長野さんの作品は小説4・5冊しか読んだこと無いけれど、
清んでいて「生きている」臭いが漂わない美しさ、
硝子や人形といった人工物を連想してしまう文章を書くイメージ。
壊れる時も"メキッ"とか"バキッ"じゃなくて、
ぱりん、と軽みのある音を立てそう。
そんな印象が薄められた本作。
人間味のある"食"にまつわる内容で
しかもエッセイ調だからかもしれない。
だけど、自叙伝なのか小説なのか線引きが曖昧で
ノスタルジックな駄菓子が対象ですら洒落た印象を受ける
描写とエピソードは可憐な雰囲気。
彼女の生活の中で創作活動の比重が重みを持つにつれ、
反比例的にお菓子のポジションが軽くなる。
長野さんにとって「創作」と「お菓子」は
同様に甘みをもつものなのかな、と感じる。
残念ながら私と著者との年代のギャップがあり
共感しづらい箇所はあるものの、
お菓子絡みの個人的年代記を追う過程で
時代の推移もほのかに読み取れるのも面白い。