いとうせいこうのレビュー一覧
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いとうせいこう(1961年~)氏は、早大法学部卒、ラッパー、タレント、小説家、作詞家等として幅広く活動するマルチ・クリエイター。『ボタニカル・ライフ 植物生活』で講談社エッセイ賞(1999年)、『想像ラジオ』で野間文芸新人賞(2013年)を受賞。近畿大学国際人文科学研究所客員教授。
著者は、2016年から、「国境なき医師団」の取材をライフワークの一つとしており、これまで、ハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダの現地取材を記した『「国境なき医師団」を見に行く』(2017年出版、2020年文庫化)、「国境なき医師団」の組織と日本人のメンバーへのインタビュー、現地ルポをコンパクトにまとめた『「国境なき医師団」になろう!』(2019年出版)、パレスチナとヨルダンの現地取材を記した『ガザ、西岸地区、アンマン「国境なき医師団」を見に行く』(2021年出版、2023年文庫化)の3冊を出している。尚、3冊目の本書の初出は、月刊誌「群像」である。
私は従前より、国際紛争や内戦、難民問題、貧困問題等に強い関心を持っており、これまで、(フォト)ジャーナリストや専門家が書いた多数の本を読んできた。国境なき医師団に関する著者の本も、1冊目、2冊目ともに読んでいる。
また、私は、著者が本書のための取材を行った2019年11月より3年近く前に、プライベートかつ一人でエルサレムに一週間ほど滞在し、公共交通機関を使って西岸地区各地を訪れたこともあり(本書に出てくるベツレヘムや、その検問所近くの分離壁へも行った)、今般のイスラエルのガザ侵攻については、大変心が痛むのであるが、改めてパレスチナのことを思い出そうと考え、本書を手に取った。
読み終えて、(著者の前著のレビューにも書いたことだが)現場の状況や問題の深刻さに比して、著者の取材時のスタンス・言動、及び本書の表現のノリの軽さは、引き続き引っ掛かるし(前著から改善してはいるが)、本書に関して言えば、イスラエル兵士が著者たちに銃口を向けている、といったあたりの描写は、私の体験からすれば、少々盛っているような気もして(私が訪問した後の2018年3月に「帰還のための大行進」が行われ、それ以降は緊張感が格段に高まっているのかも知れないが。。。)、残念ながら、読後感は必ずしも良くはない。
それでも、こうしたテーマについて、普段あまり関心を持たない層に読んでもらうためには、書き方を工夫することも、それなりに有効であるとは思われるので、全面的に否定することはしない。
そして何より、本書の目的が、国境なき医師団が全世界で展開している、ある意味「草の根」の活動の一端を紹介することなのだとすれば、それはある程度達成されてはいるのだろう。
世界の紛争地域・貧困地域で(主に医療に関わる視点から)どのようなことが起こっているのかを、まずは知りたいという向きには、手に取り易い一冊である。
(2024年4月了) -
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いとうせいこうにはもう一冊『「国境なき医師団」を見に行く』というのがあり、どちらにしようか迷ったが、とりあえず新書を読むことにした。
あとがきでわかったが、『見に行く』は、「より自分の感情に近い書き方」で書いたもので、こちらは「いわばMSFの一員になるためのハウツー本企画として」書いたとのこと。
だから、こちらはMSFがどんな団体で、どんなメンバーで構成されていて、どう運営されているかがよくわかる。
白川優子さんの本でも度々出てきた「ロジステシャン」や「アドミニストレーター」などの仕事の内容も、インタビューとともに載っている。
「国境なき医師団(MSF)」の資金のほとんどを個人の寄付で、しかも大口の寄付ではなく、少額の多数の寄付で成り立っていること(だからこそ、政府や国際組織、企業などに依存せず独立を保てる)、リタイアしたあと60代70代から始める人もいることなどは初めて知った大切な情報だった。特に医療担当者は年配の人の方が、専門が細分化されない時代を経験しているし、物資が足りないときどうするかもわかって役に立てると読んでなるほどなと思った。もちろん英語かフランス語ができて、体力があり、強い意志が必要なのが前提だが。
MSFの活動に参加してみたい、寄付する前に知っておきたい人には最適な本。
しかし、現場に関わった医師、看護師の本のような衝撃はあまりないので、リアルな活動内容を知りたい人にはそちらの方がいいとは思った。 -
Posted by ブクログ
いとうせいこう(1961年~)氏は、早大法学部卒、ラッパー、タレント、小説家、作詞家等として幅広く活動するマルチ・クリエイター。『ボタニカル・ライフ 植物生活』で講談社エッセイ賞(1999年)、『想像ラジオ』で野間文芸新人賞(2013年)を受賞。近畿大学国際人文科学研究所客員教授。
著者は、2016年から、「国境なき医師団」の取材をライフワークの一つとしており、これまで、ハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダの現地取材を記した『「国境なき医師団」を見に行く』(2017年出版、2020年文庫化)、「国境なき医師団」の組織と日本人のメンバーへのインタビュー、及び前著の4ヶ国に南スーダンを加えた現地ルポをコンパクトにまとめた『「国境なき医師団」になろう!』(2019年出版)、パレスチナとヨルダンの現地取材を記した『ガザ、西岸地区、アンマン「国境なき医師団」を見に行く』(2021年出版)の3冊を出している。
私は従前より、国際紛争や内戦、難民問題、貧困問題等に強い関心を持っており、これまで、(フォト)ジャーナリストや専門家が書いた多数の本を読んできた。著者の本も、2冊目の『~なろう!』を既に読んでいるが、本書は偶々新古書店で目にして購入した。
