【感想・ネタバレ】薫香のカナピウムのレビュー

あらすじ

日本SF大賞受賞の『華竜の宮』で人類滅亡の危機と闘いもがく人々を描き話題を呼んだ著者が、初めて紡ぐたおやかなる少女のビルドゥングスロマン&至高のファンタジー。

生態系が一変した未来の地球。その熱帯雨林の〈カナピウム〉と呼ばれる地上四十メートルの林冠部で少女は暮らす。
豊かなる生態系を誇る樹上には多彩な動植物が集まり、少女たちは彼らが発散する匂いを手がかりに、しなやかに樹上を跳び回る。一方で、彼方には銀糸のごとく煌く軌道が見え、森の住民には作れない先端テクノロジーも存在する。
ある日やってきた旅の者たち。そして森に試練が与えられる――。

解説・池澤春菜

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独特の雰囲気がいい

魚舟獣舟から続く世界観に基づく独特の雰囲気がある作家。
この作品もその雰囲気を濃厚に持つ作品であるんが、終盤意外な展開もあって面白かった。
この作者の作品の中では最も面白い。
我々が「何物にも侵されない自分の心」「自由意志」と思い込んでいるものが、実はより上位の存在の道具に過ぎないのでは、
と考えさせらる作品であった。

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2020年02月22日

Posted by ブクログ

熱帯雨林という設定のものは初めて読んだかもしれない。ならではの面白さ、不気味さがある。
敢えていえば、オーシャンクロニクルシリーズや中国モノを読んだ今、やや物足りなさを感じる。素材としてはもっと膨らませられるのでは、と思う。

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2025年12月01日

Posted by ブクログ

〈人とは何か〉
『華竜の宮』で「海に生きる」ために魚と融合した人類をテーマとした作者が、今度は「森で暮らす」人類の姿を描いた。
林冠生物の暮らし、そのために高めたことと捨てたこと。
そしてその背後には作為的な操作が見え隠れする。
「生物とは何か」
「自然とは何か」

解説で「風の谷のナウシカ」を持ち出していたが、映画ではなく原作漫画のナウシカの世界観とよく似ている。

〈華竜の宮〉シリーズのようにここから先の広がりはあるのか……。

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2024年02月18日

Posted by ブクログ

主人公の少女は林冠を自在に飛び小動物を連れて、はじめは「ナウシカ?」と思ってしまいましたが、そこには宮崎アニメとは異なる世界が広がっていました。生態系が変わってしまった未来の物語設定は何度か読んだことがありますが、この薫香のカナピウムは、美しい熱帯雨林の蒸しかえる様な熱気や果物が熟れる匂いが漂うようなみずみずしい描写の中にファンタジー要素があり、地球の未来を思わせるようなSF感も満載でひきつけられました。人はどんなに変化しても希望を忘れないのではと感じさせてくれる物語です。

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2020年07月13日

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