感情タグBEST3
全体の感想です。
この人の、他の真似でない個性的な絵が好きなのですが、少し念入りに描かれすぎて暑苦しい(ゴチャゴチャしている)と感じる事もあります。しかし今回は日本の時代物のせいか、筆で描いたような勢いのある線でシンプルに描かれていて、すっきりと無駄のない感じです。
遠近法を狂わせたような部...続きを読む屋の描き方、ピカソのような顔の輪郭からはみ出した目なども、斬新でありながら奇をてらった感じはなく、勢いにまかせて描けば自然にこうなるといった感じでとても良いです。
物語は王道のパターンですが、犬猫の会話や刀の幽霊などが面白いし、悪役が動物を愛したりして単なる悪者でない所にも奥行きが出ていると思います。
全8巻は一気読みにちょうど良いくらいの長さなのですが、この話、面白かったので、もう少し肉付けして長く続いてほしかった気がします。
Posted by ブクログ 2015年09月09日
松本大洋初の原作物、時代劇。
原作者は松本大洋のアシスタンスをしていた事もあってか、氏の作風をよく分かっている印象。
松本大洋が繰り返し描いてきたテーマがこの作品にも流れています。
闇と光、迫りくる狂気、主人公は人間でいられるのか!?
漫画表現冴え渡る時代劇、刮目せよ!
Posted by ブクログ 2013年05月02日
8巻まで読んだ。能瀬宗一郎の気が漂い、空気が流れ静と破のある漫画だった。能瀬宗一郎のつり目の表情が、クールに見えちゃう。これって完全に、引き込まれてるよね。
Posted by ブクログ 2011年07月21日
これはすごいマンガだ、と驚きました。
ひとこまひとこまの絵に感じる、徹底したこだわりとセンスのよさ。筆ペンで描かれた世界には、力強さと温かさと繊細さが心地よく同居している。
なんというか、一般的なマンガの絵とはちょっと違う領域に属しているような。…うーん、見れば見るほどすごいなあ。
ある日、江戸の...続きを読む長屋に住みついた、キツネ顔の浪人、瀬能宗一郎。
実は凄腕の剣客なのだが、腰に差しているのは竹光。
飄々として間の抜けたような不思議な人柄と、その奥に潜む剣客としての禍々しいほどの性(さが)。
隣家の少年、勘吉との交流を描きつつ、何やら事件に巻き込まれそうな流れで1巻は終わる。
絵だけじゃなくてストーリーもいい。この絵あっての、この物語であり、この物語だからこその、この絵。
1冊900円は高いな、と思ったけど、読んでみたら納得。
それだけ払う価値はあります。(むしろ、おつりがくるくらい。)
とはいえ、さすがに大人買いは厳しいのでちょっとずつ買いそろえていくことにします。
Posted by ブクログ 2010年07月04日
私、松本作品の中でこの漫画の主人公である、
瀬能 宗一郎が一番好きであります。
今までの松本作品を見ていると、
親近感が湧き、
「好き」という感じがなかったのですが、
この作品の瀬能に関しては一種の「憧れ」があります。
雲のような人というか。
大人な純粋さというか。
真っ白ではないけれども、
...続きを読む限りなく白に近い色のような人です。
こんな人になりたいなあ、と私は思うのです。
Posted by ブクログ 2010年01月13日
松本大洋作品は「ピンポン」に続き2作目なんだが、
作品にあったタッチを、自分のタッチの根っこを残しながら
表現できるなんて凄い才能だなぁ。
まるで版画の様に見える絵もあり。
何より、宗一郎と勘吉のコンビが微笑ましく…
早く全巻揃えよう!!!
