長野まゆみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者の「最高傑作」とあるので、期待して読んだけど、これが最高傑作なら、他の作品を読む必要はないな。
設定は今どきのYAらしく、家庭が崩壊し、心を閉ざした少年。もちろん、仲間やいい教師との交流を経て再生していくわけだけど、出てくる人、皆賢くていい人で、傷ついた少年の心を思いやり、成長させてくれるんだな。
現実にそんなことばかりあるはずないし。
少年の心が託された鳩のすがたもあまりにありきたり。
それでも★三つのわけは、今どきの日本のYAの中では、文章はそこそこいいから。
他は・・・・。
まあ、こういうのが好きな人もいるんでしょうが、よく読んでる人はこの程度のっ作品に感動したりしないよ。 -
Posted by ブクログ
夭逝した姉の配偶者、つまりは義兄とは隣に住む「私」の不思議にまみれた仕事と恋の日常を描く。
「私」が、恋に巻き込まれるたびに白馬の王子様のごとく現れる義兄との間には死者の、姉の匂いがうっすらと漂う筆致は見事。見事、だけど――やはり長野まゆみである。
『雪花草紙』で「ぎゃー」と叫んだことがあることをすっかり忘れていた。この手のジャンルはそこまで得意ではないことを忘れていたわけではなかったのだが、忘れていたわけではなかったのだが手にしっとりとなじむ柔らかな文体でつい最後まで読んでしまったのが流石は長野まゆみであるといったところか。後半になればなるほど心の中の「ぎゃー」の頻度は増していったが、違和 -
Posted by ブクログ
蓮の咲く沼の近くの別荘地にやってきた兄弟と従兄、3人だけの登場人物。
紅於(べにお)は体の弱い弟・頬白鳥(ほおじろ)を連れて祖母の家を訪ねる。
少年たちが沼でボートに乗ったり散歩をしたりと、ストーリーは特にない。
紅於はつかみ所のない草一を苦手に思っており、頬白鳥は沼に沈みたがる。
ラストは不穏な雰囲気。
結局三人はどうなってしまったのか、謎のままで終わる。
ふんだんな挿絵は著者の長野まゆみが手がけたということで、余計に独特の雰囲気を漂わせている。
沼、蓮の花、鳥の鳴き声のように響く笛、水蜜桃などのモチーフが繰り返し出てくる。
とても妖しくてつかみ所のない世界。