いとうせいこうのレビュー一覧
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ネタバレ一部複雑難解な表現あり。
いくつかの映画をモチーフにした作品はついていけなかった。その映画が大好きで繰り返し細部まで見ている人なら楽しめるのかもしれない。
何かしらのインプットされる情報があって、
自分の中で解釈、追加想像した物語をアウトプットしてしまうと元の出来事は忘れてしまうのかもしれないと思う。
日記をつけてしまうと逆に思い出せないで出来事もある。
歌を忘れてカナリアにが一番長編で読みやすかった。
物語の中の物語に入り込んで人の正気を惑わせる不思議な魅力がスペインにはあると思う。
ラストのライカ犬の話は割と良く使われるモチーフかなと思うが、荒ぶる性格というイメージはなかった。
13 -
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小学校四年生の大沢まことをはじめ、子どもたちのあいだで「ライフキング」というゲーム・ソフトが流行し、学校や塾ではそのゲームをめぐるさまざまなうわさが取り沙汰されるようになります。呪われた世界を救うというゲームの世界観は、たちどころにうわさが広がっていく子どもたちの情報網を通じて現実世界へと流れ出ていき、大人たちのさまざまな反応を引き起こしていきます。
1980年代の消費社会を背景にした作品で、たとえば大塚英志の『物語消費論』(角川文庫など)などによって提示された見取り図のもとで読むことが可能であるように思われます。大塚は、やはり本書と同時期に子どもたちのあいだで流行した「人面犬」にかんする都 -
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(01)
仏像を見る際に,どのように既存の文脈から切り離して自分の目の前にあるものを見るか.この難問に著者の二人は取り組んでいる.寺院からのアプローチ,由来や縁起などの創作,フェノロサ,和辻,亀井といった近代の批評,他の観光客や観光産業関係者など,著名な仏像を取り巻く言説を華麗にいなし,かわしつつ,自らのポップやサブカルの文脈に近づけつつも,仏師や仏像そのものの想いや方法をダイレクト(*02)に見る方法に挑戦している.
(02)
そのとき,眼は興奮し,恋愛やエロスなどに類似したフェティシズムの視線によって仏像が捕らえられる.みうら氏は吉祥天に向かい,いとう氏は文殊菩薩に向かったその視線(*0 -
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初読み作家さん。
文通相手と文通読書会しようと持ち掛け、その第一冊目に選んだ本。文庫本発売の時購入。表紙いいよね。
一応短編集の仲間に入るのかな。
『今井さん』
テープ起こしで生計をたてている鵜殿さんが編集者から「その場で話していない内容が書き足されているようだが」と電話を受けて、それについて、テープ起こしとはいったいどんな仕事なのかを説明というのか、説得をしている、電話で、と思い込んで読んでしまった私への、オチ。
『私が描いた人は』
大学時代に出会ったPQを私は長い時間をかけていくつかの絵を描いた。PQとの思いでと、その絵たち。
『鼻に挟み撃ち』
ある日男はマスク姿で公共の場で唐突に演説 -
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我が家から五十メートルばかし行ったところに「口の芝居跡」という碑が立っている。その昔、京・大阪の芝居小屋にかける前、全国から伊勢参りに来る旅人目当てに、ここで演じて評判が良ければ大受けまちがいなしとして、試演される芝居小屋だったと聞く。有名な歌舞伎役者もこの芝居小屋の舞台に立ったこともあって、古市は歌舞伎とは縁が深い。『伊勢音頭恋寝刃』の舞台となった油屋跡では町の若い衆によって小屋掛けの地芝居も演じられた。父は坂東庄雀という名を持つ立女形で、「伊勢音頭」ならお紺、七段目ならお軽というのが役どころだった。
芸事の好きな人も多かったのだろう、歌舞伎衣装や大道具小道具を扱う道具方や浄瑠璃、義太夫を