映画『犬王』を観て、キャラクター原案を務めた松本大洋に興味が湧き、作画した漫画ということで読んでみた。
主人公である浪人の瀬能宗一郎は、訳あって郷里の信濃を離れ江戸へやって来た。来て間もないため「~だに」「~なるら」など、お国言葉が度々出てくる(上京したての若者の感があり可愛い)。一見すると狐顔...続きを読むが特徴的なシュッとした男だが、甘味好きという意外な一面を持つ。また、単純な好奇心で長時間蛸を眺めたり、這いつくばって猫に話しかけたりと奇行が目立つ人物でもある。変人キャラが好きな私は甘党であることも相まって「可愛いお侍さんだな」と思ったのだが、知人に読ませてみると「キモ可愛い」とのことだった。
しかしこの甘党変人侍、刀を抜かずとも気迫だけで雑魚を蹴散らすほどのつよつよ浪士なのである。なぜ抜かぬかというに、帯びている刀は竹光(竹で刀を模したもの)なのである。元々は『國定』という刀を所有していたが『我らが対でおれば災いを招くは必定』と売り渡してしまう。この拙文を読む未読の方は「侍のくせにみっともないな」と思うかも知れないが、該当シーンを見てほしい。まるで人を噛み殺さんとする猛獣である。血の気が多い訳でも無いのだが、強い者と手合わせせずにいられないらしく、道場破りを無自覚に繰り返しているらしい。彼に目をつけられた師範は憐れ、弟子達の前で敗北を喫するのだが、瀬能本人は良い立ち会いができたと満足げである。人の心がわからない奇人なのか? と思うかもしれないがそれは違う。
瀬能はこの物語のはじめ、長屋のお隣さんの子供の勘吉と出会う。勘吉は厠に行く途中だったが、明け方の薄暗い時間のせいで瀬能を化け狐と見間違えて粗相。自分だったら最悪な初対面であるが、瀬能は勘吉の着物を洗ってやり、丁寧に自己紹介をする。ここから勘吉と瀬能の交流が始まる。最初は後をつけて遠くから見つめるだけの勘吉であったが、瀬能に団子を貰ったり共に蕎麦を啜ったりして仲の良い友達のようになる。子供と対等に接し、食べ物を分け与える大人に人の心が無いとは思えない。親しくなった者しかわからないが、彼は間違いなく人が好い柔和なお侍さんなのである。
時代劇にありがちな剣気鋭い侍は勿論格好良くて推せるが、甘党でやさしいところがあって少々変わった侍の瀬能宗一郎は個人的に激推しである。
Posted by ブクログ 2011年08月15日
絵はキュビズム?上手い。
話はピンポン、花男、ナンバーファイブとかと一緒で
天才が悩む話。(原作ありだけど)
だからやっぱり、周りの凡才どもが、とても愛らしく
とても良作。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
大洋さんは天才です。この作品は今までの画風と一転、日本画調になっております。(GOGOモンスターのガンツみたいな)今までにない、ジャパニーズアートコミックスを!
