松本大洋のレビュー一覧
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天才が凡人へ、凡人が天才へ、そして最後は
スポーツ漫画をお勧めしてと言われたら、私はピンポンをお勧めするかもしれない。
努力の限界を容赦なく抉ってくる描写、トップの孤独、人生のかかっている試合、最後は哲学的な域に達してしまうゾーンなど、高校スポーツなのにこの人生観はやっぱり松本大洋だなぁ…と思ってしまう。
氏の典型的なダブル主人公だが、ペコとスマイルどちらに感情移入するかと言われたら、私はペコに感情移入してしまう。
仕事でもスポーツでも、成功経験のある人は必ず味わったことがあると思う。急に、自分ではない人間が注目され出した時のザワザワ感。特にその相手が、自分が卓球の道へ導いてやった幼馴染だっ -
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泣ける
めぐむを引き取りたいという親戚夫婦がやってくるが、あまりうれしそうでないめぐむ。
友達と用事がなどとうそをついて親戚夫婦を避ける。
しかし叔母さんはめぐむの気持ちは全部わかっていると包み込む。
亡くなった両親に悪いような気がしてしまうとか泣ける。 -
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死別と離別
子供たちが親と一緒に暮らせない理由はいろいろ。
死別のめぐむは願うことすら諦めないといけないのは辛いと思う。
でも研二や春男んとこみたいな親ならいないほうがマシだけどそこまで理解できないよな。
純助たちんとこは病気で入院しているから寂しいだろうけどまだたまに会えるし一番マシかな。
テレビ局の人に必死に「おっちゃんの子供にして」って頼む春男に泣けた。 -
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口は悪いが
きい子、めっちゃ口悪いけど母親がこんな感じだったんだろうなぁ。
でも面白い。
問題児の春男だけど母親にはむしろ気を使っていてかわいそうになる。
リベラル気取ってる母親は親の義務果たさずに杏子さんって呼べとか殴りたくなる。 -
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自動養護施設
自動養護施設・星の子学園を舞台にした作品。
それぞれの子どもがどうして預けられているのかは詳細は語られないが両親を亡くしためぐむが道端で死んでいる猫を見て自分もああなるのかと泣いているシーンは胸が痛む。
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これまで子供の世界ばかり描いてきた松本大洋が、熟年の苦悩を表現している。「Sunny」は素晴らしい作品だったが、これもまた松本大洋の新たな代表作になるだろう。
塩澤が再会するのは、かつて才能に溢れていた漫画家たち。しかしいずれも、現在は重荷を背負い、漫画を描くことそのものの情熱を見出せずにいる。中には出世した者もいるが、もはや昔のような創作はできないらしい。
一方で若手編集者と漫画家は、なんとか業界に齧り付こうと必死に勝負を続ける。若い才能が芽吹き、開花していこうとするなか、漫画があくまで商業であるがゆえ、いかに自由な創作と売れる方法の折り合いをつければいいのか。漫画を描くことの苦しみを、 -
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読むべし、読むべし……
映画『犬王』を観て、キャラクター原案を務めた松本大洋に興味が湧き、作画した漫画ということで読んでみた。
主人公である浪人の瀬能宗一郎は、訳あって郷里の信濃を離れ江戸へやって来た。来て間もないため「~だに」「~なるら」など、お国言葉が度々出てくる(上京したての若者の感があり可愛い)。一見すると狐顔が特徴的なシュッとした男だが、甘味好きという意外な一面を持つ。また、単純な好奇心で長時間蛸を眺めたり、這いつくばって猫に話しかけたりと奇行が目立つ人物でもある。変人キャラが好きな私は甘党であることも相まって「可愛いお侍さんだな」と思ったのだが、知人に読ませてみると「キモ可愛い」とのことだった。
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映画は3回観に行きました。平家物語のアニメーション本もですが、こちらもとても丁寧な作り方をしてくれている。河出書房さんのテンションが真摯で好きです。何よりキャラ原案の松本大洋氏のイラストをたくさん使って映画犬王のまさに誕生を追う本になっています。他には湯浅監督の絵コンテと歴史解説など細部まで調べこだわって作られた結果、ファンタジーではなく現代の私たちに繋がる作品になったのだと思います。いちばんテンションが上がったのは背景設定の清水寺でのステージ全景ですね!こんなに細かな設定もアニメーションではするのですね!ここで『鯨』を最前列で観たい!一緒に歌いたい!と気持ちを室町時代に飛ばせました。良い本で