本書の初出は、取材の度に「Yahoo!ニュース」に掲載(不定期)されたもので、その内容は、『~なろう!』の約半分を割いた現地ルポと少なからず重複する。
個人的には、現場の状況や問題の深刻さに比して、著者の取材時のスタンス・言動、及び本書における表現のノリの軽さが少々引っ掛かるのだが、こうした問題を、「Yahoo!ニュース」のような媒体を使って、普段あまり関心を持たない層に読んでもらうためには、それなりに有効なのかも知れない。
そのような中で、最も気に留まったのは、ギリシャで、中東から逃れてきた難民のためのキャンプを取材した件に出て来た、「たまたま彼らだった私」と「たまたま私だった彼ら」という言葉である。これは、今は、平和な先進国(日本を含む)に生まれた私と、紛争の絶えない国に生まれた彼らではあるのだが、これは正に「たまたま」なのであり、それが逆であってもおかしくなかったということである。そうした想像力を持てることこそが重要なのであり、持ちさえすれば、その瞬間に、我々の考え方も行動の仕方も変わらざるを得ないということだ。
世界の紛争地域・貧困地域で(主に医療に関わる視点から)どのようなことが起こっているのかを、まずは知りたいという向きにはお奨めの一冊かも知れない。
(2024年1月了) -
Posted by ブクログ
著者であるいとう氏が国境なき医師団(MSF)の活動地域に赴き、現地の様子や患者さんに聞いた話をまとめたもの。
紛争・貧困問題など、あくまで「知識」として「聞いたことある」程度だった国や地域のリアルな様子がわかる。
銃撃などで重症を負った方々のお話や、彼らをなんとか救おうと日々奮闘されるMSF関係者の話は、どれも姿勢を正さずには読めなかった。
この本を読んで、いわゆる地政学をしっかり学んでみたいと思った。
一方、著者のやや”観光的な”姿勢や、言動の端々に見られる”お気楽な”感じが、現地の空気感と合っていない感じがして、違和感をもってしまった。
(自分の読み方の問題かもしれないので、あくまでイチ意見です) -
購入済み
まずは素直に読むべきか
イスラエルとパレスチナの問題 というのは、どちら側の視点で見てゆくか、政治的な立場抜きには語れない 描けない問題である。本書は原則 弱者 パレスチナ側の視点に立って書かれている。「片方の立場から」ということを意識して読めば、なかなかに参考になる本である。
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ネタバレ江戸時代は、だいたい現代?
治められた4つの小説は、どれも名前は聞いたことがあるかな、というもの。読んでみるとスイスイ読める。古典文学だとちょっと遠巻きにしていたのがもったいない。
「好色一代男」これぞエロの大国日本だな、とか思ってしまう。とことん遊んで最後に船出していく世之介を、嫌える人なんていないだろう。源氏物語のパロディと言われて、なるほどと思う。
「雨月物語」いくつかの話は知っていたが、通読するのは初めて。しっとりと、また少し不思議で、少し怪しい。
「通言総籬」つうげんそうまがき。これは知らなかったけど、『なんとなく、クリスタル』ならぬ『なんとなく、総籬』といういとうせいこう訳に引っ張られて読んだ。冒頭はもしかしてにほんごであそぼでやってた江戸っ子とはのセリフか。
「春色梅児誉美」これは昔マンガで読んだことがあるので、なんとなくあらすじは覚えていた。どんどんと事件が起き、新たな事実が明らかになり、最後は大団円でご都合主義とは言っても、ぐいぐいと読んでしまう。軽やかな会話、キャラクターたちの「粋」と「あだ」が爽やか。 -
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いとうせいこう氏の処女作とのこと。
物語が降りてきて一気に書き上げたそうだ。それに習い自分も気合を入れて一気に読みすすめる。
200ページ程なので、中編になるのかな?
ビデオゲームをモチーフにした、社会問題を取り上げた文学小説といったほうがいいんだろう。
自分の中で、良い小説と思える基準にしている
難解な単語を使ったり、分かりづらい文章構造じゃないこと、はクリアしているので、数時間で読むことができたしいい作品なんだけど。
途中何気ない文章が、とても怖く感じたり。
ゲームソフトの呪い、クリアするための攻略法とやらが、若干抽象的でわかりづらいような。
でも物語のポイントは子供世界のリアルと大人社会の軋轢を書きたいわけで、そういう、それこそゲーム的・物語的な仕掛けや伏線回収などエンタメ的なものを提供している種類の小説ではない。
ゲームのワクワク的な面白さを期待してしまったのでその点では肩透かし。
なんせこれは初版が30年以上前の本(1988年!)
「ノーライフキング(無機王)」っていうタイトルは最高にかっこいい。サバン症候群的なさとるくんのキャラクターが気に入ったのでもっと活躍してほしかった。
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ネタバレ一部複雑難解な表現あり。
いくつかの映画をモチーフにした作品はついていけなかった。その映画が大好きで繰り返し細部まで見ている人なら楽しめるのかもしれない。
何かしらのインプットされる情報があって、
自分の中で解釈、追加想像した物語をアウトプットしてしまうと元の出来事は忘れてしまうのかもしれないと思う。
日記をつけてしまうと逆に思い出せないで出来事もある。
歌を忘れてカナリアにが一番長編で読みやすかった。
物語の中の物語に入り込んで人の正気を惑わせる不思議な魅力がスペインにはあると思う。
ラストのライカ犬の話は割と良く使われるモチーフかなと思うが、荒ぶる性格というイメージはなかった。
13日の金曜日というキーワードでヒットした本。