松本大洋のレビュー一覧
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購入済み
竹光侍1
松本大洋さんの今までの、作品とは絵のタッチがまるで異なり、はじめは戸惑いましたが、その世界観はそのままでした。むしろ、時代風景に合っているように感じ、どんどん引き込まれます。静かなはじまりで、これからの展開が気になります。
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御書印蒐集のために行ったこどもの本屋 てんしん書房さんで勧められて購入。700ページ超の大作。著者本名河合雅雄さんは霊長類学者。90歳を超えてこれだけの作品を書いたのは素晴らしい。動物たちと喋れる世界(ドリトル先生を意識したよう)での冒険物語はこどもたち(の心を持った大人たちも)にとっては大変面白いのではなかろうか。私も十分楽しめた。
あえて言えば第二部は少々冗長で蛇足気味。著者にとっては専門分野だから書きたかったのだろうがもっと簡潔でもよかったのでは。第一部で大きな山が終わってしまったのでそのあとはむしろスピンオフ的にしてもよかったかも。ただ、いずれにせよ著者もあとがきにある通り筆が進まなか -
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(01)
館があっても家がない.家がないから愛がない.が,そのような典型的な舞台や関係を嫌った猫たちがコマからコマへと飛び回っては縫うようにニュウ(ニャー?)と現われ,コマの外へ,コミックの外へと消えていく.
コミックの外は,絵の中であるかもしれない.絵画に生きる女性や男性も現れる.絵画に興味のない館関係者もいる.そしてオーバーユースやオーバーツーリズムの問題に軽く触れつつ,多くの多様な人間たちが訪れる美術館も描いている.人物たちには帰るべき家もあり,育むべき愛もあるはずであるが,そのような気配は,この漫画からは感じられない.少年漫画や少女漫画には愛がなくても普通は家が描かれる,青年漫画には家 -
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(01)
館があっても家がない.家がないから愛がない.が,そのような典型的な舞台や関係を嫌った猫たちがコマからコマへと飛び回っては縫うようにニュウ(ニャー?)と現われ,コマの外へ,コミックの外へと消えていく.
コミックの外は,絵の中であるかもしれない.絵画に生きる女性や男性も現れる.絵画に興味のない館関係者もいる.そしてオーバーユースやオーバーツーリズムの問題に軽く触れつつ,多くの多様な人間たちが訪れる美術館も描いている.人物たちには帰るべき家もあり,育むべき愛もあるはずであるが,そのような気配は,この漫画からは感じられない.少年漫画や少女漫画には愛がなくても普通は家が描かれる,青年漫画には家 -
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なんでもアーバン・ファンタジーよいうジャンルらしい。初耳。
なるほどなとうなずかされる言葉だ。
というのも、この作品で描かれる都市は無際限に拡大する都市という不合理で不可逆なシステムではない。
むしろ個人の内面だとか家庭だとか極小の場所を、都市に拡大して考える類の都市だからだ。
半透明で透過性のあるコクーンが、クロとシロのふたりの周りに敷き詰められている。
半透明だから互いに自由のように見える。
そして実際、透過性があるから他者からの侵入を許すこともあり、結果的にふたりが反目することもある。
が、変わってしまったも変わっていない繭が、依然としてうすーく残っているのだ。
だからふたりが再開す -
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なんでもアーバン・ファンタジーよいうジャンルらしい。初耳。
なるほどなとうなずかされる言葉だ。
というのも、この作品で描かれる都市は無際限に拡大する都市という不合理で不可逆なシステムではない。
むしろ個人の内面だとか家庭だとか極小の場所を、都市に拡大して考える類の都市だからだ。
半透明で透過性のあるコクーンが、クロとシロのふたりの周りに敷き詰められている。
半透明だから互いに自由のように見える。
そして実際、透過性があるから他者からの侵入を許すこともあり、結果的にふたりが反目することもある。
が、変わってしまったも変わっていない繭が、依然としてうすーく残っているのだ。
だからふたりが再開す -
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ネタバレなんでもアーバン・ファンタジーというジャンルらしい。初耳。
なるほどなとうなずかされる言葉だ。
というのも、この作品で描かれる都市は無際限に拡大する都市という不合理で不可逆なシステムではない。
むしろ個人の内面だとか家庭だとか極小の場所を、都市に拡大して考える類の都市だからだ。
半透明で透過性のあるコクーンが、クロとシロのふたりの周りに敷き詰められている。
半透明だから互いに自由のように見える。
そして実際、透過性があるから他者からの侵入を許すこともあり、結果的にふたりが反目することもある。
が、変わってしまったも変わっていない繭が、依然としてうすーく残っているのだ。
だからふたりが再開す -
Posted by ブクログ
90年代初期に鈍く輝く「黒い大洋」を見よ!!
3つのあとがき
「当時そうした一連の間抜けた行動を奇天烈に感じた私にとって彼らの一挙手一投足は常に興味の対象でした。理屈に対しては拳で答え〜ツッパリ君達の本能は私の憧れで有り一番身近にいたヒーローだった様に思います」1993
「それはたぶん夜明け前・街の姿がおぼろげにあらわれる時の青色なのだと思います」1998
「漫画の技術もすさまじく稚拙で、正視に絶えぬコマやら演出も多々あり、穴があったら放りこんで隠しておきたいような気持ちも正直あります。しかし今では決して描くことのできない台詞や展開があることも事実で、それはそれで力を持っているように思います -
Posted by ブクログ
松本大洋と猫とルーヴル美術館、となれば読まないわけにはいかない組み合わせ。
人間たちの世界と猫たちの世界を自由に行き来しながら、ある秘密へと近づいていく物語。
ファンタジーであり、ミステリーでもある、大人向けのおしゃれな童話的漫画です。
漫画の絵、なんだけどすごく質が高い。
言葉にしがたい感情を表した、猫や人の表情にハッとさせられます。
特に子どもを描かせたら天下一品。擬人化した「ゆきのこ」(猫側主人公の小さな白猫)の可愛さと言ったら!
どのページからも漫画としての表現を存分にいかしつつ、新たな可能性を追求し続ける姿勢が伝わります。
すごくよかったけど、個人的には『竹光侍』超えならず、なので星