あらすじ
日本SF大賞受賞の『華竜の宮』で人類滅亡の危機と闘いもがく人々を描き話題を呼んだ著者が、初めて紡ぐたおやかなる少女のビルドゥングスロマン&至高のファンタジー。
生態系が一変した未来の地球。その熱帯雨林の〈カナピウム〉と呼ばれる地上四十メートルの林冠部で少女は暮らす。
豊かなる生態系を誇る樹上には多彩な動植物が集まり、少女たちは彼らが発散する匂いを手がかりに、しなやかに樹上を跳び回る。一方で、彼方には銀糸のごとく煌く軌道が見え、森の住民には作れない先端テクノロジーも存在する。
ある日やってきた旅の者たち。そして森に試練が与えられる――。
解説・池澤春菜
感情タグBEST3
独特の雰囲気がいい
魚舟獣舟から続く世界観に基づく独特の雰囲気がある作家。
この作品もその雰囲気を濃厚に持つ作品であるんが、終盤意外な展開もあって面白かった。
この作者の作品の中では最も面白い。
我々が「何物にも侵されない自分の心」「自由意志」と思い込んでいるものが、実はより上位の存在の道具に過ぎないのでは、
と考えさせらる作品であった。
Posted by ブクログ
熱帯雨林という設定のものは初めて読んだかもしれない。ならではの面白さ、不気味さがある。
敢えていえば、オーシャンクロニクルシリーズや中国モノを読んだ今、やや物足りなさを感じる。素材としてはもっと膨らませられるのでは、と思う。
Posted by ブクログ
〈人とは何か〉
『華竜の宮』で「海に生きる」ために魚と融合した人類をテーマとした作者が、今度は「森で暮らす」人類の姿を描いた。
林冠生物の暮らし、そのために高めたことと捨てたこと。
そしてその背後には作為的な操作が見え隠れする。
「生物とは何か」
「自然とは何か」
解説で「風の谷のナウシカ」を持ち出していたが、映画ではなく原作漫画のナウシカの世界観とよく似ている。
〈華竜の宮〉シリーズのようにここから先の広がりはあるのか……。