松本大洋のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ストーリー、絵、キャラクター、あらゆる点でツボ過ぎる。
ページのすみずみまで配慮が行き届き、かつそれをあざとく感じさせないユーモアと脱力感がスバラシイ。
読み終わった時の、満ち足りた、すがすがしい気持ちをまた何度も味わいたくなるに違いない、そんなマンガです。
登場人物すべてが魅力的で、その中でもさらに際立つ主人公宗一郎のキャラクター。
子どもたちの表情の豊かさと、人の生活に溶け込む動物たちのさりげない存在感。
ストーリーは軽快で、深くて、面白い。
宗一郎と矢場の看板娘お勝、二人のシーンが好き。
大人の女性たちにこそ、この情感を味わってほしい気がします。 -
Posted by ブクログ
時々自分は感性が理屈や感情を追い越して
言葉が追いつかない「衝動的な何か」に頭の中を支配されてしまう
非常に困った状態に陥る事があるんだけど
そんな時、日本橋ヨヲコと並んで
その感覚を鮮やかなまでに切り取ってくれるこの人の漫画を読んで、
どうにか自分を取り戻していたりします。
どこまでも混乱しているのに、
どこまでも輝いている。
吐き気がするくらいの生きている実感を。
松本大洋があとがきで、
青春の青さというものを
「それはたぶん 夜明け前、街の姿がおぼろげに
あらわれる時の 青色なのだと思います」
と表現していて
そんなことばにただもう打ちのめされるばかり -
Posted by ブクログ
これはすごいマンガだ、と驚きました。
ひとこまひとこまの絵に感じる、徹底したこだわりとセンスのよさ。筆ペンで描かれた世界には、力強さと温かさと繊細さが心地よく同居している。
なんというか、一般的なマンガの絵とはちょっと違う領域に属しているような。…うーん、見れば見るほどすごいなあ。
ある日、江戸の長屋に住みついた、キツネ顔の浪人、瀬能宗一郎。
実は凄腕の剣客なのだが、腰に差しているのは竹光。
飄々として間の抜けたような不思議な人柄と、その奥に潜む剣客としての禍々しいほどの性(さが)。
隣家の少年、勘吉との交流を描きつつ、何やら事件に巻き込まれそうな流れで1巻は終わる。
絵だけじゃなくてストーリーもいい。この絵あっての、この物語であり、この物語だからこその、この絵。
1冊900円は高いな、と思ったけど、読んでみたら納得。
それだけ払う価値はあります。(むしろ、おつりがくるくらい。)
とはいえ、さすがに大人買いは厳しいのでちょっとずつ買いそろえていくことにします。 -
Posted by ブクログ
これは、すごい!と思わず唸らされました。絵のタッチ、そして対決のシーン、場面が切り替わる、主人公が持つ暗黒な部分が浮き出てくる感触…全てが漫画という範疇を超えた作品。帯に「松本大洋大団円を描く」と書かれているように清々しい幕が下りました。対照するのは「バガボンド」と思います。活殺の真実に迫ったのが「バガボンド」なら(武道家や武術家の共感を得られるという意味で)竹光侍はその身体的な感覚をしっかりと表現しているように思います。時に日本画が流れていくようであり、怪談を聴いているようであり、墨絵を目の前に翳されたよう、そして流れる風や雲が本当に流れるよう。
-
Posted by ブクログ
巧いんだか、ヘタなんだか解らないような絵だと感じがちだが…
漫画と認識するより、絵画、またはアートっと認識した方が正解かもしれん。
古い漫画を知っている人には「劇画タッチ」っと言った方が解り易いと思う。
なにせ絵が動くように感じる。
原作者は別な人だが、実に見事なほど松本大洋は自分らしさを出している。
主人公の「瀬能宗一郎」は、浮世離れした侍
同じ長屋に住む大工の息子「勘吉」など、子供等に好かれている。
ってことは、悪い人だとは思えんのだが…
だがフっと見せる一面には、何か人知の及ばざる物にとり憑かれている様も見受けられる
それに彼は滅法剣の腕が立つ、それに伴い心も強い。
人は自分の弱さを知っているだけに、強いエネルギーには惹かれる。
でもあまりにも強いエネルギーに接すると、逆に怖さも感じてしまい腰が引ける。
ただ当の本人がノホホ~ンとしているもんだからつい傍に寄って行ってしまうのだが
時々ミョウ~な緊張感をまとう瀬能にドキっとすることしばし(笑)
だから誰もが彼から目が離せない。
ノホホ~ンとした表情と、時折見せる獣のような表情と、
どちらも人を惹きつけてやまないのだ
そんな漫画だから、読んでいる側もたまらん程、瀬能に惹きつけられるのだ(笑)
今回は最終巻を前にし、読みきってしまうのが勿体ないので、
もう一度、一巻から一気に楽しみながら読んだ。
悪を切り、ついでに自分の悪をも断つ。
な~るほど、そういう風に結論を持っていったか・・・
まったく考えていなかった最終回だったが、一度読み終わると
確かにコレしか無いってな終わり方だった。
なにか偉業を遂げた人物、または波乱万丈な人生を送った人の伝説ってのは
こんな風に始まり、こんな風に終わるのかもしれんな
そうして時代とともに脚色され、語り継がれるのかもしれん。
松本大洋の描く人物は、いつも、とてつもない強さを持って登場する
普通は色々とあって経験を積み、強くなる過程を描く話が多い中
いきなりMAXな強さで登場するもんだから、見ている側には安心感どころか
MAXの次は落ちるだろうってなセオリーに捕らわれ、ドキドキの連続となってしまう
それを毎回「そう来たか」ってな落としどころへ持っていく技には感服する
強い主人公を登場させてた作者は、読者にハラハラ・ドキドキ感を持たせるために
次から次へと強い相手を登場させるか…主人公に怪我を負わせて多少弱らせるか…
体は強いが心が弱い…なんぞと話を持っていきがちだが
彼の描く漫画には、そういったセオリーが当てはまる作品は無い。
今回の竹光侍は先にも述べたが原作は永福一成氏である。
この話に松本大洋の絵が見事にハマっているので、大変満足していたが
どうやら永福一成氏の原作が文庫化されているらしい。
ちょっとソソルのは、漫画にはない場面が載っているそうで…読みたいかもっと思った。
しかし…最近、江戸モノに気持ちが持っていかれるのはどうしてだろう。
色々な本や漫画を読んでも、必ず合間合間に江戸モノを手にしてしまう。
士農工商の完全なる封建制度な時代にも関わらず、気持ちが江戸へと飛んでいく(笑)
さて、民主主義に嫌気でもさしているのだろうか?(ハハハハハ)
なにはともかく、松本大洋ファンも、そうでない人も
漫画好きも、漫画なんぞ見ない人も、機会があれば是非見るべし。
きっと訳の解らない幸福感に戸惑うこと確実である(笑)