長野まゆみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
甘党の家系に生まれたとする長野まゆみ氏が、自身の生まれ年(昭和三十四年)から作家としてデビューした年(昭和六十三年)までの履歴を、そのときどき大好きだったお菓子と、世相をからめながらつむぐエッセイ。宮沢賢治の童話=お菓子とあてはめた賢治小論もついている。
作者はわたしよりやや上の世代だが、同じ時代を過ごしてきた共感と懐かしさから、楽しく読めた。
とは言っても共感できるのは、子ども時代とバブル時代くらいか。長野氏は東京生まれで、田舎育ちのわたしからは考えられないおしゃれな中高時代を送っている。いつの時代も生まれ育ちというのは、人を規定する力を持っている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレまず表紙がかわいい。愛しい。
中身はお菓子手帳と名乗っているものの、実際はまゆみさんの半自伝的なものとして読みました。
勝手な想像ですが、編集さんからここらでそういうものを書いてみましょうと言われたものの、まゆみさんはストレートにそういうものを書かなそうなイメージなので。
これまでもまゆみさん自身について、断片的に知る部分はあったけれど、こうして系譜をなぞって細かく知るのははじめてだったので興味深く読みました。こうしてこの方が出来上がったんだという感慨。ただ食べ物の表現的には、いつもの本のなかに出てくるもののほうがよほど惹かれました。好きなエピソードは鳥を病院に連れていくところ(私自身は鳥苦手