松本大洋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1~6巻まで一気読みしたので、こちらに感想をまとめます。
今、この瞬間、この国、そして世界中のあらゆる場所で、現実に営まれている子供たちの生活を切り取った漫画なのだなと感じました。彼らの悲しみや親たちの身勝手等を、大袈裟にクローズアップすることなく、まるきり当たり前のことのように、日常だけが淡々と綴られている。これは、ただの作り話ではなく、この世界の話として描かれているからなのだと思います。けれど、だからこそ…、現実に存在する、解決のできない悲劇だということがはっきりとしているからこそ、その悲しみが胸に迫ります。まだ小さな子供であろうと、学校に入っていようと、大人として自立してからでも、その寂しさが彼らの人生にとって、あまりにも大きく、誰がどうしたって埋めようがない、という点では変わらない。それぞれがそれぞれに、どうにかして、親がいない生活を送っている。平気なふりをしながら…、弱音を吐きながら…、周囲に当たり散らしながら…、親を心の中で「抹殺」してやりながら…。でも、だからって、どうすることができるでしょう? 誰も、はるおの両親を「親らしく」することも、じゅんの母親の病気を治すことも、めぐむの両親を生き返らせることも、できない。子供自身にはなんの罪もないのに…、それでも、そういった子供たちは、そうやって生きていくしかないのでしょう。そういう子供が、今この世界にどれほどたくさんいることでしょう…。本当に、足立さんのような人は立派だと思います。ああいう風に、自分と血の繋がりのない子供たちを、真摯に心配し、育てることのできる人は、この世におけるどんな仕事をする人よりも偉大なのではないかと思います。
漫画で、頭が痛くなるくらい泣いたのはちょっと久しぶりです。面白い、というか…、すごい漫画だと思います。このリアリティは、本当にすごい。読めて良かったです。 -
Posted by ブクログ
はや「Sunny」も5巻ですか....
あとどれくらい続いてくれるのか気になりだすところですね。
本巻は過去5冊の中で一番良かったと個人的には思います。
ほろりとさせられる話もいくつか....
「竹光侍」「吾」と「それなりにおもしろいが一般的にヒットとは言えない作品」が続きましたが(まぁもちろん私的に大洋先生の「一般的なヒット」なんて無用なんですがw「ピンポン」と「鉄コン」が異例なんですよねきっと)、本作はその可能性が....とか思ってしまいます。
全ての作画が素晴らしくて全ページポストカードにしたくなるような「sunny」。
今後も楽しみです。
.....アニメの「ピンポン」の出来が良かったので同じ制作で私の好きな「花男」のアニメ化してくれないかなぁ.... -
Posted by ブクログ
ああ、ただただ不快。残念なヤンキー君たちの行動もさることながら、彼らの周りの淀んだ空気を通して世界を観ると、バカな大人は益々薄汚く、爽やかなカップルや普通の人々ですら白々しく映る。ここまで汚く世の中を描けるのは、松本大洋ならではか。あとがきまで読んで、読後のストレスを一気に解決でき、清々しい思いだ。
この短編集の中で、救いの有無という視点、つまりどうしようもない手詰まり感から次に進むことが出来たであろう話が一つだけあった。野球部の話だ。淡々と描いて行く自由は、もちろん本にあるものの、野球部の話、それも短編集の中盤にあるのだが、で一息つくことができたのは、自分が無意識のうちに前向きさを望んでいたということだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ日常を切り取る。
どこにでもあるような何気ない日常、
でもそんな日常の中で誰かが傷つき悲しんでいる。
嘘をつくこと、それは自分の中を何かを守ることである。
シャボン玉みたいに触れただけでパチンとはじけてしまう、そんな子供心を嘘は守ってくれる。
小さい時ある日突然始まる、「いじめ」。それは特定の個人というよりも、あるスパンでローテーションする不特定多数による不特定個人に対するいじめ。
月曜日にいじめられていた子が、火曜日にとなりの席の子を仲間はずれにし、水曜日にその前の席の子が背中に悪口を書かれる。
子供の時特有の距離感、空気感、そんなものがsunnyには漂っている。
春男と母親のワンシーン。
感情を抑えきれない春男と子供に対する感情を失った母親の表情が対比される電車での別れのシーンは、切ない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ昔、養護施設のお手伝いをしていたことがある。
多くの子供たちは心に大きな傷を抱えている。
暴力的であったり、協調性がなかったりする子供たちの心の片隅には、
無意識ながらにも親に「捨てられた」という意識があったのかもしれない。
松本大洋が描くのは等身大の子供たち。
あるものは強がり、あるものは弱さを曝け出す。
逃れることの出来ぬ運命の中で、親に愛されたいと願う子供たち。
そしてそれを暖かく見守る施設の人々。
驚くほど剥き出しで鋭利な表現だけど、どこか暖かい。
ひどい喧嘩したあと、友人とどぎまぎしながらも仲直りした時に感じる
あの暖かさ。胸の中にじわっと広がるあの温もり。
そんな漫画だった。