ
初めて上田早夕里の作品を読んだ。海を舞台にした「オーシャンクロニクル・シリーズ」の第3弾。読むきっかけはハヤカワJAの新刊書というシンプルな理由。表紙の海の情景と、裏表紙の解説に書かれている「海上民」という言葉から、遥か昔のTVアニメ「海のトリトン」に近いのかなと思いつつ読み始めたら・・・見事にハマりました。設定もなんとなく似ている。トリトンの子供時代は陸上で育ち、出生の秘密を知ってから海上で生活し、友達のイルカ(ルカー、イル、カル、フィン)と行動を共にし、ポセイドン族と戦う等々。ちなみに、このアニメの原作は手塚治虫。
自由な海での生活と引き換えに、迫りくる大異変への怯え、その対策に奔走する人間、そしてそれらに巻き込まれる魚舟と獣舟。舞台が海とはいえ、そこでは人間の素晴らしさ、醜さが綴られている。来るべきディストピアに向けて、これからも様々なストーリーが出てくるが、いろんな切り口を楽しみたい。
今回の本は4つの作品からなるが、なかでも本の題名にもなった「獣たちの海」が秀逸。魚舟が生まれてから獣舟に行きつくまでの過程が、魚舟の側から語られる。人間によって、人間のために人工的に生み出された魚舟が本能に翻弄されながら徐々に自我に目覚めていくのは人間にも通じるものがある。魚舟は自分で考えることが少ない分だけ、皮肉にも人間よりも幸せのような気がするな。いずれ獣舟の怒りを直接表現している他の作品に出合う機会もあるだろう。今後、上田作品を入手次第確認すると思うし、それが楽しみになる予感。
Posted by ブクログ
首を長くして待ったオーシャンクロニクル・シリーズの最新中短編集。短編三つと中編一つからなり、全編書下ろしである。すべて海上民と魚舟の視点から語られている。それらは、「華竜の宮」と「深紅の碑文」で描かれる時代の出来事となっている。そして短編「老人と人魚」では、名前こそ明かされないが長編に登場するある人物の最後が語られたりする。前述の2作品は、「日本沈没」や「デューン 砂の惑星」と比肩されることもあり、ぜひとも読むことをお勧めする。
そして圧巻は、中編「カレイドスコープ・キッス」だろう。海上民と地上民、海上民同士、人とアシスタント知性体(描写が少なめだが)の関係が上手く深く描かれている。最後はじんわりと泣けますよ。
次の短編集は人間の末裔たるルーシィを描いたものになるらしい。期待大です。
Posted by ブクログ
25世紀、陸地がほとんど海に沈んだ時代の物語
海上民と陸上民に別れ、海上民は「魚舟」と呼ばれる人工生物を操りながら暮らすと言う設定
現実でも起こっている文化や差別、貧富、マイノリティの問題、争いをリアルに描かれていました
昨今の異常な気象を考えると、海面上昇は現実に起こっているし、「魚舟」のような人工生物まで作り出せるからわからないけれど、これも人間のDNAを改変して、生殖機能を改変して作り上げられたもので、人間は追い詰められると、そう言うことを平気でやりかねないよなぁ、と感じたりもしました
「魚舟」が野生化したり、テロ組織のような集団ができてしまったり、とにかく人間本質的な部分は、どんな時代、状況になっても変わらないのかも、とも感じました
ちょっと設定が現実離れしていることもあって初めのうちはなかなかついていけなかったのですが、巻末のあとがきを読んで知ったのですが、シリーズもののようです。シリーズ最初の作品を読んで、基礎知識を頭に入れてから本作を読んだ方が、もう少し内容が受け入れやすいかもしれません
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