松本大洋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレもはや、卓球マンガの大定番、ほぼほぼ、永遠の名作、の、仲間入りをしている作品だと思われるのですが、まあ、とんでもなく面白いです。
1996年に、単行本の第1巻が発売されているのですね。2019年現在からすると、26年前か、、、驚くなあ。まあ、今の時点で読んでも、おっそろしく古びてないので、そらもう大したもんですね。ある種の壁を突き抜けた作品は、そのジャンルにおいて、永遠に模範となる存在となり得る、という、良い証明の作品ではないでしょうかね?
凄くうろ覚え、且つ個人的な感傷になりますが、この作品が発表された1996年当時、自分は大学生になったばかり、くらいだったのですが、本当に申し訳ない意見 -
なんという「哀しい」作品
その独特のタッチや世界観に目を奪われがちなのですが、そこに描かれているのは主人公の狂気とも言える悪魔的な強さと「哀しさ」....。
「ミドルの荒野」に立つ王者とそれに引き寄せられる者たち。そしてその先にあるものとは?
ラストのコマを見たとき、思わずサーキットに散った故アイルトン・セナを思い出しました。
勝利に対するその狂気のような一途さ。それは「頂点=ポールポジション」に立つ王者の孤独な姿であったのかもしれません。
その危うさはあまりにも美しく、そして哀しいものであったと改めて痛感させられる作品でした。 -
購入済み
面白かったです
全体の感想です。
この人の、他の真似でない個性的な絵が好きなのですが、少し念入りに描かれすぎて暑苦しい(ゴチャゴチャしている)と感じる事もあります。しかし今回は日本の時代物のせいか、筆で描いたような勢いのある線でシンプルに描かれていて、すっきりと無駄のない感じです。
遠近法を狂わせたような部屋の描き方、ピカソのような顔の輪郭からはみ出した目なども、斬新でありながら奇をてらった感じはなく、勢いにまかせて描けば自然にこうなるといった感じでとても良いです。
物語は王道のパターンですが、犬猫の会話や刀の幽霊などが面白いし、悪役が動物を愛したりして単なる悪者でない所にも奥行きが出ていると思 -
購入済み
松本大洋
やっぱり、イイ感じでした。松本大洋!
読んでるあいだは、松本さんが少年だった頃のいまでは消えかかっているあの世界の感覚を、消えてなくなってしまう前に、なんとかもう一度引き寄せて書きとどめた、そんな風に思いながら読んでましたが、読み終わって、余韻に浸っているうちに、少し違う風にも思えてきました。
大人になった松本さんが、周りの子供たちを見て「こいつら何を見て、何を聞いて、何を考えているのか」もうわからなくなってしまった子供たちの感覚をつかもうとしたのではなかろうか。子供たちを観察することを通して、あの世界を想像し、深く浸り込んでいきつつ、作り上げた作品なのではなかろうか。
えっと、こう書いてみる