イアン・ブレマーのレビュー一覧
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3.6 (5)
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本書は大統領選挙前に書かれたものだが、概ね予測どうりが恐ろしい。
トランプ政権の主たる政策の中で「プロジェクト2025」にある「ディープ・ステート」(闇の政府)を崩壊させる事はバイデン政権でも続いた民主党下での腐敗した組織を壊滅し、従来の自由主義を復活させると言う意思がある。だが、司法省内の裁判権含めた法的免責問題などは、悪用される懸念があると言う。元トランプ大統領補佐であるボルトン氏はトランプ氏が独裁者的存在を持つかについて「それほど利口ではない」し「アメリカの憲法も制度も強靭」であるとも言っている事には期待したい。だが、現実多くの大統領令による世界を恐怖・脅威を発進していることが今後どんな -
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安定して知的刺激を与えてくれる良書。斬新さは無いがポイントを押さえており、社会課題の復習にも有効。次の10年では、米中対立、気候変動、人間の生活を変える技術が問題になるだろう。より、深刻化していくという警鐘だ。
アメリカの分断の話。中国に対抗する政策でも、アメリカの左派と右派の意見が一致しなくなっている。もはや、富裕国では大卒資格がなく製造業で働く人は、中産階級の生活に手が届かない。不平等は拡大する一方だ。どの国もグローバリゼーションがもたらした歴史的恩恵から排除された人々があまりに多く、結果的に世界各地で一般市民が暴動を起こし、それにつけこんでポピュリズム派の政治家たちが台頭している。
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Posted by ブクログ
ー 第1章で、2つの衝突の道について詳しく説明した。一つは、アメリカ国内の共和党支持勢力と民主党支持勢力との争いで、世界唯一の超大国であるアメリカの政治生命と民主主義の高潔な精神にひどいダメージを与えている。もう一つは、既に大国として君臨しているアメリカと、新たに台頭してきた中国との対立だ。この2つのリスクによって、他の大国の政府や国際機関が、我々を待ち受ける真の課題に取り組まなくなると、それがさらに大きなリスクになってしまう。
我々はみな衝突の道を進んでいる。再び公衆衛生危機が世界を襲うことは必至で、気候変動もあり、破壊的な新技術が猛威を振るって、我々の生活や社会を不安にするかもしれない。 -
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3.6 (5)
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Posted by ブクログ
現在2023年4月末。先日、まもなく新型コロナが5類になることが正式決定されたとニュースで流れた。
この本に掲載されているインタビューや手記は2020年。コロナ禍がいよいよ始まり、おそらく世界中の誰もが、今まで非日常と思ってきたことを日常的なものとしなくてはならないという不安に覆われはじめてきた、そんな時期の発言だ。そのような意味では、更に数年後、コロナ禍を振り返るための格好の史料となりうると思った。
この本の中で多くの識者たちが言及していたと思うが、人間にとって一番厄介なのは、人間の心の中に生じる差別、偏見、批判なのだ。どのような状況下にあっても生じるこの心の動きに、私たちはどのように打ち勝 -
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筆者の深刻なリスク認識が伝わってきて、人類はもう滅びる直前なのではないかと思わせられる。
米ソ冷戦と違って、米中は互いに大きく依存しているため、どちらか一方だけが生き残るという解決策はあり得ない。そのため、共存を前提に共通の深刻課題に対しては、少なくとも協調する姿勢が大事だという。
また、米国は世界各国に軍事拠点を持ち圧倒的軍事力を誇っているが、今後の戦争の勝敗を決するのは、サイバー攻撃や経済制裁となるため、軍事的な優位性は下がっているという。このサイバー兵器を巡る脅威から、第三次世界大戦が起きる可能性もあり、今は第二次世界大戦前夜の1930年代よりも危険な状態とのこと。
歴史を振り返っ -
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Posted by ブクログ
ネタバレイアン・ブレマーの書。ページを開くのが楽しみでした。
グローバル化はこれからも進むことと思いますが、まっしぐらというわけには行かないでしょう。ちょっと立ち止まって、今、世界中で起こっているポピュリズムについて考えてみるきっかけとして、最適な1冊ではないでしょうか。
トランプ大統領がなぜ支持されるのか。
対立の構図がわかれば、トランプ支持者の声も理解できます。
しかもそれは、米国だけの問題ではない。各国で、さまざまな社会で、いまだ「対立」は存在しています。マイルドかもしれませんが、日本でも。
対立の構図を作りあげることによって、物事が有利に運ぶ場合も、確かにあるでしょう。
AI技術や自