Posted by ブクログ 2009年10月04日
松本大洋最新刊。原作付き。画面が「妖魅変成夜話」(岡野玲子)のようですが、わかりやすいストーリーがあって読みやすいです。内に籠るわかりにくいストーリーでなくていいな。
松本大洋さんの今までの、作品とは絵のタッチがまるで異なり、はじめは戸惑いましたが、その世界観はそのままでした。むしろ、時代風景に合っているように感じ、どんどん引き込まれます。静かなはじまりで、これからの展開が気になります。
Posted by ブクログ 2018年04月08日
あぁ、松本大洋 永福一成コンビで時代劇かな。ふうん。
まぁそれだけで読むけぇどなぁ、あれお侍はおしなかな。ふうん。で南信だってな。アレまぁ。
ほいでアレかな。チートかな。ほぉほぉ。あれだら、『鉄コン筋クリート』みたいなああいふ肉体の躍動が、書けとるぢゃないかな。ふうん。あと『花男』みたいになぁ...続きを読む、実在する 猫と犬が喋っとったり幽霊が出たり、あるの。ほいぢゃあ買ふか。
瀬能さんが蛸に興味を持つのが何となく気になる。
Posted by ブクログ 2011年02月18日
松本大洋作「竹光侍」(漫画)1~4巻の紹介である
竹光とは本身の刀を売ってしまったり、重くて刀を持つのを嫌がった侍が
竹を削ったものを刀身にし、刀のように見せかけ体裁を繕ったモノである
テレビで放映されている時代劇とは異なり
平和で切り合いの少なかった江戸時代には、よくある話であった
長屋に住...続きを読むむ大工の息子「勘吉」が、その若いお侍をはじめて見たのは
正月の寒い朝のことであった。
長屋にある「かわや(トイレ)」は遠い
だいたいが長屋の奥、とっつきにあるので、そこまで外を歩いて行かねばならない
意を決して外へ出た「勘吉」の目に「狐の化け物」が見えた
あまりの恐怖に小便を垂らし座りこんでしもうた「勘吉」を
「狐の化け物」は親切にも「勘吉」の着物を洗ってくれ
「瀬能宗一郎(せのう・そういちろう)と申します
本日よりこちらの長屋でお世話になります」と挨拶をした
よく見ると可なりな狐目であるが、若い人間のお侍であった
子供の目とは不思議なもので、大人には見えない何かが見える時がある
その狐目のお侍は確かに「狐の化け物」な一面も持っておった
でもな、またまた子供とは不思議なものでの~
良い人と悪い人をちゃ~んと見分ける力も持っておる
「勘吉」は、この狐目のお侍が何故か気になり側をくっついて離れない
そうして二人は仲良くなっていったのである
この漫画は、ある日長屋にヒョイっと現れた不思議な浪人の話なのだが
正真正銘人間であるのに…異様なほどに人間離れし過ぎている
ココに読者は「勘吉」と同じように惹かれていく
「この侍の過去には何かイワクが隠されている」
そう思ったら最後、目が離せない(笑)
めっぽう剣の腕が立つ。しかし腕が立ち過ぎ禍の匂いすらする。
見事な妖刀を持っている。が…妖刀に主従逆転されそうになり竹光侍となる。
怖いけど優しい。賢いのに世間に疎い。知らなそうで知っている。
このような主人公「瀬能宗一郎」から長屋の住民達は目が離せなくなる
そうして彼が少々怖いのに、好きになってしまうのである
作者は「鉄コン筋クリート」を描いている松本大洋
ウィキペディアによると、父は作家の松本東洋。
母は詩人の工藤直子。妻は漫画家の冬野さほ
従兄弟の井上三太も漫画家らしい
彼の作品を見るのはコレが始めてであるが、漫画原稿用紙の枠を超えてくる
飛び出す絵本のように感じるのだ(笑)
それでいて画面下隅に描かれている小さな「モノ」もクッキリと見え
普段見逃しそうな虫ですら命を持って動いている感がある
鳥獣戯画さながら宗一郎の周りの人々の心の内を
モノや動物、虫までもが代弁して語る時もある(笑)
絵柄は人によって好き嫌いがあると思うが
機会があったら読んで欲しい漫画の一つである
なにせ、面白い。続きが楽しみである(笑)
Posted by ブクログ 2009年10月04日
松本大洋だから買う、というのは踊らされているようなので悔しくて、ずっと我慢してました。が、やっぱり買ってしまい、なんでそんなヤセ我慢してたんだろう?自分。って思った。面白かったです。絵のうまい人だなぁと改めて思った。マンガ日本昔話の怖い絵バージョンみたいだ。
Posted by ブクログ 2020年12月14日
松本大洋作品だと、何となく手には取ってみるんだけど、よく考えると、心から好きな作品って、無いかも。そんなことを、より強く印象付けられた作品。本作は、原作がご本人ではないということもあってか、個人的には、他の諸作品以上に、どっちでも良いと思えるものでした。という訳で、これも以降はナシ。